ファンタジー官能小説『セクスカリバー』

Shyrock 作



<第15章「三日革命」目次>

第15章「三日革命」 第1話
第15章「三日革命」 第2話
第15章「三日革命」 第3話
第15章「三日革命」 第4話
第15章「三日革命」 第5話
第15章「三日革命」 第6話
第15章「三日革命」 第7話
第15章「三日革命」 第8話
第15章「三日革命」 第9話
第15章「三日革命」 第10話
第15章「三日革命」 第11話
第15章「三日革命」 第12話




<メンバーの現在の体力>

シャム 勇者 HP 410/410 MP 0/0
イヴ 神官 HP 330/330 MP 330/330
アリサ 猫耳 HP 350/350 MP 0/0
モエモエ 魔導師 HP 270/270 MP 360/360
エリカ ウンディーネ女王 HP 270/270 MP 380/380
シシ・フリューゲル 女海賊 HP 390/390 MP 0/0
チルチル 街少女 HP 200/200 MP 0/0
シャルル 漁師・レジスタンス運動指導者 HP 440/440 MP 0/0
ジュリアーノ 水夫 HP 450/450 MP 0/0

⚔⚔⚔

第15章「三日革命」 第1話

 夕暮れ時、シャムたちを乗せた漁船は無事ジャノバ港に到着した。
 さらにもう1隻、奴隷から解放された人々を乗せた護送船は、ジャノバ港だと何かと目立つのであえて隣の漁港に寄りシャルルの手配で人々を保護することになった。
 漁港はシャルルの故郷であり、なおかつレジスタンス軍の本拠地でもあったので、最も適した港と言えるだろう。

 ジャノバ港に着いたシャムたちはシャルルと合流しすぐに行動を開始した。
 巷に偽国王レッドシェイドの悪い噂を広め、敵を混乱させ、住民に不信感を抱かせる。
 言葉でいうと簡単なようだが、現実にはかなり高度な計略といえる。
 的中すると信じられないほどの効果が期待できるが、逆に失敗すると諜報活動を行なっていることがばれてしまい、敵の警備がより一層強固となりレッドシェイドを倒すのは困難となる。
 そればかりかシャムたちに危険が及ぶかもしれない。
 仮にレジスタンス軍や海賊の応援を借りたとしても、兵力でジャノバ軍に勝るわけもなく、シャムたちはあえて少人数でも勝算のある諜報活動作戦を選択したのだった。

 今回シャムたちは旅人に扮装することにした。旅人であればごく自然に港町に溶け込むことができ人々の警戒心も緩むだろう。人々の警戒心が緩めばおのずと噂を広めることのできる確率も上がるというものだ。
 ただし大勢で行動すると目につきやすいので、諜報活動は3グループに分散して行うことになった。

 ・シャム班……シャム、イヴ、アリサ
 ・シャルル班……シャルル、エリカ、シシ
 ・ジュリアーノ班……ジュリアーノ、モエモエ、チルチル

 シャルルはレジスタンス軍指導者と言うこともあって、城内だと顔を知られている可能性が否めない。
 そのためシャルル班は比較的ばれにくい街中を受け持つことになった。
 そして城内はシャム班とジュリアーノ班が城内部に潜入して活動を行うことに決まった。
 各班は受け持ち地区を3日かけて噂を広める諜報活動を行なったのち、3日目の夜、宿屋に集合するのだ。

⚔⚔⚔

 初めに城内へ潜入したのはシャム班だった。
 旅人が行きそうな場所に行き、ありふれた会話をすればよいのだ。
 会話が弾めばさらりと偽国王の噂をささやく。決して力説することなく、人づてに聞いたことを強調するのがポイントなのだ。

 市場や酒場、カフェなどできるだけ人が多く集まっている場所が効果的だろう。
 イヴの提案で、城内のカフェに行ってみることになった。
 店内は城内のカフェというだけあって、客は甲冑こそ付けていないが厳つい男たちがほとんどで、女店員を除いて女性の姿はほとんど見かけなかった。
 座席数が多く申し分ないほど広い店内なのだが、花や工芸品等の飾り気は一切なく実に殺風景な佇まいを呈していた。
 男たちは味気のない店内など一向に気にかける様子もなく、賑やかに談笑に耽っていた。

イヴ「店をちょっと間違えたかしらね」
シャム「贅沢はいわない。遊びに来たんじゃないんだぞ」
アリサ「にゃんにゃん、こんな地味なお店もたまにはいいじゃんんんん。ね? イヴさん?」
イヴ「そうね。でも華がないってちょっと寂しい感じ」
シャム「華なら今夜はここにカトレアが二輪咲いてるじゃないか~」
イヴ「上手く言うわね、この色男!」
アリサ「にゃんにゃん、イロオトコオオオオ」
シャム「アリサ、色男って意味分かってるのか?」
アリサ「さあ……」

 ドテンッ! 
 シャムとイヴは思わずズッコケた。

イヴ「ところでシャム、今回の計略はシャムとしては珍しく知的な作戦だよね」
シャム「珍しく……って一言余計だな~」
イヴ「気を悪くした? ごめんね。そんな計略をどこで覚えたの?」
シャム「ロマンチーノ城にいた時、兵法の勉強で教えてもらったんだ。中国という遠い国から来た諸葛というすごく賢い先生だった」
アリサ「へ~、すごいなああああ!」
イヴ「で、今回の計略は何という名前なの?」
シャム「何でも『流言飛語の計(りゅうげんひごのけい)』というらしい」
アリサ「にゃあ、敵の陣地で噂を流して、敵を混乱させるってすごいなああああ!」

シャム「おい、アリサ、声がでかいぞ!」
アリサ[にゃんにゃん、そうだった。ちゅみまちぇん」

 まもなく注文した飲み物が運ばれて来た。
 運んで来たのは無骨な店には少々不似合いな愛らしい女店員だった。

「お待たせしました。モカブレンドに、カフェオーレに、それからミックスジュースです」

 テーブルに手際よく飲み物を並べる女店員の顔をじっと見つめるシャム。
 そのときシャムが突然悲鳴をあげた。

シャム「ぎゃお~~~!」
女店員「えっ? どうなさいましたか?」
シャム「いててて……今、誰かおいらの足を踏んだ」
女店員「私は踏んでませんけど……」

 シャムはテーブルの下を覗き込んでみたが、スラリと伸びた美しい脚が4本見えるだけで特に怪しいそぶりは感じられない。



第15章「三日革命」 第2話

シャム「踏んだのは誰だ? 正直に言えば許してやるから」
アリサ「アリサは踏んでないもんんんん!」
イヴ「私も踏んでないよ~!」
シャム「じゃあ2人ともおいらの目を見て」

