第6話:反省室の少女

その5(最終回)


 男がゆっくりと、梨香の周りを歩いている。

 後ろからは、無防備に晒された、桃のような尻を、まるで舐めるように鑑賞する。
 先ほどの鞭の痕が、赤紫の条をくっきりと刻んでいた。

 突然梨香は自分の尻に、生暖かい男の手を感じた。

「うっ、ううぅぅっ・・・」

 まるで楽しむように撫ぜ回す男の手の動き・・そのおぞましい感触を、必死に堪えた。

 今度は、男が梨香の前に立った。
 Tシャツの、ゆるい胸ぐりがだらりと垂れ下がり、乳房が、その頂点で震える乳首まですっかり見えてしまっている。

 こんな格好で見られるのは、耐えられない恥ずかしさだった。
 屈辱的な姿勢、あまりの惨めさに全身がかーっと熱くなり、流れるほどに汗が噴き出していた。

<早く・・・早く、直れって言ってよ・・・お願い!>

 頭がボーっとなりながら、エリ子が一刻も早く号令をかけてくれるのを、必死に待っていた。脚がぶるぶると震えていた。

「・・・直れ」
 やっと、エリ子が声をかける。

 涙で霞んだ目で、再び鏡に写る自分を見て、梨香は驚いてしまった。
 汗でTシャツがグッショリと濡れ、ほとんど透明になっていた。

 男が鞭をあげ、Tシャツから浮き出ている梨香の乳首に押し当てた。
 尖った鞭の先で、まるで乳首をえぐり出すかのように、ぐりぐりと捏ね回し始めた。

「いやぁ!、もう、やめてっ!!」
 痛みに耐えかねて、思わず両手で鞭を抑える。

 男がニヤッと笑った。エリ子がハッとしたように息を呑む。
 男の鞭が大きく振り上げられた。

「いやっ!、やめて、やめてぇーっ!!」

 梨香が悲鳴を上げる。狙われた胸をしっかり両手で覆って、隠している。
 エリ子が声をかける。

「梨香! だめよ、逆らった罰を受けるの。両手をあげて、頭の後ろで組みなさい!!」
「そ、そ、そんなぁ・・」
「早くしないと、もっと酷い目に遭わされるわよ。早くっ!」

 しかたなく、おずおずと頭の後ろで手を組む梨香。
 しっかりと目を閉じて、ブルブルと震えている。

 それでも、更にエリ子が容赦なく言う。

「ダメよ、目を閉じちゃ。それに肘はグッと後ろに引いて、もっと胸を突き出すようにするの。」
「ああぁぁ・・」

 バシーーーッッ!!

 思い切って胸を反らした途端、鞭が重い音を立てて、梨香の胸で弾けた。

「きいいいぃぃぃっっっっ!!!」

 乳房を襲う、想像を絶する痛み・・・梨香が気が付いた時は、両手を胸に当てたまま、がっくりと床に膝をついていた。

「もう一度よ。鞭を受けたとき、姿勢を崩したら、何度でも罰を受けるの。」

 やっと立ち上がった梨香に、エリ子が言った。

 必死に歯を食いしばり、悲壮な顔で立ちつくす梨香。
 再び頭の後ろで手を組み、涙に濡れた瞳が鞭の行方を見守っている。

 ヒュン! ・・と空気を切り裂いた鞭が、今度はすくい上げるように乳房の下側を襲った。

「あうううっっ!!」

 Tシャツから汗が飛び散り、再び梨香はガクッと膝をついた。

 ズキズキと疼く胸が、燃えるように熱い。
 まるで全身の血が集まるように乳房が膨れあがり、その真ん中で乳首が飛び出していた。

「・・もう一度、しっかり堪えるのよ。」

 エリ子の声が、遠くから聞こえてくる。
 よろよろと立ち上がると、濡れたTシャツに、乳首が擦れた。
 充血し、固く勃起した乳首には、そんな僅かな刺激でも、飛び上がるほどに感じられた。

 やっと直立し、両手をあげかけたその時・・

「くああぁぁぁっっっ!!!」

 まるで乳首がもぎ取られたような激痛が来た。
 一瞬、何も分からなくなった梨香は、悲鳴を上げながら床を転げ回っていた。


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 サングラスを外し、付け髭をむしり取ると、ワタシは脱いだジャケットを丁寧に畳んだ。胸に「J」の刺繍のあるそのジャケットを受け取りながら、ミツホが話しかけてきた。

「いかがでしたか、お客様。十分、反省なされました?」

 ワタシは微笑みながら答えた。

「いや、ワタシはまだ反省が足りないような気がする。近いウチに、もう一度チャンスをくれないかね・・」


- 了 -

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