第3話「教室の机がきしむとき」

「俺もっ……いっしょにイク?」
「あっ……うんっ……イクっ!」
「くっ……!」

 惠たちは同時に果てた。
 仰向けになった惠の上にリョウが折り重なる。
 だけど不安定な机の上なので、完全に体重を預けるわけにはいかない。

「惠……可愛いよ」
「もう……リョウ……」

 頬を染める惠。
 リョウは惠の恥じらう仕草や表情がたまらなく好きだ。

「リョウ……好き……」
「ふっ……オレもだよ」

 好きと告げられたリョウは照れ笑いを浮かべた。
 惠は付着した粘液をティッシュで丁寧に拭きとっている。
 ところがまだ惠の動作が終わらないうちに、ふたたびリョウが挑みかかってきた。、

「えっ……うそ……リョウ?」
「一回だと俺の欲望はおさまらないよ」
「えぇ! でも時間がないよ」
「だいじょうぶ。すぐに出すから」
「ちょっ、ちょっ、ちょっ!」

 リョウの性欲は底なしだ。射精してさほど間がないのに、早くも元気さを取り戻している。
 惠の時間への不安をよそに、リョウは先程と同じ机上正常位の体勢で覆いかぶさった。

「やっ……!あっっっ!……あうううっ……」

 コンドームを取り替えることなく連続で挿入したために、先端には一回目の白い液体が滞留している。
 リョウは構うことなく律動させた。
 リョウの腰使いが速くなり、惠はまともに答えられなくなっていく。

「ああっ……リョウ!」

 リョウは答える余裕などなく「ふうっふうっ」と吐息をあらげ深く突き上げてきた。

「いやあっ!」
「なに?いやなのか?」

 リョウは一瞬腰の動きを止める。

「やだっ……やめないで」
「はいはい」

 今度は何度もゆっくり出し入れされて、惠は敏感な部分がこすれるたびにみっともなく喘いだ。

「んっ……ん……ああっ!」

 突然ブラウスの上から乳首をまさぐるリョウ。

「ああ、脱がしたい。惠を全裸にしたい」
「今は無理……あぁ……あぁんっ……」

 軽快に動き出したリョウの動きに身体中が反応して、声もとぎれとぎれだ。
 リョウは乳首をつまみながら、下半身は力強く突き上げてくる。

 ぐちゅぐちゅと淫靡な音が教室内に響いて、惠は悲鳴に近い声をあげながらリョウを求めた。

「リョウっ……気持ちいい、んぅっ!」

 もう言葉が出せなくて、ひたすらリョウを求める惠。

「いいよ……気持ちいいよ惠ぃ……」

 リョウは惠の身体の内部の感覚を確かめているかのように、深く、ゆっくりと何度も突く。
 時折り片手が胸の方へ伸びてきて、衣服の上から乳房をこねる。
 胸をいじられ、深く突かれ、泣き声に近い悲鳴をあげた。
 湿った音と机のきしむ音が教室内に響き、リョウの吐息が耳元で大きくなっていく。
 両足を海老のように折りたたまれて、惠のあえぎが一段と激しくなる。

 次の深い一突きで、惠の感覚は真っ白になった。

「あぁぁ……っ……っ……」

 叫びたいほどの快感が走ったが、声にならない。

「……惠」

 すぐにリョウの声で意識が戻る。

「イッちゃった?でもまだ俺はまだだ」

 いたずらっぽく笑って、リョウはつながったままの腰を動かし始める。
 惠は全身の感覚がバラバラになってしまって、どこをどうされているのか自覚できないでいる。
 それでも、腰が前後に揺られていることは認識できた。

「うっ……おおっ……!」

 切なさに胸が痛んだ瞬間、されるがままになっていた膣がリョウ自身を締め上げた。
 リョウが珍しく雄叫びをあげて、惠の中で果てる。
 コンドームを付けていても、ドクドクと脈打つのが惠に伝わってくる。

 その時だった。廊下に人の気配を感じた。
 急いで惠から離れ、あわただしくずれたズボンを整えベルトを締め直すリョウ。
 机から飛び降りショーツを引き上げまくれたスカートを整える惠。

 ガラガラと引き戸が開き一人の男子生徒が入ってきた。

「おはよう!おっ、二人とも珍しく早いじゃないか」

 入ってきたのは優等生の米島和也であった。

「うん、オレは国語が苦手なので、仲大路に教えてもらってたんだよ」

 リョウが機転を利かせて答える。

「山野辺は国語だけじゃなくて全部苦手じゃないのか?」
「ひどいな~。オレだって得意科目はあるぞ」
「体育だろう?」
「ちぇっ。それだけじゃないよ」
「はははははは~、冗談だよ」
「山野辺君は歴史がよくできるのよ。私も時々教えてもらってるほど」

 惠が助け舟を出した。

「へえ~、そうなんだ。山野辺、変なこと言ってすまんかったな」
「うん、いいよ」

 リョウが米島と会話している最中、惠は机の下でひそかにショーツの中にティッシュペーパーを挟みこんだ。
 突然米島が現れたので、後始末をする暇がなかったのだ。
 危機一髪だった。冷や汗がにじむ思いであった。
 もう少しタイミングが遅れていたら、クラスメートの米島にとんでもない場面を目撃されていただろう。
 
 時計を見ると7時40分を過ぎていた。
 惠は「ふう」と小さく息を吐いた。



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