 アリサは瞳を微動だにせずじっとシャムを見つめた。
 イヴはわずかだが瞳が左右に細かく揺れている。
 人は嘘をつくと目が泳ぐ場合が多い。

 2人の目を見れば誰であるかは火を見るより明らかだったが、シャムはわざと荒唐無稽なジョークで返した。

シャム「二人とも踏んでないな。踏んだのは透明人間に間違いない。出てこい、透明人間!」
アリサ「と、透明人間? にゃんにゃん~、シャムがおかしなことを言うから笑えるうううう」
イヴ「急に変なこと言わないでよ。透明人間なんていないよ」

 そばで話を聞いていた女店員が神妙な表情に変わった。

女店員「以前、母が透明人間に出会ったことがあると言ってましたよ」
イヴ「まじで? どこで出会ったの?」
女店員「『ノルド・テラ』で会ったと言ってました。通称『北の大地』と呼ばれているところです」
シャム「ペルセ島の北にある大陸か。で、その透明人間は何か悪さとかしたの?」
女店員「ごめんなさい。私がまだ幼かったので詳しいことは分かりません」

 シャムたちが何やら言い争っていると思ったのか、近くのテーブルにいた黒髭のオヤジが会話に割り込んできた。

黒髭のオヤジ「まあまあ、あんたたち、どんな理由か知らないけど仲良くしないといけないよ」
シャム「え? おいらたち別に喧嘩なんかしてないんだけど……」
黒髭のオヤジ「それならいいんだけどさ。見たところあんたたちは旅人のようだけど、旅先では仲良くやるのが一番だからね」
シャム「おじさんは誰?」
黒髭のオヤジ「俺は小麦の交易商人なんだ。城に小麦を卸している」
アリサ「にゃんにゃん、みんな仲良くやってるから心配しないでええええ」
イヴ (おせっかいな男が絡んで来たわ)
黒髭のオヤジ「それにしてもこんな可愛い子2人を連れて旅をするとは、あんたもやるね~」
シャム「いやいや。この子たちとは旅の途中で知合って、行き先が偶然同じ方向だったから、途中までおいらが用心棒を引き受けただけだよ」

 黒髭のオヤジはシャムとの会話よりも女性2人に興味があるようで、舐めるような視線でイヴとアリサを交互に見ている。

イヴ(何かやだなぁ、このスケベオヤジったら嫌らしい目つきでジロジロと見てる)

黒髭のオヤジ「用心棒? ほう、あんたはかなり腕が立つようだね」
シャム「いや、まだ駆け出しで」
黒髭のオヤジ「だろうね、そう思ったよ」
シャム「どっちなんだ!」

 思わずずっこけるシャム。

黒髭のオヤジ「どうだろう? 俺も旅の仲間に入れてくれないか? 商人が仲間だと金品のやりとりが心強いよ。それに女の子2人だと夜も何かと大変だろうから1人は面倒見てやってもいいよ。へっへっへ~」
イヴ「失礼しちゃうわ! 私たちはそんな変なことはしてません!」
アリサ「にゃんにゃん! イヴさんの言うとおりだもん。エッチなことは滅多にしないもん」
シャム「……」
イヴ「あらら……」
黒髭のオヤジ「ってことは、たまにエッチなことをしてるってことじゃないか。がははは~、なかなか正直な猫耳ちゃんだね。気に入ったよ~、がっはっは~」
アリサ「もしかして、アリサはよくないことを言ったかにゃん?」
シャム「たぶん……」
イヴ「おそらく……」

黒髭のオヤジ「まあその話は置いといて、俺はこの街に住んで3年になるけど、この街も最近住みにくくなったね。あまり大きな声じゃ言えないけどさ」
イヴ「どのように住みにくくなったわけ?」
黒髭のオヤジ「あんたたちは旅人なので知らないと思うけど、国の法律が最近急に厳しくなって、些細な事件を起こしただけでも島送りにされてしまうんだよ。だからみんなビクビクしておとなしくなってしまったよ。その分、治安は良くなったけどね、でもみんなかなり怯えて暮らしてる」
イヴ「やっぱりね。国王が悪いやつに変わったんだから当然だよね」
黒髭のオヤジ「えっ? 何だって!? 国王が悪いやつに変わったって、それはどういうこと? 国王はずっと変わってないよ。5年前に先代の国王がお亡くなりになった後、長男のミシェール・ジャノバ王子が王位を承継されて、それ以降ずっと国王は同じだよ」
イヴ「オヤジさん、ちょっと耳を貸して……」
黒髭のオヤジ「ん? なんだ?」

 黒髭のオヤジは美女が顔を近づけてきたことに快く応え、デレデレとだらしなく笑いながらイヴに耳を寄せた。

イヴ「あのね、その国王のことで凄い噂があるんだけど、誰にも話さないって約束できて?」
黒髭のオヤジ「おお、もちろんだとも。絶対に誰にも話さないから教えてくれないか」
イヴ「実はね、ミシェール・ジャノバ国王は既に暗殺されていて、替え玉がその肉体を乗っ取っているのよ」
黒髭のオヤジ「な、なんだって!? そ、そんなバカな!」

 黒髭のオヤジは突拍子もないイヴの話にまなこを見開いて唖然としている。

イヴ「もう、声が大きいわ。静かにつづきを聴いて」
黒髭のオヤジ「すまない、驚いたのでつい声が大きくなってしまった。もっと詳しく教えてくれないか」
イヴ「いいわ。その替え玉って言うのは実は魔界からやって来た化け物でね、彼の狙いは……」

 イヴは小声で、国王のことやペルセ島の奴隷のこと等をかいつまんで男に話して聞かせた。
 イヴの言葉が進むに連れて、男の顔は次第に青ざめていった。

黒髭のオヤジ「へ~……そう言うことだったのか。驚いたよ……」
シャム「オイラも最初聞いた時はとても信じられなかったよ。でも本当なんだ」
イヴ「オヤジさん、誰にも話しちゃダメよ」



第15章「三日革命」 第3話

黒髭のオヤジ「うん、だいじょうぶ誰にも言わないからね。こう見えても口の堅さには定評があるんだ。何せ名前が『イワン』だからね、がっはっはっは~」
イヴ「イワンは絶対に言わん、ってか? アハ、おじさん楽しい人ね」
黒髭のオヤジ「いやあ、それほどでもないけどね~」

 このときイヴはすでに黒髭の男の口の軽さを見抜いていた。
「絶対誰にも言わないから」と返してくるのは、口が軽い人間の口癖だということを。

 シャムたちの今回の目的は、短期間で噂を広く伝播させること。
 そのためには、口が堅い人間より口が軽い人間を探り当て吹聴して回るのが早道なのだ。

 そのとき、アリサが突然口に手をあてて大きくあくびをした。

アリサ「ふわぁ~、にゃ~ご~、シャムぅ、眠くて目がくっつきそおおおお。昨夜あんなことして全然眠らせてくれなかったからだにょおおおお」
シャム「おいこらっ! アリサ、適当なことを言うな!」
アリサ「嘘じゃないもんんんん」
シャム「昨夜、おいらは早くからグーグー眠ってたぞ~!」
ありさ「きゃああああ!」

