ファンタジー官能小説『セクスカリバー』

Shyrock 作



<第28章「占いの小部屋」目次>

第28章「占いの小部屋」 第1話
第28章「占いの小部屋」 第2話
第28章「占いの小部屋」 第3話
第28章「占いの小部屋」 第4話
第28章「占いの小部屋」 第5話
第28章「占いの小部屋」 第6話
第28章「占いの小部屋」 第7話
第28章「占いの小部屋」 第8話




<メンバーの現在の体力・魔力>

クリトビスの塔 3階
シャム 勇者 HP 500/680 MP 0/0
イヴ 神官 HP 400/560 MP 100/590
アリサ 猫耳 HP 400/570 MP 0/0
キュー ワルキューレ HP400/620 MP100/320
ウチャギーナ 魔導師 HP 350/490 MP 100/590
エンポリオ アーチャー HP 400/510 MP 0/0

クリトビスの塔 4階
シャルル 漁師・レジスタンス運動指導者 HP 700/700 MP 0/0
エリカ ウンディーネ女王 HP 490/490 MP 620/620
マリア 聖女 HP 500/500 MP 640/640
チルチル 街少女 HP 420/420 MP 0/0
ペペ 魔導師 HP 530/530 MP 630/630

⚔⚔⚔

第28章「幻惑の塔」 第1話

 シャムたちは濃霧の中から一向に出てこない。
 敵に襲われ悪戦苦闘しているのかもしれない。
 エリカたちとすればすぐにシャムたちの元に駆けつけて加勢してやりたい。
 とはいえ闇雲に濃霧の中に突入すれば救出するどころか、シャムたちとともに全滅するかもしれない。
 このまま手をこまねいていても何も解決しない。
 エリカたちは苦渋の決断を迫られた。

 そんな中、何やらひそひそ話をしていたシャルルとペペから1つの提案があった。

シャルル「みんな、4階に行ってみないか?」
ペペ「ここで悩んでいてもシャムさんたちを助けることができません。でも探せばきっと方法は見つかるはずです。必ず4階にあるという保証はないけど、角度を変えて探してみればきっと何かが見つかるような気がします」
エリカ「良いと思います! 4階に行きましょう!」
マリア「でも4階は未知の世界です。十分気を引き締めて行きましょう」
チルチル「シャムたちを助けるでピョン♫」

 霧の中に突入するか、霧が晴れるまで待つか、4階に行って方法を見つけるか、2階に戻って探してみるか……
 思い悩んだうえでの決断であった。
 4階に向かうことはエリカたちにとって大きな賭けといえた。

 とにかく今は、シャムたちを包み込むあの濃霧を一掃する方法を見つけなければならない。
 その答えを求めて、シャルル、エリカ、マリア、チルチル、ペペの5人は4階を探索した。
 初めて足を踏み入れる4階。
 いつ敵が現れるかもしれない。どんな仕掛けが待ち構えているかも分からない。
 エリカたちは慎重に回廊を調べた。
 わずかだが外部から漏れる明かりのせいで松明は使わなくて済みそうだ。
 湿った空気とかび臭さが何ともいえない不気味さを醸し出している。

マリア「狭い廊下がずっと続いているみたいですね」
シャルル「みんな、俺の後ろを着いて来いよ」

 体力があり戦闘能力が高い戦士が先頭を歩くのは当然のセオリーだ。
 よって隊列はシャルルを先頭に、エリカ、マリア、チルチルと続き、最後尾をペペが固めた。

チルチル「私、少しは強くなったから戦いも任してピョン♫」
エリカ「分かってますよ、チルチルさん。仲間になってから成長しましたね。でも無理は禁物ですよ」
チルチル「は~い♫」
ペペ「いつでも魔法攻撃ができる態勢なのでしんがりは僕に任せてください」
シャルル「おう、頼むぞ、ペペ」

 回廊の右側にはところどころ小部屋があるため、その都度開けて確認しないといけない。
 結構手間のかかることだが手を抜くわけにはいかない。
 中には敵が潜んでいる部屋があるかもしれない。
 心して臨まなければならない。
 とにかく一刻も早く濃霧の対処方法を見つけ出し、シャムたちを救出しなければならない。

 3つ目の小部屋の扉を開けると、案の定、敵が現れた。3体のゾンビだ。
 生気のない土色の肌に血走った瞳。口元からは涎を垂らし、しわがれた声で唸っている。
 掴まれでもしたら厄介だが、鈍重な動きのゾンビ相手なら困難な敵ではないだろう。
 1体のゾンビが両手を上げて先頭のシャルルに襲い掛かってきた。

シャルル「出たか、この野郎っ!」

 袈裟懸けに剣を振り下ろすシャルル。
 もんどりうって転倒するゾンビ。
 シャルルは一刀でゾンビをうち倒した。

ペペ「神よ! 我らの行く手を阻む敵を凍らせ給え~! Θεέ του πάγου, πάγωσε τον βάλτο! 」

 胸元にブリザードを浴びた2体目のゾンビはまたたく間に凍りついた。

マリア「アンデッドにはヒール魔法が効きそうですね!」

 マリアがヒールを唱えると3体目のゾンビが苦しみ出した。
 3体すべてを一撃で仕留めることができた。
 
 雑魚の敵であっても大量に現れると、倒すために時間を要する。
 今はできるだけ無駄な時間を省きたい。
 場合によれば、戦わず逃げるのも選択肢の一つだ。
 注意を払いながら各部屋をつぶさに調べていく。
 今のところゾンビが出現したのは先程の一部屋だけだった。

