第3話:針山の一夜

その2


 それだけ効果のある針・・・幹部会議の結果、これは拷問具としてマキが管理すること、これを使用する場合は、キャプテンか副長の了解を得ること、が決定された。
 ただし緊急を要する場合は、マキ一人の判断でも使用すること・・・今、マキの考えは最終段階に達した。

 あの案内係のミスは、この針を使うだけの重大な犯罪、ね。
 それで、緊急性は・・・お仕置きは、ミスを犯したらすぐにしなければ、効果がないわ。
 犬と同じだから。

 で、後はキャプテンか副長の了解、か。今、二人とも忙しくて、なかなかサロンにも姿を現さないし・・・
 これを使うと結構出血するだろうと素浪は言ってたけれど、副長は流血マニアだと言うし、どうやら事後承諾で問題なさそう、ね。よし・・・

 マキは美しい顔に笑みを浮かべると、インタホンに手を伸ばした。


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 あ、あたし、ナニも苦情、言われてません!!
 お願い・・お願いです・・・ゆ、許してクダサイ!!!

 黒船館のスタッフに、両脇を捉えられたエリ子が、身を悶え、泣き叫きながら体罰室に連れ込まれた。
 大粒の涙が頬を伝い、必死にイヤイヤと首を振っている。
 体罰の恐怖に、顔が歪んでいる。

 体罰室の中央にいたマキの姿に気付くと、その顔が蒼白になった。

 あぁっ!!!、マ、マキ様!!・・・
 ワ、ワ、私は・・・キ、キ、今日・・ダ、誰からも、言われてませんっ!!!
 ナ、ナニも・・苦情、あ、ありませんっっ!!!
 オネガイッ!!・・・・苛めないでっ!!!
 ・・・・イヤアァァァッッ!!!

 ウルサイッ!!・・ピィピィ、騒ぐんじゃないっ!!!

 いきなり、マキが平手打ちを2発。
 首が回るほどの衝撃に、まるでスピーカの電源を切ったように、悲鳴のような抗議が止まる。

 エリ子は呆然としたように、口を開いたままマキを見つめている。
 荒い呼吸の合間に、嗚咽が漏れる。

 いいわね・・お前がしたことを、ゆっくり思い出させてあげるから。
 思い出すまで、ゆっくりとね・・・・

 いいながら、マキがスタッフに顎で合図する。
 スタッフは素早く、エリ子のブラウスとブラを脱がせ上半身を裸にすると、後ろ手に革の手錠を掛けた。
 更にスカートに手を掛けようとするスタッフに、それはイイ、と目で押さえる。

 スタッフは素直に手を引き、エリ子を椅子に座らせた。
 エリ子のバストに、大粒の涙が滴り落ちる。

 フン、相変わらずだね。このいやらしい胸は・・・
 今日は、自分の過ちを、ここにゆっくり聞いてやるからね。
 早く思い出さないと、それこそ大変なことになるからね。覚悟おしっ!!

 スタッフがマキに、恭しく拘束ベルトを差し出す。
 拷問部屋で、茂杜あゆみを飾ったこともある、あの乳房拘束ベルトだ。
 マキは慣れた手つきで、エリ子の乳房に拘束ベルトを宛うと、その根本を締め上げた。

 キリキリ・・・ギリギリ・・・

 まるで音が聞こえるように、拘束ベルトがエリ子の胸に、乳房に食い込んでゆく。
 もともと丸い乳房が、まるで張りつめた風船のように、膨れ上がる。
 淡いピンクの乳首が赤味を増して、飛び出している。
 容赦なくくびられた乳房全体が、鬱血のためなまめかしく色付いている。

 マキが、尖った爪でエリ子の乳房を撫で上げた。

 ヒイィィィッッッ!!!

 エリ子が哀しく啼いた。
 充血のため、普段よりも何倍も敏感にされた乳房に、軽く加えられた刺激でも飛び上がるほどの激痛を感じるのだ。

 でかい割りに、感度はよさそうね・・・マキが呟く。
 でかい子は、鈍いのも多いのに・・・これは楽しめそうね。

 マキの囁きに、エリ子の絶望的な吐息が漏れる。

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