 座席を立って逃げ惑うアリサを追いかけるシャム。
 まるで鬼ごっこのようだ。

シャム「待て~~~!」

 アリサは急いで便所に飛び込んだ。
 ここでシャムたちの鬼ごっこは終了。
 黒髭のオヤジの心に強い衝撃を与えるための一連の行動であったのだ。

黒髭のオヤジ「ありゃ、追いかけっこして向こうに行ってしまったよ」
イヴ「ごめんなさいね、騒々しくて。じゃあそろそろ私帰ります」
黒髭のオヤジ「もう帰るのか。もっと話をしたかったのに残念だね。今日はすごい話を聞かせてくれてありがとうよ」
イヴ「どういたしまして。でもあくまで噂だからね」
黒髭のオヤジ「うん、分かった。最後に1つだけ教えて?」
イヴ「何を?」
黒髭のオヤジ「あんたの名前を知りたいんだ」
イヴ「イヴよ」
イワノフ「『イヴ』さんか。いい名前だね。覚えておくよ」
イヴ「それじゃね」

 イヴは黒髭のオヤジに会釈をすると、勘定を済ませシャムたちの後を追いかけた。

 イヴが店から出ていった後、黒髭のオヤジことイワンはまだ夢路でもさまよっているかのようにぼんやりとしている。

イワン「それにしても堪らないほどの美女だったなあ……」

 シャムたちが店を出た後、入れ替わり2人の男が入店すると親しげにイワンに声をかけた。

鍛冶屋の男「おお、イワン、どうだ? 近頃景気は」
イワン「いやあ、さっぱりだよ」
肉屋の男「小麦を城に卸しているんだからかなり羽振りがいいんじゃないのか?」
イワン「ところが最近は価格を叩かれて、収入はガタ落ちだよ」
鍛冶屋の男「商売って何かと大変だなあ。鍛冶屋だってきつい割りに儲けが薄いけどな」
イワン「楽して儲かる仕事なんてなかなかないよな」
肉屋の男「そんな仕事があったら早々に鞍替えしているよ」
鍛冶屋の男「商売の話はさておいて、何か面白い話でもないのか?」
イワン「面白い話なんてあるはずが……ん? ちょっと待てよ。あぁ、そうそう。実はこんなすごい話を聞いたんだ」
鍛冶屋の男、肉屋の男「ほほう、なになに?」
イワン「とにかくすごい話なので聞いて驚くなよ。大きな声では話せないのでもっとこっちへ……」

 2人の男はイワンの話を興味深げに身を乗り出している。

イワン「実は……」

 信じがたいような話に2人の男は好奇心に目を爛々と輝かせて聞き入っている。
 2人とも国の最近の在り様に少なからず憤懣は抱いていたが、国を変えようという気概や勇気は持ち合わせていなかった。
 行動を起こせない人間は鬱積したやるせない気持ちを他人に吐露することで心の憂さを晴らすことがある。
 不平不満を語ることで心の均衡を保とうとするのだ。
 イワンたちがまさにそうだった。

⚔⚔⚔

『本当の国王は既に暗殺されていて、替え玉である魔物が国を支配している』というのだから尋常ではない。
 シャム班だけでなくほかの2班も懸命に伝播に努めた。
 その甲斐あって噂は瞬く間に広まっていった。
 仲間へ、職場の同僚へ、家族へ、商人へ、職人へ、兵士へ……
 大人だけでなく、子供たちへも。
 ジャノバ国は懸命に噂を鎮めようと布令を出したが、一度広まった噂は簡単には治まらなかった。

 シャムたちが宵に訪れた城内のカフェに、夜が更けてから3人の男女がやってきた。
 シャルル、エリカ、シシである。
 3人は行商人のような身形をしており、シャルルに至っては立派なヒゲまで蓄えまるで別人のようである。
 シャルルの場合、レジスタンス軍の指導者ということもあって素顔だと面が割れている惧れもあって安全を期しての変装であった。

 夜更けにもかかわらず客足は一向に衰えない。
 カフェと名乗ってはいるが酒場も兼ねているため客層が幅広いのだろう。

 シャルルたちはわずかな空席を見つけて腰をかけた。

エリカ「うふっ」
シャルル「何が可笑しいんだよ?」
エリカ「だって付けヒゲが滑稽で」
シャルル「おい、大きな声で言うなよ。ばれたらちょっと厄介だからな」
エリカ「そうでしたね。ごめんなさい」
シシ「シャム班があちこちにばら撒いた噂はうまく広がってるかしら?」
シャルル「彼らならきっと上手くやってるはずさ」
シシ「ちょっと確かめてみようかしら」
エリカ「それはいいですね」
シャルル「じゃあ、俺が調べて来ようか?」
シシ「いや、シャルルは動かない方がいいよ。私が調べてくる」

 ふたつ隣の席に兵士たちが談笑している。
 シシは彼らに近づき、にっこりと微笑んだ。



第15章「三日革命」 第4話

シシ「皆さん、お寛ぎのところ、申し訳ありません。私は行商の者なのですが、もしお気に召したら何か買ってくれませんか?」
兵士A「どんな物を売ってるんだ?」
シシ「はい、薬草、法力草、それに青キノコなどがあります」
兵士B「ふむ、薬の行商か」
兵士A「薬だったら城内の薬屋で腐るほど売ってるぜ。悪いが他を探しな」
シシ「安くしておきますので、1つだけでも買ってもらえませんか?」
兵士A「あんたもしつこいな~。要らないと言ったら要らないんだよ」
兵士C「おい、兄弟。薬草は買っておいてもいいんじゃないか? もう直ぐ戦が始まりそうだし」
兵士A「しっ! バカヤロー! 余計なことを言うんじゃねえや」
シシ「あのぅ、戦が始まるってどういう意味ですか? この国はすごく平和に見えますが?」
兵士C「あ、あんた、知らないのか? そりゃあ無理もないよなあ、よそからやってきた行商人だからな。実はな、ニセモノの国王が……」
兵士A「バカ!! 余計なことを喋るんじゃないよ。下手したら反乱軍とみなされ捕まってしまうぞ」
シシ「あのぅ、少しだけでいいので王様のことを教えてくれませんか? それに戦いが始まるかも知れないとはどう言うことですか? どうしても気になって」
兵士B「行商人のあんたがどうしてここの国王のことを知りたがるんだ?」
シシ「実は私の妹が城内のメイドとして働いているんです。最近連絡が途絶えたもので何かあったのではないかとすごく心配になって……」
兵士B「なるほど、それは心配だなあ。だがな、実は俺たちも今ちょっと立て込んでてな、話すことができないんだ。悪く思わんでくれ」
シシ「無理ですか……ではこれなら教えてくれますか?」