 回廊を進むと7つ目の部屋の扉に1枚の銘板が掲げられていた。
 銘板には【占いの小部屋】と記載されている。

チルチル「あれ~? 占いをしてくれるみたいだピョン?♫」
ペペ「こんな人の来ない塔の中に占いとは奇妙ですね」
マリア「でも何かヒントを得られるかもしれませんね。思い切って入ってみませんか?」
シャルル「うん、入ってみよう。ただし俺が先に入るからな。みんなは俺のあとに着いて来いよ」
エリカ「あなたはいつも頼もしいですね」
シャルル「そんなことを言われると照れるじゃないか。じゃあ、入るぞ」
チルチル「は~い♫」

 はたして本当に占い師がいるのか、それともこれも罠なのか……
 エリカたちは戦々恐々としながら占いの小部屋の扉を開いた。



第28章「幻惑の塔」 第2話

 古びた木のきしむ音。
 開いた扉の先に人のようなフォルムが見えた。
 部屋の右奥に古びた木製の椅子に誰かが腰を掛けている。
 敵意を感じないが油断は禁物だ。
 エリカたちは目を凝らしてみたが、薄暗くてはっきりと見えない。

チルチル「誰かいるけど暗くて良く見えないでピョン♫」

 エリカたちは武器を構えてゆっくりと奥に入っていく。
 よく見ると卓上にローソクの火がゆらゆら揺れて、その明かりが窓がないこの部屋を照らす唯一の明かりであることが分かった。

シャルル「もう少し近づいてみるぞ」
エリカ「はい、気をつけて行きましょう」

 エリカたちの声には緊張がみなぎっている。
 ローソクの揺らめく方に一歩づつ接近する。
 きらりと光る2つのものがエリカたちを見つめている。

チルチル「もしかしたら、悪魔か鬼でピョン?♫」
ペペ「じゃあ魔法を唱える準備をします」
マリア「ちょっと待ってください。敵か味方か分からないのにむやみに攻撃してはなりません」
ペペ「確かにそうですね」
シャルル「だけど油断はするなよ」

 エリカたちはさらに一歩近づいた。
 次の瞬間、暗闇を引き裂くよな甲高い素っ頓狂な声が聴こえてきた。

謎の男「ようこそ~、皆さん~! こんなむさ苦しいところまでよくぞ来られた~!」

シャルル「なんだ?」
エリカ「ありゃりゃ……」
マリア「はぁ……?」
ペペ「おっとっと!」
チルチル「○×▲◎……♫」

 あまりにも調子の外れた声に、エリカたちは全員ずっこけてしまった。

謎の男「ふぉっふぉっふぉっふぉっ、すまんすまん。最近は客が少なくて、節約のため明かりを減らしておったのじゃ。驚かせてすまんのう」
マリア「困りますね~。私たち恐る恐る入ってきたのに、殺伐とした部屋の雰囲気と聞こえてきた甲高い声があまりにもミスマッチだったもので、すってんころりとこけてしまいましたよ~」
謎の男「殺伐としてて悪かったな」
ペペ「そんなにいじけなくてもよろしいかと」

 よく見ると男はかなりの老人のようで、口元に白くて長い髭を蓄え、額や頬には深い皺が刻まれていた。

謎の男「ところで何を占って欲しいのじゃ?」
エリカ「別に占いをしに来たわけではないのです」
謎の男「ははあ、さてはこの塔に忍び込んで迷いおったな?」
マリア「はい、まあ」

 男は自分から名乗ってきた。

謎の男「わしはパンティスキーという」
チルチル「かなりきわどい名前だピョン♫」
パンティスキー「放っておいてくれ」
マリア「チルチルさん、失礼ですよ。すみませんね、パ……パンティスキーさん……。あら、やっぱりお名前を呼ぶだけでも恥ずかしくなってしまいますわ」
パンティスキー「他の者からもよくそのように言われるが、親が付けた名前だから仕方がなかろう」
エリカ「ごほん、でも親しみやすいお名前ですわ」
パンティスキー「そんな慰めを言ってくれるとは、あんたはやさしい女子じゃのう」
マリア「ところで用件なのですが」
パンティスキー「ちょっと待った」
マリア「はぁ……?」
パンティスキー「わしは占い師なのじゃ。あんたたちの聞きたいことを全て占ってやろう」
エリカ「あのぉ、占いではなくて、私たちはこの下のフロアのことを教えてほしいだけなのですが」
パンティスキー「ごほん、わしは占いの結果しか語らん」
エリカ「まあ、なんと偏屈なおじい様でしょうか」

 エリカが少しイラっとした。
 すぐにマリアが助け舟を出した。

マリア「まあまあ、エリカさん、いいじゃないですか。パンティスキーさんがそう言っておられるのですから、占ってもらいましょうよ」
チルチル「私もその方が良いと思うよ。今はパンティスキーさんにすがるのが一番早道だと思うでピョン♫」
ペペ「年の功より亀の甲と言います。ここはパンティスキーさんの知恵をお借りしましょう」
エリカ「分かりました。ではパンティスキーさん、1つ占ってくれませんか?」
パンティスキー「いいとも」

 パンティスキーはえびす顔でうなずいた。

エリカ「占ってほしいことは」
パンティスキー「おおっと! ただで占うとは言ってないぞ」
エリカ「ええっ? お金を取るのですか? いくらいるのですか?」
パンティスキー「金などいらん」
エリカ「じゃあ何がいるのですか?」

 パンティスキーは舌なめずりをして得意満面の笑みを浮かべた。

パンティスキー「簡単じゃ。あんたが今穿いておるパンティ1枚で良いのじゃ」
エリカ「ええ~~~~~っ!? まさか、冗談でしょう? 占いの代金をパンツで支払うなんて初耳ですわ。でも今穿いているものは嫌ですよ。ねえ、代えのパンツでもいいでしょう?」
パンティスキー「ダメじゃ。使用中のものに限る」
エリカ「むむむ、何というエロじじいなの!」

