第6話:反省室の少女
その4
いきなりドアが、ガチャガチャっと音を立てた。
開いたドアから黒いジャケットを着けた男が、大股で入ってきた。
男のジャケットは、胸のポケットに大きな「J」の刺繍が縫い付けられていた。
黒いサングラス、濃い髭。
そして男の手に握られている、黒い、油を塗ったようにてらてらと光る、短い鞭・・・。
「ヒーッ!!」
梨香が、思わず悲鳴をあげる。
立ちすくんだ梨香を見て、男がニヤリと口を歪めた。
サングラスの奥から舐めるような男の視線が、自分の胸に注がれていることに気がついた梨香は、慌てて両手を上げて胸を覆った。
両手を上げたときにスカートが持ち上げられ、スカートの下から淡い翳りが覗いていることには気がつかなかった。
男に続いてエリ子が入って来ると、梨香に声をかけた。
「この方が、あなたの教育係よ。ちゃんとご挨拶をなさい。」
「・・・」
どう答えていいのか分からず、梨香がまごまごしていると、男は手にした鞭で、部屋の中央を指した。
それを見て、エリ子が梨香に注意する。
「ここに立つのよ。そう、その鏡の前に・・・そうじゃなくて、鏡の方を向いて・・・」
そして精一杯の声を張り上げた。
「気をつけっ!!」
エリ子の号令に、梨香は思わず部屋の真ん中で直立した。
胸を隠していた両手を下ろし、両脇にきちんと延ばしている。
散々脅かされていた梨香には、今は恥ずかしさより恐怖が先に立ったのだ。
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「ああぁぁっ・・・」
気をつけの姿勢で直立すると、いやでも鏡に映る自分の姿を見せ付けられることになる。
薄いTシャツと、短いスカートだけのその姿は、正視に堪えられるものではなかった。
あまりの恥ずかしさに、モゾモゾと両手を動かしかけると、エリ子がすかさず声をかけた。
「手を動かさないの!」
梨香を挟んで、男が左側、エリ子が右側に立っている。
男は右手に握った鞭を、左手の掌にピシッと打ちつけた。
「礼!」
エリ子が号令をかける。
「・・・!!、そんなぁ・・・」
思わず梨香が声を出す。
こんな姿で、こんな衣装で礼をすれば、どんな格好になるかは想像するまでも無い・・・
鏡に写る男が、鞭を振り上げた。
それを見た梨香は、反射的に両手を後ろに回し、尻を庇おうとする。
「いああああぁぁぁっっっっ!!!」
焼け付くような痛みが、梨香の太股を襲う。
男の鞭が、尻を庇う梨香の手のすぐ下に叩きつけられたのだ。
撃たれた部分を手で抑えながら、梨香は床に膝をついてしまった。
「だめよ・・・ちゃんと立たなくっちゃ。言うことを聞かないと、どうなるか分かったでしょ。」
エリ子が梨香を抱えるようにして、もう一度鏡の前に立たせた。
涙を滲ませながら、あまりのことにまだ呆然としている梨香に向かって、もう一度エリ子が号令をかける。
「礼!」
今度はおずおずと、梨香が上体を僅かに傾ける。
それでも、屈むにつれスカートの後ろ側が捲くれ上がり、尻が丸出しになって行くのを感じないわけにはゆかない。
上体をやっと30度ほど傾けたところで、どうしてもそれ以上屈められないで、ぐずぐずとしていた。
ピシーッッッ!!
「ひいいぃぃぃ!!!」
ビシーッッッ!!
「いやああんん!!」
男の鞭が二度、剥き出しになった梨香の尻を横に払った。
かぁーっと、燃え上がるような激痛が、頭に突き刺さる。
「上半身は、床と平行になるまで倒して!!」
エリ子が容赦なく、声をかける。
鞭の恐怖に・・・身を以って知らされたあの激痛に追われるように、梨香が上体を深々と倒す。
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