第5話:研究員ひとみ
その3
エリ子はキャプスタンに腰掛け、静かに海を見つめていた。
今のお仕事は、イヤなこともあるけど・・ワタシに向いているみたい。
お客様からチヤホヤされるし、お給料もイイし・・・
失敗さえしなければ、苛められることもないから・・・・
さ、そろそろ休憩時間も終わりね。
また、頑張らなくっちゃ・・・
その時、ふと船の揺れが変わったような気がした。
エリ子が何気なく前方を見ると・・・
まるで壁のような大波が、真っ直ぐ進んでくるのが目に入った。
あっ、あっ、あれはっっ!!!
い、急がないと、波にさらわれるっ!!!
慌てたエリ子は、必死に船室への出入り口へ走り出した。
飛ぶような数歩でハッチに辿り着くと、大急ぎで扉を開けようとして・・エリ子は蒼白になった。
あ、開かないぃっ!!
・・・ダ、ダ、ダレカァァァッッッ!!!!
必死に扉を叩くエリ子。
しかし、風と、うねりにぶつかる音にノックはかき消され、扉は無表情のままだ。
振り返ったエリ子に、もう大波が間近に迫っているのが見える。
な、波にさらわれるぅっっ!!
・・・あ、あっ、助けてぇぇっっ!!!
エリ子の必死の叫びが、虚しく響く。
と、手すりの脇に、細いロープがあるのが目に付いた。
岸壁に係留するための太いロープを、導くためのものだ。
急いで手摺りのところに走ると、細いロープを一巻き、自分の胸に巻き付けると、その余りを必死に手摺りに縛り付けようとした。
その時、ズズーーン・・という鈍い音とともに、船体がブルッと震えた。
エリ子に、滝のように大波が覆い被さる。
叩きつけるような衝撃を、全身で受けたエリ子は、ロープを握っていた手をもぎ離され、甲板に放りだされた。
一瞬、完全に水の中に浸けられたエリ子は、甲板に叩きつけられた衝撃でゴボゴボッと息を吐く。
代わりに息を吸おうとした途端、大量の海水を飲み込んだ。
グホッ!・・グホホッッ!!
・・・胸が、胸が痛いっっ!!!
自分で巻いたロープに締め上げられ、そのままエリ子は気を失った・・・・
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医務室。エリ子が診察台に、寝かされている。
ふと、気が付いたエリ子の目の前に、心配そうに覗き込む顔があった。
エリ子が目を開けたのを見ると、安心したように笑みが広がる。
あぁ、よかったぁ・・・
みんな、心配してたのよ・・・
エッ、ワタシ?
・・・ワタシ、紫藤ひとみって言うの。
開発部の、九兵衛部長のトコロに、今度配属になったばかりなのよ。
あなた、急にいなくなっちゃうから、大騒ぎになったの・・・
お客様のお相手が足らないしぃ・・・外交長官なんか、カンカンだったわよ。
でも、副長があなたのこと、見つけたの。
船首甲板で、波に溺れてたんだって・・
それで、医務室に運んで、ドクター・モトナミが直々に診察して下さったわ。
大丈夫よ、ホンのかすり傷だって・・・よかったわねぇ。
副長が誉めてたわ・・咄嗟に縄を巻き付けたこと、機転がきくなって。
で、お仕事サボったバツは、軽くしてやらなきゃ、だってぇ・・・
そこまで言うと、ひとみの笑顔が一層ひろがる。
普段は理知的に見える顔が、まるで童女のような無邪気なあどけなさに輝く。
そっとエリ子に近づいたひとみが、耳元で囁く。
だから、ワ・タ・シ・が、あなたの体罰を受け持つことになったのよ。
一度、やってみたかったの・・それに・・確かめたいことがあるの。
ね、いいわね・・協力、し・て・ね・・・・
えっ、と驚いたように、エリ子が診察台から身を起こそうとした。
アッッ・・ナ、ナニ!?・・どうして???
起きあがれない。
エリ子は、漸く手足が固定されているのに気が付いた。
しかもその上、一糸纏わぬ全裸にされている・・・
アアァァッッ!!・・・・イ、イヤアァッッ!!!
ひとみが、相変わらずエリ子の耳に吹き込むように、嬉しそうに囁き続ける。
ワ・タ・シ、がしたの、よ。あなたに、手伝って欲しいから・・・
ワタシね、新しい器具を開発したの。で、その効果を早く知りたいのよ。
お願い、チョット我慢、してね・・
そのままひとみは、診察台のスイッチを入れた。
音もなく診察台の、エリ子の足首を固定している部分が、左右に動きだす。
アアァッッ!・・ソ、ソンナァ!!
・・・ハズカシイィッ!!!
いいのよ・・そんなに、恥ずかしがらなくても・・
ここにはワタシしかいないし・・誰も見ていないわ。
でもあなたって、ホントに綺麗な身体、ね。・・羨ましいわ。
そう言うと、ひとみはエリ子の恥毛を、2・3本指に絡めた。
そのまま、グッと引っ張る。
アウゥッッ!・・ヤメテッ!!
・・・イッ、イッ、イタアァィッッ!!!
エリ子の悲鳴に構わず、更にひとみが力を入れる。
クン・・ついにそのまま、引き抜いてしまった。
アラ・・ごめんなさい、ね。あんまりお手入れがいいから・・・
これは、お仕置きじゃないの。
チョット待ってね。今、始めるから・・・
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