 シシは円卓の3人の兵士に接近し、衣服の前ボタンを2つ外した。
 服の合わせがパラリと開き、行商人の地味な衣服とは不似合いな黒いブラジャーがチラリと覗いた。

兵士B「なんとっ……いい形のオッパイ!?」

 乳房の一部しか見えなかったが、豊満な乳房の持ち主であることは容易に想像がつく。
 シシの大胆な行動に兵士たちは言葉を失っている。
 視線はその見事な乳房に釘付けになってしまった。

 ようやく兵士の1人が口を開いた。

兵士B「あんた一体何のつもりだ……?」
シシ「この青キノコをタダで差し上げますわ。だから国王のことを教えてくれませんか?」

 ほかのテーブルから見えないようにシシは3人の兵士に囲まれるように間近ににじり寄って乳房をちらつかせた。
 甘い芳香がプンプンと男たちを刺激する。
 1本の青キノコが乳房の狭間に挟まれているのを見て思わず生唾を呑む兵士たち。
 強面の兵士たちの表情が次第に柔和になり、口元には締まりのない笑みまで浮かべている。

兵士B「オッパイから青キノコを取ってもいいのか?」
シシ「自由に取ってくれていいですよ。でもその前に国王のことを教えてください」
兵士B「いいだろう。だけど口外は絶対に禁物だぞ」
シシ「分かってますわ」
兵士B「あくまで噂なんだが、あろうことか国王はすでに暗殺されていて、ニセ国王に入れ替わっていると言うのだ」
シシ「えっ! 国王が殺されたのですか? メイドの妹が心配だわ……。で、国王は誰に殺されたのですか?」
兵士B「何でも魔界からやって来たレッドシェイドと言う魔物にやられたらしい」
シシ「どうして国王は魔物に殺されたのですか?」
兵士B「はい、ここまで。青キノコの代金分は十分話してやったぞ」

 兵士Bはシシのブラジャーに差し込んであった青キノコをスッと引き抜いた。
 人肌の温かさがまだ残っている。

シシ「ふ~ん、その先が聴きたいんですけどねえ。ではこれでいかが?」

 シシはそうつぶやきながら衣服の裾をたくし上げた。
 着用している行商人服は質素で地味なものだが、その奥からムッチリとしたよく引き締まった美しい太股が現われた。
 その光景に兵士たちはごくりと固唾をのみ、我先に覗きこんできた。
 太腿は半透明の黒いストッキングに包まれており、上端にはガーターベルトの留め金がついていた。
 なんとストッキングには1本の薬草が挟み込まれている。

兵士A「ほほう、今度は薬草か?」
シシ「そうですよ。でも先程の話の続きをしてくれたら、無料で進呈しますわ」
兵士A「悪い話ではないな。話してやるからほかの客から見えないようにもう少し屈むんだ」

 シシは屈みながら兵士Aに顔を近づける。
 すでに結構な量を煽っているのか、かなり酒臭い。

兵士A「ふう~、あんた、すごくいい香りがするねえ。俺のジュニアが元気になりそうだ。わっはっは~」
シシ「あは、元気な男が嫌いな女なんていませんわ。それはいいとして早く話してください」
兵士A「ちぇっ、そう急かすなよ」
シシ「ごめんなさいね。妹のことが気になるので……」
兵士A「あんた、妹想いなんだなあ。俺にも弟がいてな」
シシ「あなたの弟さんの話はいいので、早く聞かせて」
兵士A「よし、じゃあいいか、耳の穴をよ~くほじくって聞くんだぞ。魔物レッドシェイドが国王を殺した理由は、殺害後、ジャノバ国を支配するためらしい」
シシ「支配してどうするつもりなのですか?」
兵士A「聞いた話によると、ジャノバ国はおろか全国に魔物たちを蔓延らせてこの地上を征服するつもりだという」
シシ「そんな恐ろしいことを……」
兵士A「だろう? だから……」
兵士B「おおっと、そこまでだ」



第15章「三日革命」 第5話

 3人の中では兄貴分ともいえる兵士Bが他の者を制し、あっさりとストッキングに挟まれた薬草を抜き取ってしまった。
 抜き取った薬草を他の兵士に放り投げるとニヤリと意味ありげな微笑を浮かべた。

兵士B「この先を聞きたいか?」
シシ「もちろん聞きたいわ」
兵士1「だが、これ先の情報料はちと高いぞ。払えるかな?」
シシ「じゃあ、これでいかがですか?」

 シシが衣服の裾をさらにまくり上げると、黒いショーツが兵士たちの目に飛び込んできた。
 漆黒の下着と白い肌の見事なコントラストは兵士たちをたちまちメロメロにする。
 よく見るとショーツの上部には法力草が1本差し込まれている。

兵士C「ほへ~! これはいいね~! ねえ兄貴、この法力草をありがたくもらっておいて、例のことを話そうじゃないか?」
兵士B「甘い」

 兵士Bは兵士Cをたしなめると、黒いショーツから法力草をサッと引き抜くと突然居直った。

兵士B「これはチップとしてもらっておいてやる。だけどこれだけじゃ不足だな」
シシ「え……? では何を……」

 この男たちは一体何を要求してくるつもりだろう。
 シシの心に不安がよぎった。

兵士B「あんた、緑キノコを持ってるか? 見てのとおり俺たちは兵士だ。魔法は使えない。欲しいのは法力草よりHPを増やす薬草や緑キノコだ」
シシ「緑キノコもありますよ。それをお渡しすればいいのですね……?」
兵士B「いや、それをあんたの大事な場所に入れてもらおう」
シシ「えっ? そんな無茶なことを……」
兵士B「無理にとは言わない。だけど先の話を聞きたければ、緑キノコをアソコに挿し込んで他の客には分からないようにこっそりとよがってみな。で、たっぷりととあんたの蜜がついた緑キノコを俺たちがもらう。どうだ? できるか?」

 シシは兵士たちの淫猥な提案に絶句してしまった。
 いくら情報収集のためとはいっても、これほどまでに屈辱的なことを受けなければならないのだろうか。
 こんな下司な男たちの前で破廉恥な姿を晒さなければならないのか。
 当然海賊の女頭領としての誇りもある。
 シシは思い悩んだすえ、こっくりとうなずいた。