 珍しくエリカが語気を荒げた。

シャルル「呼び方が『おじい様』から『エロじじい』に変わったぞ。エリカの意外な一面を見たような」
マリア「まあまあ、エリカさん、ここは要求どおりにしましょうよ。シャムさんたちを救うことが第一ですから」
エリカ「ごもっともですわ。じゃあ、私が脱ぎます」
チルチル「ええっ!? それなら私が脱ぐわ。エリカさんは脱がなくていいでピョン♫」



第28章「幻惑の塔」 第3話

エリカ「チルチルちゃん、ここは私に任せてください」

 パンティスキーに背を向けてそっとショーツを脱ぐエリカ。

パンティスキー「女が恥じらいながらパンティを脱ぐ姿は、いつ見てもいいものじゃなあ」

 パンティスキーは感慨深げにつぶやいた。
 その表情がどこか可笑しくてマリアとチルチルが顔を見合わせて微笑む。
 まもなく下着を脱ぎ終えたエリカが、丸めて小さくなった水色のショーツをパンティスキーに差し出した。

エリカ「これで占ってくれますね?」
パンティスキー「ふぉっふぉっふぉっふぉっ、いいとも」

 パンティスキーはまだぬくもりの残るショーツをエリカから受け取ると満足そうにうなづく。
 せっかく丸めたショーツをわざわざ広げ直して覗きこむ変態ぶりに、エリカは眉をひそめる。

エリカ「わざわざ広げて見なくてもよいのではないでしょうか」

 エリカは不満を漏らした。

パンティスキー「気にするな。染みがないか、ちょっと確認しただけじゃ」

エリカ「もう、このエロじじい! マジで切れたわ!」
マリア「まあまあまあ、エリカさん。変態的な行為とは思いますが、ここは堪えてください」
エリカ「分かりましたわ。でもプンプン」
パンティスキー「ところで何を占ってほしいのじゃ」

 パンティスキーは引き出しに水色のショーツを仕舞い込むと、ぼそっと尋ねた。
 にやけて締まらない表情がいつのまにか真顔に変わっている。

エリカ「この下の3階のことを教えてください。紫色の霧が充満して、仲間のシャムたちが危険なのです。霧を消す方法を教えてくれませんか」
パンティスキー「なるほど、分かった。すぐに占ってしんぜよう」

 パンティスキーは卓上の水晶玉を覗き込み呪文を唱え始めた。

パンティスキー「パンチラパンチラ~ カラコメテ~ ドルチェコメテ~」
ペペ「呪文はほとんどイアリア語のようですね」
マリア「そうですか? 出だしは何やら卑猥に感じましたが、気のせいでしょうか……」
パンティスキー「パンチラパンチラ~ ミピャチュピ~レ……カ~~~~~ッ!!」
シャルル「わっ! びっくりした!」

 パンティスキーは念じ終わると水晶玉を覗きこんだ。

パンティスキー「分かったぞ」
エリカ「それはありがたいです! どうすれば霧を消すことができますか?」

 期待に胸を弾ませるエリカたち。

パンティスキー「3階の霧を消すためには4階のとあるボタンを押すこと」
エリカ「なんと! ボタンはこの階にあるのですね? この階のどの辺にあるのですか? もう少し詳しく教えてくれませんか?」
パンティスキー「ここを出て右に進むと回廊が交差して十字路になっておる。その十字路を左に曲がれ」
チルチル「十字路を左なのでピョン♫」
パンティスキー「10歩ほど歩いたところに石像がある。その石像の鼻の頭を摘まむのだ」
マリア「こんな感じでしょうか?」

 マリアはパンティスキーの鼻の頭を摘まんだ。

パンティスキー「ばかもん。わしの鼻を摘まんでどうするんじゃ」
マリア「練習したかったもので」
パンティスキー「石像の鼻の頭を摘まむ際に1つだけ注意すること。それは……」

 エリカたちはパンティスキーの次に続く言葉を待った。

パンティスキー「間違っても石像の目を触ってはならぬぞ」
ペペ「目を触るとどうなるのですか?」
パンティスキー「アスモダイが蘇るぞ」
エリカ「なんとっ! あの地獄の魔王と恐れられているアスモダイが……!?」

 絶句するエリカ。きょとんとしているチルチル。

チルチル「アスモダイってなにピョン?♫」
マリア「アスモダイは偉大なる地獄の魔王であり邪神でもあるのです。『嫉妬』『傲慢』『怠惰』『憤怒』『強欲』『色欲』『暴食』など「七つの大罪」のうち『色欲』を司るエロい神なのです」
チルチル「シャムよりエッチなのでピョン?♫」
マリア「想像ですがおそらくアスモダイの足元にも及ばないと思います」
エリカ「しかもエロいだけではなく、恐ろしく強く私たちなど一撃で倒されてしまうでしょう」
シャルル「それはやばいな」

 エリカの表情が険しくなった。

エリカ「パンティスキーさん? つまり石像にアスモダイが閉じ込められているわけですね。慎重に扱わないととんでもないことになりますね」
パンティスキー「そのとおりじゃ。その昔、ソロモン王が捕らえて封印をしたという伝説があるが真実は明らかではないのじゃ」
エリカ「分かりました。ありがとうございます。じゃあ、みなさん、急ぎましょう」
チルチル「パンティスキーさん、ありがとうでピョン♫」
パンティスキー「ちょっと待て。パンティ無しで風邪を引かれては困る。エリカさんだったな、あんたには代わりにこれをやろう」
エリカ「何ですか? これってただの紐じゃないですか?」
パンティスキー「ただの紐ではないぞ。東洋のある国に伝わる『純白のふんどし』という下着じゃ。穿き方はこの取説に書いてあるからちゃんと読んでから穿くように」
エリカ「ふんどし……というのですか……細くて恥ずかしさを感じる下着ですが、ありがたくいただきます。ありがとうございます!」

 エリカは『純白のふんどし』を手に入れた!
 エリカは取説を読みすぐに着用した! エリカのスピードが10アップした!

