第1話:乳房打擲の刑
その1
佐藤エリ子の手記
今日、私のことを初めて指名して頂きました。
私を指名した方は「ジャック」様と名乗られる、黒船館では古くからの大切なお客様なのだそうです。
早速、支給されている制服に着替えて「船底ルーム」へ急ぎました。
あっ、私たちの制服をご紹介しておきますね。
制服はノースリーブのアイボリィのブラウスと、濃紺のミニスカートです。
ブラウスはとても柔らかい不透明な生地で、胸のところに『J』の大きなマークが刺繍されています。このマークは黒船館のシンボルなのです。
でも、ブラウスの裾が少し短いので、私のお臍が見えてしまいます。
最初に着たとき、少し恥ずかしかった・・
スカートは、これもすごく短いのです。私が着ると膝上・・というより、股下5cm位しかありません。いつも注意しておかないと、すぐ下着が見えてしまいます。
床から何か拾おうとするときは、もう大変です。膝を曲げるときに、よほど上体をまっすぐにしておかないと、どこから見ても丸見え状態です。
黒船館に採用されることが決まった時、この制服を着せられて、キャプテン様と顎髭をはやした大きな体格の方(後で副長のK・T様と判りました)の見ている前で、散々練習をさせられました。
時々、下着が見えてしまったのだと思います。
お二人ともニコニコ笑っておられました。
本当は抗議したかったのですけれど、少しでも逆らうと怒られそうなのでやめておきました。
下着――ブラジャーとパンティ――も、制服なのです。どちらも布の部分が、スッゴク小さくて、ほとんど完全にスケスケなのです。
最初に見せられたとき、ここに就職したのを後悔した位、イヤラシイ下着です。でも私、内緒ですけれどチョット興奮してしまいました。
あとは踵の高い、白いサンダル。
私がお客様の前に出るとき、身に着けるのはこれだけです。
「ジャック」様は、船底ルームの入口で待っておられました。
背の高い、渋い好みのダンディなお方です。
今回は久しぶりのご来館なのだそうです。
私が着替えるのに手間取ったので、少しイライラしているみたいでした。
「最近、黒船館で更新されたトコロはどこかね・・」
そう聞かれましたので、私は早速案内マニュアル(私のアンチョコです)を見て「交友部屋(黒船館の相互リンク集)」ご案内することにしました。
そしてマニュアル通りに、
「最近の更新は、“NORA’s Factory”様のリンクが追加になっております」
とご説明をしたまではよかったのですが・・
うっかり私がリンクのバナーに触れてしまったので、ジャック様はアッという間に外へ放り出されてしまいました。
私、真っ青になってしまって、ウロウロするばかりでした。
2~30分も経ちましたでしょうか、ようやくジャック様が戻って来られました。すっかり不機嫌になられたご様子です。
私、大変申し訳なくて、一所懸命に謝ったのですが、機嫌を直して頂けずに、ドシドシと音を立てて向こうへ行ってしまおうとされたのです。
私その時、ふと、ジャック様が扉から放り出されて大慌てをされたご様子を思い出してしまって、うっかりフフ・・と笑ってしまったのです。
ジャック様はこちらを振り返ると、それは怖いお顔をされて、睨まれておいででした・・・
案内係 佐藤エリ子
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告 発 書
黒船館副長 K・T様
佐藤エリ子は、本日私をエスコートする際、私を故意に交友部屋に連れ込み、不埒にも私を誘惑しようとしたばかりか、私が善良な館員としてこれを断ると、リンクの扉から私を外に放り出したのであります。
どうやら当人は、見掛けよりはかなり淫乱であるらしく、かててくわえて、凶暴な面もあるようであります。
このような性格は、黒船館の案内嬢として相応しくないものと考え、早々にこれを矯正しないことには、行く末が案じられるばかりか、キャプテン様のお顔にも、泥を塗るようなことにもなりかねません。
よって、当人にきつくお仕置きをされますよう、ここに告発いたします。
ジャック
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