シシ「分かったわ」
兵士B「ほほう、受けたか。ではすぐに始めてもらおう。おっと、そこに立ってると目立って仕方がないので、俺の隣に座ろうか」

 兵士Bは自身の隣の空席に座るよう指示をした。

シシ(同じ挿入するならできるだけ小ぶりな緑キノコにしよう……)

 シシは席に座ると、布袋の中を覗き込み小ぶりな緑キノコを探すことにした。
 シシが取り出した1本の緑キノコを見て、兵士Bは首を横に振った。

兵士B「わざと小さなモノを選んだな? もっと大きなモノがあるだろう?」
シシ「……」

 シシがためらっていると、兵士Bが布袋を奪い取った。

兵士B「俺が探してやるから布袋を見せろ」

 兵士Bはごそごそと袋の中をかき回す。

兵士B「よし、これがよい。これにしよう」

 兵士Bが取り出したモノは、シシが持っていた緑キノコの中で最も大きなモノであった。

兵士B「これを使え」
シシ「こんな大きなモノは無理ですわ」
兵士B「いいや、ダメだ。これを使うのだ」

 半ば強制的に勧めてくる兵士Bに、シシは表情を曇らせた。

シシ「どうしてもこれですか……?」
兵士B「そうだ」

 兵士Bシシを睨みつけ威嚇する。
 口元は微笑を浮かべているが目は真剣だ。

シシ「分かったわ」

 折れるしかなかった。
 シシは勧められるままに緑キノコを手にとった。
 よく見るとカサや柄が思っていたよりも太い。
 長さは20センチ弱と平凡なのだが、カサの直径が10センチ以上、柄も優に7センチは超えておりかなり『極太』といえる。

シシ「ちょっとこれは……」

 あまりに巨大であるためシシが挿入をためらっていると、兵士Bが促すように目線を送ってきた。
 情報が欲しい、そのためには背に腹は代えられない。

シシ「見てはダメですよ」
「分かった」

 シシは衣服をまくり上げると緑キノコをじっと見つめた。
 3人の兵士は言葉とは裏腹に固唾を呑んで、これから始まる美女の自慰行為を注目している。

「見ないでね」
「うん」

 シシは周囲の客に注意を払いながらゆっくりと黒いショーツを下ろす。
 膝まで下ろすとわずかに太腿を広げた。
 衣服に隠れて内部は見えないが、緑キノコを秘所にあてがったことが気配で分かる。
 シシは瞼を閉じてゆっくりと緑キノコを押し込んでいく。

シシ「あぁっ……」

 息を殺してシシの様子を真剣にうかがっている3人の兵士。
 シシの口からかすかな吐息が漏れ、艶やかな唇がわずかに開く。
 緑キノコを握る手の動きが衣服の外からでもはっきりと分かる。
 声を懸命に抑えている様子から周囲への配慮がうかがえる。
 それでも堪えきれなくなって時折かすかな声を漏らす。

シシ「あはぁ……あぁん……」

 蚊が鳴くように小さな声だが絶え間なくつづく。
 周囲では声高らかに談笑している客が多く、こちらには気づかないようだ。

兵士A「すげえなあ……店内でこんないいものが見れるとは驚いたぞ」
兵士B「すごく興奮してきたよ。興奮させた責任をこの女に取ってもらおうかな?」
兵士A「へへへ、全くだ。俺なんてさっきからもうビンビンになってしまってるぞ」

 緑キノコを出し入れするシシ。兵士たちの卑猥な会話などまったく耳に入っていないようだ。
 出し入れするたびに愛液の粘り気が増して、まるで緑キノコが吸い付いてくるかのような錯覚に陥る。



第15章「三日革命」 第6話

シシ「やっ……ああっ……あっ、あっ、あっ……」
兵士B「こ、これはすごい、服の中を見たいぞ」
兵士A「いやいや、キノコの出し入れを想像しているだけで十分興奮してくるよ」
兵士C「俺、もう発射しそう」
兵士B「バカッ、こんな場所で出すんじゃないぞ」

 淫靡な世界を1人さまよっていた意識が、一気に覚醒したように高みに昇りつめて痙攣を起こすシシ。
 声を抑えようとしても思わず漏れてしまう。

シシ「あっ! あっ! あっ……!」
兵士B「おい、声を出すな」

 あわててシシの口を塞ごうとする兵士B。
 わなわなと身体を震わせるシシの太腿をしずくがツーッと伝う。

兵士B「ぬははっ、そんなに気持ちがいいのか。緑キノコを見せてみろ」
シシ「恥ずかしいです……」
兵士B「俺たちの情報を聞きたくないのか? さあ早く緑キノコを渡しな」

 シシはためらいがちに衣服の中から緑キノコを取り出した。
 蜜にまみれてぐったりとへたっている。

シシ「これでいいの……?」
兵士B「ほほう、ぐっしょり濡れているじゃないか。体力は完全回復したな」
兵士A「これを酒の肴に呑むとするか」
兵士C「俺にも濡れキノコを一口食べさせてくれ」

兵士B「あんた、よくがんばったな。さあ約束だ、取って置きの情報を教えてやるよ」
シシ「聞かせて……」

 兵士Bは緑キノコを受け取ると、シシの耳元でぼそっと語り始めた。

兵士B「ニセ国王の狙いが何か……そこまで話したな? その続きだ」
シシ「はい……」
兵士B「いいか、絶対他人に話すなよ」
シシ「はい、守ります」
兵士B「俺たちはニセ国王を倒す。この国に平和を取り戻すためだ。だがヤツがどれほど強力なのか誰も知らない。できるだけ多くの仲間を集めて一気に攻撃をしかけるつもりだ」
シシ「このままニセ国王を放っておいたら、いずれこの国は滅びるものね。微力ながら私も応援させてください」
兵士B「あんたは何者だ……? 気持ちは嬉しいが、見たところ非力そうだし、あまり無理はしないでくれ。俺ら男たちが国を守ってみせるから」

 小声ではあったが兵士Bはきっぱりと告げた。

シシ「よく分かりました」
兵士2「あんたの妹を必ず見つけ出してやるから安心してくれ」
シシ「ありがとうございます。でも妹は自力で探しますので心配しないでください。あなたたちはニセ国王打倒に専念してください」
兵士1「うん、分かった」
シシ「皆さんのご武運を祈っています」

 3人の兵士にシシは「チュッ」と投げキスを送った。

兵士B「おお~、こりゃ最高のはなむけだぜ! ありがとうよ」
兵士A「じゃあな、あばよ」
兵士C「……」
兵士1「あれ?、おまえ一言ぐらい何か言ってやれよ」
兵士3「俺、完全に惚れちまったよ」
兵士2「がっはっは~、ばかやろう。がっはっは~」