シャルル「ちょっと見せろよ」
エリカ「いやですわ。殿方に見せる物ではありませんわ」

 そうつぶやきエリカはほのかに頬を染めた。

パンティスキー「もし困ったことがあればまた来るんじゃぞ。ただしパンティを必ず穿いてくるようにな」
チルチル「言われなくてもちゃんと穿いてくるでピョン♫ バイバイ、パンティスキーさん!」
パンティスキー「気をつけてな」



第28章「幻惑の塔」 第4話

 パンティスキーの占いは、予言なのか、神の託宣なのか、それとも欺瞞なのか。
 それは本人以外誰にも分からないが、結果がすべてを物語ることになるだろう。

 占いの小部屋を出たエリカたちはパンティスキーが示した経路を進んだ。

チルチル「エリカさん、ふんどしの穿き心地はどうなのでピョン?♫」
エリカ「ショーツより快適ですわ。動きやすいし開放感があります」
チルチル「それはよかった。私も欲しいでピョン♫」
エリカ「シャムさんたちを助けて、またみんなで行きましょう、ねえ、ペペさん」
ペペ「僕はふんどしには興味がありません」
エリカ「あら、ふんどしのことではなくて、占いに行こうという話なのに」
ペペ「そうでしたか。それは恥ずかしい……早とちりしました」

 日頃無口なペペが今日は珍しく饒舌である。
 元々大人しく控えめな性格だが、それだけ仲間たちと打ち解けてきた証といえるだろう。

 エリカたちは十字路に向かって回廊を進む。十字路を左に曲がって10歩進めばきっと石像が見えてくるはずだ。
 そんなエリカたちは一様にシャムたちのことを考えていた。

(今頃シャムたちはどうしているだろうか……深い傷を負って苦しんでいるのではないだろうか……いや、もしかしたら、すでに……)

 胸に去来するさまざまな想い。人は追い詰められると、ついよからぬことを想像してしまう傾向がある。
 そしてそれを打ち消すもう一人の自分がいる。

 石像のある場所はもう直ぐだ。

シャルル「みんな、急ぐぞ! シャムたちを早く救うんだ!」
エリカ「はい、必ず救いましょう!」
マリア「もうすぐ十字路ですわ」
チルチル「シャムたち~、絶対に死んだらだめだピョン!」
ペペ「きっと大丈夫ですよ。そんな簡単にやられる人たちではありませんよ」

 エリカたちは十字路を左に曲がった。
 パンティスキーの占いどおりであれば、もうすぐ石像が見えてくるはずなのだが……

シャルル「あっ! あれがじゃないか!?」
エリカ「あれはまぎれもなく石像です!」

 エリカたちが接近すると1体の石像があった。
『人面獣身』とでもいうのだろうか、顔が人間で、胴体は鳥という奇妙な姿をしている。
 ただし顔は邪鬼のような忌まわしいものではなく、実に穏やかな表情をしているように感じられた。
 とても恐ろしい魔王アスモダイが封じ込められているとは考え難い。

 エリカたちは石像の前で呆然と立ち尽くしていた。
 誰もすぐに触れようとはしない。
 緊張が稲妻のように全身を貫く。
 万が一誤って目の部分を触ってしまったら最悪の事態を招くからだ。

エリカ「私がやります……」

 明らかに声がうわずっている。
 日頃は何事も冷静沈着なエリカだが、この状況下で緊張を抑えることは難しいのだろう。

マリア「エリカさん、代わりましょうか?」
エリカ「いやですわ、私としたことが、指先が震えてしまって……。すぐに落ち着かせるから少しの間待っててくださいね」
チルチル「エリカさん、私が代わるよ。私に任せてピョン♫」

 チルチルはそうつぶやくと、またたく間に石像の鼻を摘んでしまった。

エリカ「あっ……」
マリア「ああっ、チルチルさん!」
シャルル「なんと!」
ペペ「……」

 耳を澄ましてみたが何も聞こえてこない。何も起こらない。

チルチル「鼻の摘まみ方、違ったでピョン?♫」
エリカ「あれで間違ってないと思いますよ」
マリア「3階に変化があってもこの4階では分からないのかもしれませんね」
ペペ「すぐに3階に戻るべきかと」
シャルル「おお、急いで3階に行こう!」

⚔⚔⚔

 濃霧の中で催淫剤を嗅がされ、 妖魔リリスやプレミオスライムたちに散々いたぶられ、何度も気をやらされてしまっていた。
 当然ながら気をやるたびに次第に体力は落ちていく。
 イヴは周囲の仲間にヒールをかけようとしたが、プレミオスライムの淫らな責めに苛まれ、思うように呪文を唱えることができない。
 また攻撃の対象物が見えないウチャギーナは魔法を唱えることもできず、キューもプレミオスライムに剣を奪われ素手では歯が立たず、ともに戦闘能力を大幅に失っていた。
 シャムとエンポリオは何度射精してもさらに精液を吸引され続け、完全に腑抜け状態になっていた。

 戦うこともできず逃げることもかなわず、ただただ性淫地獄の中でもがき苦しむだけのシャムたちだったが、にわかに変化が現れていた。
 シャムたちをとりまく濃霧がみるみるうちに薄らぎ視界が開けはじめていた。



