第4話:逃亡の果てに ~続・針山の一夜~

その6


 だいぶ痛めつけられたようだから、今日は軽いお仕置きにしてあげるわ。
 このピンチで、お前の乳首を飾ってあげる・・・
 これは、そんなにバネもきつくないし、先もギザギザが小さいから、それ程痛くないはずよ。

 そのかわり、チョット錘を付けるけど、ね。
 ほら、ここのところを、よく見てご覧。

 ようやく痙攣が収まったものの、まだ噛みしめた歯の間からヒィーッ、ヒィーッとか細い呼吸をしているエリ子の目の前に、マキがピンチを突きつけた。
 ピンチの狭窄面を貫通して、小さな孔が開いているのが見える。

 そう、気が付いたみたいね。
 こんな緩いピンチで、錘をぶら下げたら、すぐ取れちゃうでしょ。
 どうするか、いま教えてあげる。
 二度と逃げようとしないように、しっかり味わいなさい。

 マキが無造作に、エリ子の乳首にピンチを噛ませた。

 クゥゥッッ!・・・・エリ子が、小さく悲鳴を上げる。

 確かに、耐えられないほどの痛みではない。
 胸の先で、プルプルと揺れているピンチを見ながら、マキの次にすることを不安げに見守っている。

 マキが取り出したのは・・・昨夜と同じまち針だった。

 マキが、乳首を咬んでいるピンチに手を掛けた。
 狭窄面の孔にまち針を、そっと差し込む。
 そしてまち針の頭を、軽く叩いた。

 ツッッ・・・ツッッ・・・イタイィッッ!!!

 エリ子の頬を、涙が流れ落ちている。
 マキがまち針を叩く度に、まち針が段々と沈んで行き、そして反対側から針先が覗いた。
 先端に小さな血の玉が、赤く丸く光っている。

 どう?
 こうしておけば、どんなに錘を下げても、絶対にはずれることはないわ。
 本当は、あの棘付きの針を刺してやりたいんだけど、ね。

 開発部長から、もっと重要な場面で使うように、って言ってきたから、これで許してあげるのよ。
 後で、部長によくお礼を言いなさいよ。

 マキが、錘を取り出す。
 どの位の重さなのだろうか・・・
 錘に付いている鎖の先の、小さなフックをピンチに掛けると、パッと手を離した。

 キイィィィッッッ!!!

 エリ子が、甲高い悲鳴を上げた。
 錘がブラブラと揺れ、乳首が、乳房全体が引き延ばされている。
 どれ程の力で引かれても、打ち込まれた針のため、ピンチが外れることはない。

 ツウゥゥッッッ!!!・・
 イッ!・・イッ!!・・イタイッ!!

 ユッ、ユルシテッッ!!・・・
 ゲホッ・・・ゲホホッ!!

 エリ子の全身を、汗が濡らしている。
 許しを願う悲痛な叫びは、まだ衝撃から回復しきっていない胃の痙攣のため、激しい咳込みに変わる。
 咳で身体が揺れると、その度にピンチの錘が跳ね回り、一層激しい痛みが乳首を苛む。

 気に入ったかしら。
 今日はそのまま、ずっと反省していなさい。

 そうね・・・
 ここにお客様が見えて、誰か優しい方が外して下さったら、許してあげる。
 お客様に、一所懸命お願いするんだね。
 ま、少しは礼儀も覚えるだろうよ。

 マキは冷たく言い捨てて、さっさと部屋を出ていった。

 エリ子が解放されたのは、どれ程の時間が経ってからだったであろうか・・・

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