 シシは無事に任務を終えると、エリカとシャルルのいるテーブルへと戻っていった。

シャルル「ご苦労だったな。ここからだとよく分からないが、かなり際どくなったようだな」
シシ「あは、ちょっと想定外のエロ状態になってしまったわ。でも大丈夫、彼らは悪い人たちじゃなかったわ」
エリカ「お疲れさま。 どう? 何か良い情報を得られましたか?」
シシ「すごい情報をつかんだわ。大きな声では言えないのでみんな顔を寄せて」
シャルル「ほほう、どんな情報かな?」
エリカ「これは興味津々ですね」
シシ「実は国王が偽者で正体がレッドシェイドだということも、周知の事実みたいなの。で、近いうちに一部の兵士たちがクーデターを画策しているみたいなの。私も参加したいと言ったら、非力そうだからと断られちゃった。私、そんな弱そうに見える?」
シャルル「ははははは、シシが弱そうに見えるというなら、その兵士の目はかなり節穴だな。そうか、例の噂はすでに広がっているようだな。兵士がクーデターを企てるなら、俺もレジスタンス軍とともに行かなければ」
エリカ「え? シャルルさんも参加するのですか?」
シャルル「そりゃ当然だよ。俺はレジスタンス軍のリーダーなんだぞ」
エリカ「それはよく分かってますわ」
シャルル「もしかして、俺のことを心配してくれているのか?」
エリカ「えっ? いいえ、あのその……」

 突然エリカの白い頬に薄い紅がさした。

シャルル「なんだ。心配してくれていないのか」
エリカ「いいえ、心配しています」
シシ「まあ、お熱いこと。何だか私、居心地が悪くなってきたわ」
シャルル「シシ、気にするなよ、俺たち別に何もないから」
エリカ「ごめんなさい、シシさん、誤解を招くようなことを言って」
シシ「2人とも何も謝ることなんかないわ。でも今日は疲れたので先に宿屋に帰ってるね」
シャルル「うん、分かった、気をつけてな」
エリカ「シシさんの活躍で今日は大きな成果が得られました。ゆっくりと休んでくださいね」
シシ「ありがとう、エリカさん。じゃあ、おやすみ~」

 シシは2人を残してカフェを後にした。

シャルル「シシ、本当に帰っちゃったよ」
エリカ「彼女に気を遣わせてしまいましたね。悪いことをしました」
シャルル「まあ、気にするな。もう一杯だけ飲んで帰ろうか」
エリカ「そうですね。じゃあ、私も一杯だけいただきます。ジンはあるかしら?」
シャルル「お~い、店員さん~」

⚔⚔⚔

 少し時をさかのぼるが、シャム班が城内のカフェで噂を広めていた頃、城外の繁華街ではジュリアーノ班はニセ国王の噂の拡散に奔走していた。
 3人のいでたちはどう見ても旅芸人である。



第15章「三日革命」 第7話

 モエモエは得意の魔法を活かして魔法使いに、そしてチルチルは身の軽さを活かして軽業師に、ジュリアーノは得意の達弁を活かして王様に扮していた。

ジュリアーノ「さあさ、皆さん。寄ってらっしゃい、見てらっしゃい~。私たちは遠い国からやってきた旅の一座にございます~。これから演じますカワイコちゃんの演技がお気に召しましたら拍手をお願いします~!」

通行人「ほう、面白そうだな。ちょっと見ていこうか」
通行人「どんな出し物を見せてくれるんだろう? 寄っていこう」

 たちまち“旅芸人”ジュリアーノたちの周囲は黒山の人集りとなった。
 演目はちょっぴり風刺のきいた寸劇である。

ジュリアーノ「私はジャノバの国王エンポリオ・ジャノバなるぞ。私に逆らった者は皆、反逆罪だぞ~! 反逆罪を犯したる者はすべて島流しじゃ~」
モエモエ「嘘つき! あなたはエンポリオ・ジャノバ国王じゃないわ! 本当は魔界からやって来た魔物なのでしょう!?」
チルチル「wわ~、ニセの国王がいるピョン! 魔法使いモエモエちゃん、いっしょにやっつけましょう♫」
モエモエ「軽業師のチルチルちゃんと力を合わせれば必ず倒せるわ! がんばりましょう♪」
チルチル「ニセ国王め! 得意のジャンピング・ラビットをお見舞いするわ♪ と言っても最近覚えたばかりなんだけどピョン♪」
ジュリアーノ「何だと? 生意気なクソガキどもが。懲らしめてやる、思い知れ~~~!」

 ジュリアーノが玩具の剣を抜くとチルチル目掛けて切り込んだ。
 難なく剣をかわしたチルチルはふわりと宙を舞った。
 その瞬間、チルチルのスカートが傘のように開きショーツが丸見えになってしまい、ワンポイントのウサギがしっかりと観衆の目に晒されてしまった。

ジュリアーノ「ゲゲッ! まるでウサギ戦士のようだ~~~!」
見物人(おじいさん)「おお~なんと! 人間離れした跳躍力だ~!」
見物人(中年の男)「うひゃ~! おまえ見たか? ウサギの模様だ! かわいいな~」
見物人(中年の女)「ねえ、あんた、いつからロリコンに鞍替えしたんだい?」

 チルチルの蹴り技は王様に扮するジュリアーノの顔面を捉えた。

ジュリアーノ「ぐわ~~~っ!」
モエモエ「きゃっ、軽業師チルチルちゃん、すごい! じゃあ次は私の番よ。私の魔法を受けてみて~♪」
ジュリアーノ「ううう……何をこしゃくな……私の力を思い知らせてくれるわ~」

 チルチルに蹴りを入れられ一旦は転倒したジュリアーノが起き上がると再び剣を構えた。
 そこへモエモエの放った超小型のファイアボールが見事に命中し、ジュリアーノの衣服に火が点いてしまった。

ジュリアーノ「あっちっちっち~!」
モエモエ「あ、しまった! ちょっと魔力の分量が多すぎたかな? かなり控えめにしたつもりなんだけどなあ♪」
チルチル「モエモエちゃん、そんな呑気なことを言ってる場合じゃないよ! 早く火を消さなきゃ!」
モエモエ「そうだった! え~と、水~! 水~!」

 万が一の場合に備えて、予め用意をしておいた桶の水をジュリアーノにぶっかけるモエモエ。
 火が点いたのは胸元だったが、慌てていたモエモエはジュリアーノの頭から水を掛けてしまった。

ジュリアーノ「ひゃあ~! 冷たい!」
モエモエ「きゃっ! ごめんなさい♪」
ジュリアーノ「もう、酷いじゃないか! 頭から水を掛けなくてもいいのに、全身ずぶ濡れになったじゃないか!」
モエモエ「ニセの王様、だいじょうぶ?」
ジュリアーノ「ハ、ハ、ハックション!!」