第28章「幻惑の塔」 第5話

 繰り返されるリリス姉妹の吸茎攻撃によって苦境に陥ったシャムとエンポリオ。
 すっかり憔悴し顔色が壁のように青ざめている。

 シャム「はぁはぁはぁ……それだけ飲んだらもういいだろう……おい、ちょっと休ませろ……」
 リリス姉「体力があり余ってるじゃないの。もっと飲ませて」
 エンポリオ「ぜいぜい……もう空っぽだよ~……もうやめてくれ~……」
 リリス妹「まだまだ白いのが出てるわ。ほら、もっと出して」

 霧が晴れてきたことに気付いたシャムはポツリとつぶやいた。

 シャム「ん? 霧が薄くなって来たぞ?」
 リリス姉「まさか、そんなはずがないわ。気のせいよ」

 隣でリリス妹に吸引されているエンポリオの破廉恥な姿もはっきりと見えている。

 シャム「お、おい、エンポリオ……霧が晴れて来たぞ……」
 エンポリオ「ひぃひぃひぃ……あれ? 本当だ……霧が晴れてきた……」

 2人ともリリス姉妹から性的攻撃には遭ったが、武器による攻撃はまったく受けていない。
 HPは多少減少したが基礎体力は奪われていない。

シャム「おおっ! 元気さが少しずつ蘇って来たぞ~!」
エンポリオ「あっ、力が湧いてきたぞ~!」

 股間で快楽を貪るリリス姉妹をシャムとエンポリオは払い除けた。

リリス妹「キャ~~~!」
リリス姉「まずいわ! 霧が消えてしまったじゃないの! どうして?」
リリス妹「きっと何者かがボタンを押したのよ!」
リリス姉「むむむ、誰がそんなことを……」

シャム「何をゴチャゴチャ言ってるんだ。これでも食らえ!」

 シャムの平手打ちがリリス姉の顔面を捉えた。

リリス姉「いたい! 乱暴はやめて! レディに暴力はいけないわ~!」
シャム「レディが聞いて呆れるな~。このエロ女め! 淫乱女め! スケベー女め! 痴女め! 尻軽女め! 好色女め! 淫蕩女め! 男食いめ!」
リリス姉「ちょっと言い過ぎじゃないの? せめて1個か2個程度に」
リリス妹「姉さん、そこ、ちょっと違う。数の問題じゃないって」
シャム「おいらの精液をいっぱい吸っておいて、つべこべ抜かすな~!」

 シャムが剣を構えるとリリスの顔色が変わった。

リリス姉「キャ~~~!」
リリス妹「この男たちは結構腕が立つわ。霧が立ち込めないと私たちの世界にいざなえないわ! ここはひとまず退散しましょ!」
エンポリオ「待て~! 散々吸っておいて逃げるとは卑怯な女! 許さんぞ!」
リリス姉「妹よ、早く逃げましょう!」

 リリスたちは羽をばたつかせながら、急いでシャムたちの元から立ち去っていった。

⚔⚔⚔

 時あたかも、イヴたちを襲っていたプレミオ・スライムたちも霧が消え催淫剤の効果が薄れると、彼女たちの猛烈な反撃に遭っていた。

キュー「よくもよくも! 下等モンスターのおまえなんかに犯されちゃうなんて、絶対に許さないわ~! キューカッター! 切り刻みの剣~!」
ウチャギーナ「私の大事なプッシーちゃんをよくも~よくも~! ウィンドブレイド~!」

 彼女たちの怒りは相当なもので、次々にプレミオ・スライムが破壊されていった。
 
イヴ「おお、こわ……女の恨みは恐し……かくいう私もいつの間にかスライムを倒してたわ」

 催淫効果が消えればプレミオ・スライムなどイヴたちの敵ではなかった。 
 4体とも、瞬く間に粉々に粉砕されていた。

 シャムたちの無事を確認し歓喜に溢れるエリカたち。

エリカ「わ~~~! シャムさんや皆さん、ご無事でしたのね~! よかったです~!」
チルチル「シャムたちが生きてたでピョン♫ すごく嬉しいでピョン♫」
シャム「おいらがそんな簡単に死ぬと思うか~。でもマジやばかった……」
イヴ「霧を止めてくれたのはエリカさんたちなの?」
エリカ「そうですよ」
イヴ「やっぱりそうなんだ。ありがとう~。どのようにして霧を消したのか後から教えてね」
エリカ「分かりました、後から説明しますわ。それはそうと、皆さん、ほとんどが裸なのですが……ポッ……」
シャム「ん? ははははは~~~、そうだったな~。直ぐに着るから気にするな」
アリサ「にゃっ、いけない! 下着を溶かされたのをすっかり忘れてたああああ!」
キュー「まあ、気が付いたら丸見えだわ! 恥ずかしい!」

 アリサたちは自身があられもない姿だということに気付き、羞恥で顔を真っ赤に染めた赤らめた。

マリア「皆さん、少し傷を負っているようなのでヒール魔法をかけますね」
シャム「急にひっかき傷がヒリヒリしてきた……あのリリスめ……」

 マリアは傷を負った仲間たちにヒールオールを唱えた。
 MPは少々多く消費するが、仲間全員のHPを回復することができる。
 平常時でも便利だが、戦闘時には特に重宝する治癒魔法だ。
 ヒールオールを習得しているマリアの存在は、シャムたちに大きな安心感を与えている。



第28章「幻惑の塔」 第6話

 人は元気になるとつい軽口をとばすもの。

アリサ「にゃごお~、シャムにチンヒールを掛けてもらいたいなああああ」
キュー「にゅう、アリサちゃん、無理を言ってはだめだよ。シャムは妖魔リリスにたっぷり精を吸われてしばらく役に立たないと思うよ」
アリサ「そうなんだ、シャムは立たないのかああああ。でもアリサが一度試してみるにゃああああ」
キュー「へ?」
イヴ「……?」

