第3話:針山の一夜

その4


 ガタガタと震えているエリ子の後ろに廻ったマキは、両手を廻してエリ子の乳房を掌で包むように掴んだ。
 そっと耳元で囁く・・・

 この前、SanKaku様をご案内したときに、お前はなんて言ったんだい・・・さぁ、思い出しただろ・・・言ってごらん!!

 エリ子は、なんとか苦痛を、これ以上の責めを逃れようとして、必死の面持ちで切れ切れに答え始めた。

 さ・・さんかく様を・・ご案内した・・時・・??・・に・・
 エリ子は・・さんかく様・・に・・あの・・・あ・・あの・・・・

 ギャアアァァァッッッッ!!!!

 マキが両手に力を加え、エリ子の乳房を揉みしだいた。
 エリ子が絶叫する。


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 マキが手を離した時、エリ子の乳房は血塗れになっていた。
 エリ子は口から泡を吹き、白目を剥いていた。

 ふん・・・マキが壁際に待機していたスタッフに、合図を送る。
 恭しく礼をしたスタッフは、すぐに水の入ったバケツを持ってきた。
 バケツの水には、氷も浮いている。

 マキが頷くと、スタッフはエリ子の頭から、バケツの水をかぶせた。
 冷たい水にエリ子が失神から覚醒する。

 どうだい・・少しは思い出したかい・・
 SanKaku様に、開発部長のことを、なんと言って紹介したんだい・・
 さっさと言わないと、もっと酷い目に遭わせるからね。
 さ、お言いなさい・・・・

 あ、あの・・九兵衛・・様を・・??・・
 さんかく・・様に・・あの・・・・・わ、判りませんっ!!
 お、お慈悲ですから・・・も、もう少し・・・教えてクダサイッッ!!!

 ふぅ・・マキの大げさな溜め息に、エリ子がビクッと反応した。

 オネガイですから・・涙を流しながら、言いかけるエリ子を無視して、マキが手を伸ばす。針に埋め尽くされた乳房の、そこだけ無傷に残されている乳首をさすった。

 アァァァッッッ!!!・・
 イヤアアァァァッッッ!!!!

 次に刺される場所を、無言に教えられたエリ子が、半狂乱の悲鳴を上げる。乳首は固く尖り勃っている。

 どうやら普通の針じゃ、お前はあまり痛くないみたい、ね。
 だから強情を張って、何時までも白状しないんだろ・・・
 特製の針を、今までの針の何倍も感じるヤツを、ここに刺してやる。

 マキが、ガラスのケースを開き、九兵衛の開発した針を取り出し、エリ子に見せつけた。

 エリ子の目の前に突きつけ、小針の棘を説明する。
 エリ子の顔から、血の気が引いている。
 必死に、必死に考えているのだ。

 あの針を刺されたら、死んでしまう・・死ぬより痛い目に遭わされる・・
 早く、早く、考えなければ・・何でもいいから、失敗したことを考えて・・
 何でもいいから、言わないと・・

 ああぁっ・・神様ぁっっ!!!

 マキが、もう一度手を伸ばして、乳首を摘んだ。
 エリ子は大きく目を開いた。
 口をパクパクさせているだけで、声にならない。
 喉が、ひぃぃっっ、と鳴った。


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 フン・・マキが乳首から手を離す。どうやら、これ以上追いつめると、案内係として使えないほどのダメージを与えてしまいそうだ。
 黒船館の奴隷や、紛れ込んだスパイなら、もっと徹底的に追い込むのだが・・・

 やりすぎてはマズイ。
 あとで、キャプテンや副長に報告できなくては困る。
 しかし、この程度で許してやる訳にも行かない、か。

 それならば・・・もう一度手を伸ばして、エリ子の乳首を爪で弾くと、感情を表に出さない声音で言った。

 よし、今晩一晩、時間を上げる・・
 針は抜くことができないよう、そのまま手錠を掛けておくけど・・・
 それ以外は自由にしてあげるから、 SanKaku様や、部長によく聞いて、自分の失敗を確認しておきなさい。
 もし、明日の朝、今日みたいな無様なことだったら、今度こそ絶対に容赦しないからね。

 そのまま立ち上がると、エリ子に一瞥も与えず、マキは体罰室を出る。
 残ったスタッフが、手を貸して、エリ子を椅子から立たせた・・・

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