 彼らを取り巻く見物人たちはジュリアーノたちのコミカルな演技に大爆笑した。
 途中までの寸劇はうまく行っていたのだが、ジュリアーノの頭上から水を掛けるというのは全くの想定外であった。
 モエモエが魔力の加減を間違えたことで、炎が大きくなりすぎてしまったのだ。
 ところが観衆側からすれば、それらすべてが演技に映り大喝采を浴びる結果となってしまった。

見物人(中年の男)「わっはっは~! こりゃけっさくだ~!」
見物人(中年の女)「あっはっは~、こんなに笑うのは久しぶりだよ~」
見物人(おばあさん)「それはそうと、じいさんや~。ニセ国王ってどう言うことだい? 魔物がどうのこうのって言ってたけど」
見物人(おじいさん)「たぶん彼らは国王が嫌いなもので、あのような風刺劇を演じたのだろうて」
見物人(若者)「いや、もしかしたら現在の国王が偽者という噂は真実かも知れないよ。近頃この国はどうもおかしいので。奴隷制度だって100年ぶりに復活したし……」
見物人(若い女)「そうね。あの人たちの寸劇はもしかしたら単なる風刺ではなく何かを訴えたかったのかも知れないね」
見物人(若者)「う~ん、そうかも知れないけど、あまりかかわると反逆罪で捕まる惧れがあるので気をつけなくては」
見物人(若い女)「そうだね。私も気をつけるよ」

 ちょうどその時、見物人の背後から荒々しい怒声が聞こえて来た。

警備兵「こら~っ! 国王の悪口を言ってると言うのはおまえたちか~!?」
ジュリアーノ「うわっ、ヤバいぞ! モエモエ! チルチル! 逃げよう!」



第15章「三日革命」 第8話

モエモエ「きゃっ! 警備兵だわ! チルチルちゃん、行くよ~!」
チルチル「wわわわわ~! ま、待ってピョン!」

 ふと見ると数人の警備兵が激しい権幕で迫ってくるではないか。
 ところが大勢の見物人が障害となってなかなかジュリアーノたちのところにたどり着くことができない。

警備兵「おい、じゃまだ、退け!」

 ジュリアーノたちは寸劇で使っていた小道具をそのままに、衆人環視のなか一目散に遁走していった。

警備兵「待て~~~っ!」

 人ごみをかき分け警備兵が駆けつけたとき、ジュリアーノたちの姿はすでになかった。

警備兵「くそ、取り逃がしたか……。おい、おまえたち、やつらはどこから来たか知っているか!?」
見物人(おじいさん)「そんなことは何も言ってなかったのぅ。ばあさんは聞いたか?」
見物人(おばあさん)「さあ? 私も知らないねぇ」
警備兵「ふん! もういい! やつらが再び現われたら警備隊詰所に連絡するように。いいな!」
見物人「はいはい、分かったよ」

 辛くも敵の目を逃れたジュリアーノたちは息を切らしながら宿屋に到着していた。

チルチル「wへ~、恐かったなあ」
モエモエ「でも寸劇を最後までやれて良かったね♪」
ジュリアーノ「少しでも噂拡散の効果があったかな?」
モエモエ「市民も今の政治に不満を抱いていることが分かったし、かなり成果があったと思うよ♪」
チルチル「うまく広がればいいね♫」
ジュリアーノ「ところで、城内の班はまだ帰っていないようだなあ」
モエモエ「シャム班もシャルル班もうまくいってるといいなあ♪」
チルチル「きっとうまくいってるよ♫」
ジュリアーノ「ううう……」

 突然ジュリアーノが苦悶の表情を浮かべ胸元を押さえた。
 モエモエとしてはかなり加減して放ったつもりだったが、さきほどのファイアボールが当たった個所が痛むのかもしれない。

チルチル「wえ? ジュリアーノ、どうしたの?」
モエモエ「ジュリアーノ、大丈夫? さっきファイアボールが当たった場所が痛むの? すごく痛むの?」
ジュリアーノ「ううう……大丈夫だよ。すぐに治るよ」
モエモエ「ジュリアーノ、ちょっと見せて」
ジュリアーノ「大丈夫だって」
モエモエ「ダメ、ダメ、早く見せて」

 拒むジュリアーノの衣服をモエモエは強引に脱がせベッドに横にさせた。

モエモエ「まあ、火傷がかなり痛そう。ごめんね、ジュリアーノ、私のせいで」
ジュリアーノ「気にしないで。真の魔法を使うことで観衆を惹きつけることができたと思うよ」
チルチル「あぁ、こんな時にヒール魔法を使えるイヴさんもエリカさんもいないんだから♫」
モエモエ「だいじょうぶ。薬草があるから♪」

 モエモエが布袋から薬草を取り出した。

モエモエ「ジュリアーノ、食べれる?」
ジュリアーノ「うん」

 ジュリアーノが薬草をちぎって口に入れた。

チルチル「どう? 美味しい?」
ジュリアーノ「苦い……」
モエモエ「『良薬は口に苦し』っていうものね♪」
チルチル「それなあに?」
モエモエ「遠い国の孔子という偉い人の教えなんだって。城にいた頃、先生が言ってた」
チルチル「どんな意味なの?」
モエモエ「何でも、よく効く薬は苦くて飲みにくい。 つまり、よい忠告の言葉は聞くのがつらいけど、自分のためになるというたとえなんだって」
ジュリアーノ「へえ~、モエモエちゃん、よく知ってるんだね」

 火傷は裂傷よりも回復が遅いこともあり、少し大仰だが患部に包帯を巻くことにした。

モエモエ「たっぷりと眠ったら明日の朝はきっと元気になってるわ♪」
ジュリアーノ「モエモエ、ありがとう。それじゃ先に休ませてもらうね」
モエモエ「おやすみなさい♪」
チルチル「ジュリアーノ、お休み~♫」

 チルチルはランプの灯りをジュリアーノから離し、テーブルの方に移動した。
 そして大きな欠伸をした。旅芸人に扮して慣れない大道芸をしたことでかなり疲れたのだろう。

チルチル「ふわ~、モエモエちゃん、私も眠くなって来たピョン。先に寝寝るね♫」
モエモエ「うん、おやすみ。私は魔道書を少し読んでから寝るよ♪」
チルチル「分かった。じゃあ、お休み~♫」

 チルチルはパジャマに着替えまもなくベッドに潜り込んでしまった。
 ベッドは3つ並んでいて右側にジュリアーノ、左側にチルチルが休んでいる。
 ジュリアーノとチルチルのかすかな寝息を聞きながら、モエモエはランプの灯りの下で魔道書を開いていた。