 アリサは仲間たちの視線を浴びている中、しゃがみ込んでいるシャムの前で、ウィンクをしたり、投げキスをしたりと、様々なセクシーポーズを演じてみせた。
 さすがのシャムも疲労困憊して動けないと思われたが、予想に反して股間がもっこり盛り上がっているではないか。

イヴ「まあ、恐るべき性欲! 信じられないわ!」
アリサ「わあ~い、やったああああ! シャムがアリサのセクシーポーズを見て元気になった! じゃあシャム、チンヒールしてええええ?」
イヴ「もう、アリサちゃんったら、元気に見えても今のシャムにはちょっときついと思うよ。ちょっと休ませてあげなさい」
シャム「大丈夫だ、おいらいつでもできるぞ」
キュー「だめだめ、今はだめだよ。アリサちゃん、キノコで我慢しなさい~」
ウチャギーナ「というか、マリアさんのヒールオールで体力の80%は回復しているよ」

 体力を100%に戻したいアリサたち数人の女性は緑キノコで治療をすることにした。
 すでに回復を果たした女性たちが治療風景が見えないようにぐるりを周囲を囲んだ。
 それでもバリケードの隙間から覗こうとするシャムやシャルルの姿があった。

シャム「霧が晴れて助かったぞ、エリカたちのお陰だ! どんな方法で霧を消したんだ?」
エリカ「この上の4階で偶然にある占い師のおじいさんに出会ったのです。その占い師が霧を消すボタンの場所を言い当てたのです」
エンポリオ「へ~、そんなすごい占い師が4階にいるのか? おいらも占ってもらおうかな~?」
チルチル「男性は無理だと思うでピョン♫」
イヴ「どうして男性は無理なの?」

 マリアが恥じらいながら答えた。

マリア「実は占い代金としてお金ではなく、穿いているショーツを差し出さなっければならないのです……」
シャム「じゃあ、おいらもパンツを差し出せば占ってくれるのか?」
シャルル「おえっ」
マリア「たぶん男性は無理だと思います。占い師のパンティスキーさんは女性用ショーツにしか興味がないようです」
シャム「なるほど。それでパンツは替えではいけないのか?」
マリア「穿いているものしか受け付けてくれないのです」
シャム「つまり生パンティってことか?」
キュー「生パンティという表現、なんかいやらしい」
シャルル「早い話、占い師はまだ匂いの残っている脱ぎたてパンツが欲しいということさ」

 急にシャムが眉を吊り上げて怒りを露わにした。

シャム「ムカッ! なんというエロい占い師だ!」
イヴ「シャムが言っても全然説得力がないんだけど」
ウチャギーナ「言うなれば同類だものね」
シャム「だれが同類じゃ~!」
ペペ「まあまあ抑えて抑えて」
シャム「なあ、みんな、ユマ姫の行方も知りたいし、色々と聞きたいこともあるので、占い師のところに行ってみないか?」
イヴ「ぜひ行ってみたい!」
アリサ「恋占いもやってくれるかなああああ?」
ウチャギーナ「やっぱり乙女だわ。私も占ってほしなあ」
マリア「恋もいいけど、今は情報集めを優先しましょうよ」
ペペ「たしかに」

 一行は一息入れたあと、占いの小部屋へと向かうことにした。

⚔⚔⚔

 4階はエリカたちが一度足を踏み入れた階層ということもあって、経路に迷うこともなく一行は進むことができた。

キュー「占い師のおじいさんは本当にショーツをあげると占ってくれるの?」
マリア「本当ですよ。占ってもらった後、代金として穿いているショーツを渡しました。占いは見事に的中し、霧を消すボタンの在り処を言い当てました。かなりの能力を持っていると思いますよ」
エンポリオ「疑うのはよくないけど、その占い師はあらかじめ霧の仕組みを知っていたのではないのか?」
アリサ「疑ってはダメええええ。占い師のお陰で助かったんだから信じようよ」
エリカ「私も信じるべきだと思います。ショーツ1枚でシャムたちが助かったんだから安いものじゃないの」
ウチャギーナ「私も信じるべきだと思うけど、その占い師さん、女物ショーツを集めて何をしてるのかしら。何か気持ち悪いなあ」
チルチル「でも見た感じはそれほど不気味な占い師じゃなかったでピョン♫」
エリカ「まだ会っていないみんなも、パンティスキーさんに一度会ってから本物か偽者かを判断すればよいと思います」

 賛否両論意見を交わしながら進んでいるうちに、ほどなく占いの小部屋にやってきた。

エリカ「さあ、着きましたよ。ここが占い師パンティスキーさんの占いの小部屋です」
アリサ「にゃう~ん、ところで何を占ってもらうのおおおお? もしかしてアリサとシャムの結婚する確率とかああああ?」
イヴ「何を寝ぼけたことを言ってるのよ。ユマ姫の居場所や、次の戦いに備えて色々と教えてもらうのよ」
アリサ「なんだあ、そうかあ。あはははは~」
イヴ「あははじゃないわ。アリサちゃんったら全くもう」

 エリカが扉をノックすると、中からしわがれた声で返事が返ってきた。



第28章「幻惑の塔」 第7話

パンティスキー「入るがよい。おお、今度は大勢でやってきたな」
エリカ「パンティスキーさん、ありがとうございました。あなたのお陰で仲間を救うことができました」
パンティスキー「そうかそうか、それはよかった。されど占いは助言にすぎぬ。決断したあんたたちの行動こそが真なのじゃ」

 シャムがパンティスキーの前に進み出た。

シャム「おいらはリーダーのシャムだ。みんなを代表して礼をいうよ、ありがとう!」
パンティスキー「礼など要らぬ。使用中のパンティさえくれたらいくらでも占ってやるぞ。ふぉっふぉっふぉっふぉっ」
シャム「男物パンツで占いはやっぱり無理か?」

 パンティスキーはきっぱり言い放った。

パンティスキー「無理じゃ」
シャム「そう聞いていたがやっぱりな。はっはっはっはっは~!」
パンティスキー「今回も占ってほしくて来たんじゃろう? 何を占ってほしいのじゃ?」
シャム「この塔は何階建てなのか教えてくれないか?」
パンティスキー「占い以外のことは答えられん」

 シャムの態度が気に入らないのか、利益にならないことは行わない主義なのか、心の内は分からないがパンティスキーはあっさりと断った。
 エリカは一計を案じることにした。
 こういう偏屈な人間には、相手の嗜好にのに限る。

エリカ「それはそうとパンティスキーさん、さきほどのショーツはお気に召されましたか?」
パンティスキー「おお、おおっ、匂いといい、触り心地といい、最高じゃったぞ」
シャム「この変態じいいが!」
エリカ「まあまあシャムさん、ここは一つ穏やかに……(この占い師、匂いを嗅いできっと裏地にも触れたんだわ、気持ちわる~。でもここは抑えなくては……)パンティスキーさんの趣味に叶ったようでとても嬉しいですわ!」
パンティスキー「おお、おお、すごく気持ちよかったぞ」
エリカ「(いったい何に使ったのかしら……気分が悪いわ)まあ、そんなに良かったのなら、もう1枚渡してもう1回占ってもらいましょうかね? あ、その前に、パンティスキーさん、お願いです。この塔が何階建てか教えてくれませんか? うふん♥」

 エリカのうしろで、ウチャギーナとイヴがなにやらコソコソとささやき合っている。

ウチャギーナ「ねえねえ、エリカさんのキャラがいつもと違うよね?」
イヴ「うふふ、全然違う」

 パンティスキーはエリカの質問にためらうことなく答えた。

パンティスキー「この塔は7階建てじゃ」
イヴ「ここは4階だから3層上がれば最上階に辿りつくわけね? ユマ姫が捕らえられているとすればきっと最上階だわ。姫救出までもう少しだね。がんばろうよ、みんな!」
パンティスキー「そう簡単に行くかな?」
イヴ「それはどういうこと?」
パンティスキー「はい、無料はここまで」
イヴ「えっ? ここまでしか教えてくれないの? ケチ」
ウチャギーナ「イヴさん、ケチなんて言ったらダメよ」
イヴ「じゃあ、どう言えばいいの?」
ウチャギーナ「しみったれ」
イヴ「ケチよりも悪いと思うけど」
キュー「占い師さんにそんなことを言ったらダメだよ。パンティスキーさん、ごめんね。じゃあ5階はどんなフロアなのか占ってくれますか?」

 キューは占いを要望すると 臆することなくスルスルとショーツを脱ぎパンティスキーに差し出した。
 キューが今穿いているショーツはごく平凡な純白木綿だが、よくリボンが付いている箇所に、羽カブトの紋章がついている。

パンティスキー「おおっ、これは! 羽根カブトのエンブレム入りとは珍しや!? もしやあんたはワルキューレか!?」
キュー「よく分かったね。紛れもなく私はワルキューレの戦士です」
パンティスキー「おお~、なんと幸運だろうか~。まさかこの歳でワルキューレの穿いているパンティが手に入るとは……」

 パンティスキーは感激のあまり目をうるうると潤ませている。

エンポリオ「ワルキューレのパンツってそんなに珍しいのか?」
ペペ「知らないですよ。僕にそんなことを聞かれても困ります」
パンティスキー「パンティ占い師の間ではワルキューレのパンティはとても人気なんじゃ!」
マリア「パンティ占いというものが存在することに驚きを隠しきれません」

パンティスキー「では占ってしんぜよう」

 パンティスキーは先程と同様に水晶玉を覗きこむと呪文を唱え始めた。

パンティスキー「パンチラパンチラ~ カラコメテ~ ドルチェコメテ~」
キュー「……」

 パンティスキーの動作を瞬きもせず興味深げに見入っているキュー。

パンティスキー「パンチラパンチラ~ ミピャチュピ~レ……カ~~~~~ッ!!」
キュー「……!」

 パンティスキーは念じ終えると水晶玉を覗きこむ。

パンティスキー「見えたぞ」
キュー「何が見えたの!?」
パンティスキー「5階は弓矢地獄が待っておるぞ」
キュー「弓矢地獄ってどういう意味!?」
パンティスキー「弓が雨あられのごとく飛んでくるのが見える。あんたたちはそれをかいくぐって先に進まなければならん」
チルチル「ひぇ~! 弓矢が雨あられのように飛んでくるの? 恐ろしいでピョン!♫」
パンティスキー「だがさほど案ずるな」
キュー「どうして?」
パンティスキー「飛んでくるほとんどの矢が幻覚なんじゃよ」
キュー「ほとんどってことは本物の矢もあるわけ?」
パンティスキー「ある。闇騎士モリガンの放つ矢だけは本物じゃよ」
マリア「もしかして、モリガンって、その昔、悪魔に心を売って1000年の命を手に入れたと言われているあのモリガンのことですか?」
パンティスキー「よく知っておるのう。そう、そのモリガンじゃ。だからやつは滅多なことでは倒せぬ」
シャルル「でも倒さないと先に進めないではないか」
パンティスキー「だがモリガンにも弱点はある」
シャルル「弱点って何だ?」



第28章「幻惑の塔」 第8話

パンティスキー「モリガンは全身魔法の鎧で覆われており、通常の剣では貫けないだろう。ただし1箇所だけ弱点がある」
シャルル「なるほど。弱点を教えてくれ」
パンティスキー「膝じゃ。膝にわずかな隙間があるからそこを狙うのじゃ」
キュー「にゅう、それなら任せておいて! パワーではシャムやシャルルに敵わないけど、剣の正確さには自信があるの!」
パンティスキー「相当自信を持っておるようじゃが、容易ではないぞ。弓矢地獄をかいくぐって接近しなければならない。それにヤツは弓だけでなく接近戦においても、かなりの実力を持っておる。たとえあんたが強くても勝てるという保証はないぞ」
アリサ「キューちゃんを見くびってはいけないよ! この子はめちゃくちゃ強いんだからああああ!」
ペペ「攻撃魔法は役に立たないのでしょうか」
パンティスキー「よい質問じゃ。モリガンは魔法による強化処理を施した鎧をまとっている。そのため相当強力な魔法でない限り効果はないだろう。剣などの武器による接近戦の方が倒せる可能性は高いだろう」
シャム「ってことは、やっぱいおいらの出番のようだな。ワクワクしてきた~」
パンティスキー「ビビらんのか?変な男じゃなあ」
キュー「でも今回は私が!」
パンティスキー「ふぉっふぉっふぉっふぉっ、意気盛んな者どもじゃのう。だが、ここはみんなで協力して倒すのが一番近道じゃ」

 パンティスキーは、5階にはモリガンという強敵がおりシャムたちの行く手を阻んでくると占った。

エンポリオ「パンティスキーさん、5階のことはだいたい分かったよ。もう1つ上の6階のことも教えてくれないかなあ?」
パンティスキー「男に占いはせぬと言っただろう」
エンポリオ「俺はエルフ村に住んでるんだ。同じ島民のよしみで教えてくれないかなあ」
パンティスキー「地元民でも他国の者でもダメなものはダメじゃ」

 ウチャギーナが救いの手を差し伸べる。

ウチャギーナ「エンポリオ、あまりパンティスキーさんに無理を言ったらいけないわ。ここは私が一肌……じゃなくて1枚脱ぐので、パンティスキーさん、占ってくれませんか」

 ウチャギーナはササッと木綿の白ショーツを脱ぎパンティスキーに手渡した。

パンティスキー「おおお~、この温もりが堪らんわい!」
ウチャギーナ「変態じじいが……」
パンティスキー「何か言ったか?」
ウチャギーナ「いいえ、何も」

 首を横に振るウチャギーナ。

パンティスキー「では答えよう。6階には何もない」
ウチャギーナ「ええっ!? 水晶玉を使わないの?」
パンティスキー「いや、6階には時々行くのでよく知っとるんじゃ」
ウチャギーナ「そんなのズルイ~。占わないでショーツを盗られた~」
パンティスキー「盗られたとは人聞きが悪い。結果的に分かればいいんじゃろ?」
ウチャギーナ「それはそうなんだけど、何か損した気分」
パンティスキー「6階には何もないのは本当じゃが、最上階の7階に通じる秘密が隠されておる」
イヴ「ここまで聞くと7階のことを知りたくなったよ。ねえ、その秘密教えてくれない? 私の穿いているパンティあげるから。うっふん」

 イヴはウィンクをした。

パンティスキー「あんたのもくれるのか? では教えてやろうかな~」
シャム「チェッ、現金なじいさん」

 イヴは愛用のベビ-ピンクのTバックを脱いだ。

パンティスキー「おお~おお~、今日はパンティが溜まる日じゃのう。最高記録を達成するかもしれんぞ」
イヴ「最高記録なんてどうでもいいから早く教えてよ~」
パンティスキー「よいだろう。実は7階は空中に浮いておる」
イヴ「う、うそ~~~~~!!」
シャム「な、なんだって!?」
エリカ「空中に浮いてるってどういうことですか!?」

 シャムたちは驚きのあまり腰が抜けそうになった。

パンティスキー「空中に浮いておるというのは、つまり6階と7階が離れておるということじゃ」
イヴ「そんなことは子供でも知っているよ~。そうじゃなくて、どうして離れているのかを知りたいのよ~」
パンティスキー「知らぬ」
イヴ「もう、頼りない占い師だわ。プンプン」
パンティスキー「まあ、そう言うな。私も訳あってここで居候をしておる身じゃ。これはあくまで推測じゃが、何者かが強力な幻術を使って我々に幻影を見せておるだけかも知れぬ。いずれにせよ、容易には7階へは行けぬと言うことじゃ」
ウチャギーナ「そんなあ……容易じゃなくてもいいから7階への行き方を知りたいのよ」

 パンティスキーはぽつりとつぶやいた。

パンティスキー「それは後ほど占うとして……先ずは5階の弓矢地獄を突破することじゃ。嵐のように飛んでくる無数の矢をかい潜ってモリガンと戦いやつを倒さなければならぬ。ヤツを倒せば『ユニコーンの角』が現われる。それをここに持ってくるのじゃ。そうすればその6階から7階に行く方法を占ってしんぜよう」
シャム「よし、分かった! ありがとよ~~~! モリガンの首をここに持ってくるから、その後教えてくれよ~~~!」
パンティスキー「ゲゲッ、首はいらん。『ユニコーンの角』じゃ。間違うでないぞ」
シャム「分かったよ! みんな行くぞ~~~! 弓矢地獄なんてクソ喰らえだ~~~!」
パンティスキー「モリガンを侮るではないぞ。ヤツの弓は恐ろしく正確らしいからのう」
エリカ「分かったました! パンティスキーさ、ありがとうございます~!」

 ウチャギーナとイヴは『純白のふんどし』を手に入れた!
 2人はエリカから締め方の手ほどきを受けすぐに着用した! 股間がキリリと締まり緊張感が走った。
 ウチャギーナとイヴのスピードが10アップした!

 シャムたちはパンティスキーに一旦別れを告げると、5階へと続く階段を力強く駆け上がって行った。



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漁師・レジスタンス運動指導者 シャルル


ウンディーネ女王 エリカ











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