⚔⚔⚔

 シャムたちは全員が同一の宿屋に泊まると目立つと考え、3班に分散して宿泊することになっていた。
 城内の盛り場での諜報活動に明け暮れたシャム、イヴ、アリサの3人は、夜も更けた頃宿屋に戻っていた。

 風呂で汗を流しおのおのが寝床に着いた後、なにげにつぶやいたイヴの一言が思いがけない事態へと発展していく。

シャム「やっぱり諜報活動っておいらには向いてないな」
イヴ「そんなことはないわ。シャムは旅が始まった頃と比べて、会話がじょうずになったと思うわ」
アリサ「にゃんにゃん、アリサもそう感じる。だって女の子の口説き方がすごくうまくなったものおおおお」
シャム「なんだ~、そっちかい」
イヴ「でも諜報活動って結構むずかしいものね」
シャム「疲れたろう? だいじょうぶか?」
イヴ「うふ、ひさしぶりね。シャムのやさしい言葉を聞くのは」
シャム「そういえば、おいらたちもけっこう大所帯になったから、おまえとゆっくり話す機会が減ったなあ」
イヴ「話もだけど、あちらもかなりご無沙汰だわ」
シャム「あちら? わははははは~! そうだな~、そんじゃあ、久しぶりにやるか~?」
イヴ「え? でもチンヒールって治療用だし……私は今、体力も魔力も完全なので、かけてもらう理由がないの」

 イヴはほんのりと頬を桜色に染めながらきっぱりと言い放った。



第15章「三日革命」 第9話

シャム「ううっ~ん、うごごご……!」
アリサ「シャム、どうしたのおおおお?」
イヴ「えっ!? シャムが狂った?」
シャム「違う! はっきり言って、おいらは今、すごく欲求不満なのだ!」
アリサ「にゃは?」
イヴ「へ? いつも女子へチンヒールをかけているのに?」

 イヴとアリサは突如放ったシャムの意外な一言に唖然とした。
 戦闘で傷ついた女性に対して、頻繁にチンヒールを見舞ってきたことから、まさか彼の口から『欲求不満』という単語が飛び出すとは予想だにしなかったのだ。

シャム「だってここしばらくチンヒールを使ってないんだぞ。ペルセ島の戦闘時もイヴとエリカのヒールで治療したのでおいらの役目はなかったし」
イヴ「そういえば私自身も時間がなかったこともあって、青キノコで魔力を補充したものね」
アリサ「たしかに女子全員、最近チンヒールはごぶさたかもおおおお」

 次の瞬間、イヴとアリサの視線に驚くべき光景が飛び込んできた。

アリサ「にゃ!? イヴさん、あれを見てええええ!」
イヴ「どうしたの? えっ……ウソ~~~ッ!」

 イヴとアリサが見たものは、パンツを大きく膨らましているシャムの元気印であった。
 シャムは3つ並んだベッドの中央で仰向けに寝ていたが、下腹部が円錐形のワンポールテントのように見事に隆起しているのだ。

 イヴとアリサは互いに顔を見合せクスクスと笑った。

イヴ「でも今は無理だよね?」
シャム「どうしてだ?」
イヴ「だって、今シャムとセックスしたらチンヒールにならないもの。治療のためだから許されている行為だと思うの。それに……」
シャム「それに?」
イヴ「それにアリサちゃんだってここにいるんだから」
シャム「それはそうなんだけど、とにかくおいらは今すごくしたいんだよな~」

 その時、よい案が浮かんだのか、アリサがポンと手を叩いた。

アリサ「にゃんにゃん~、じゃあ、3人でしようよおおおお」
シャム「さ、3人っ……!?」
イヴ「アリサちゃん、それって本気で言ってるの?」
アリサ「もちろん本気だよおおおお。だってシャムはしたいんでしょう? それにイヴさんだって本当はしたいんでしょう? でも私に気遣ってるんでしょおおおお?」
シャム「いや~、ま~その~、早い話がそうなんだけど」
イヴ「アリサちゃんが言ってるとおりなんだけど、3人ってちょっと無茶じゃない……?」
アリサ「アリサもエッチしたいのおおおお~!」
シャム「うほっ! (なんという幸運!)」
イヴ「3人って経験がないので、ちょっと不安だなあ」
アリサ「私だって経験がないもんんんん!」

 ロマンチーノ城で侍女たちとまるで酒池肉林のような入浴を行っていたシャムだったが、実のところ3Pセックスの経験は皆無であった。
 しかしアリサの勢いと自身の好奇心も手伝って俄然その気になってしまった。
 あとはイヴの返事次第だったが……

イヴ「何事も経験が大事。じゃあ、一丁やってみようか」

 その一言で結論が出た。

シャム「よし決まりだ! 2人まとめてガンガン攻めるぞ~~~!」
アリサ「やったああああ!」
イヴ「うっ、圧倒されそう……二人ともすごい気迫。でもアリサちゃん、あなたには負けないわよ~! お先にいただきま~す~!」

 イヴはムクッと起き上がると、シャムのベッドに飛び移った。
 そしてシャムのもっこりテントの部分をごにょごにょといじり始めた。

シャム「うわ~、速攻だ~~~!」
イヴ「うふ、もうギンギンじゃない。大きくする手間は省けたわ」

 イヴはつぶやくと、シャムのパンツを一気に引きずり下ろした。
 するといきり立った太い肉柱がバネのように飛び出してきた。
 5本の指を使って幹を握るイヴ。

イヴ「アリサちゃん、お先ね~」

 小さくつぼめた口があんぐりと咥えこむ。

アリサ「イヴさん、そんなのズルイいいいい!」
シャム「あぁっ……温かい……イヴ……」

 肉柱をゆっくりと吸い上げ、舌で先端を舐める。
 イヴは、咥えたまま頭を動かし、ジュバジュバと音を鳴らしてしゃぶり始めた。

イヴ「ここはいかが?」
シャム「あっ……そこのカリのとこ、いいっ……おぉっ……」
アリサ「アリサもおしゃぶりしたいのおおおお」

 イヴの反対側からアリサがにじり寄り、肉柱を舐め始めた。

シャム「おおおっ~~~! 二つの舌で両方からそんなことをされたら、おいら我慢ができなくなるよ~!」
アリサ「ペロペロペロ……イヴさんが舐めるなら私も舐めたいものねええええ!」

 アリサの赤い気炎がメラメラと燃えあがる。

シャム「おお~、おおお~、そんなっ、ウホッ、気持ちいいぞ~、おいら早くイキそうだ~」

 ジュポジュポジュポ……
 ペロペロペロ……

シャム「うううっ……!」
イヴ「まだイッちゃダメだよ~」
アリサ「我慢してええええ」
シャム「そ、そんな無茶な……おおっ……やばいぞ…うううっ……」

アリサ「じゃあ、今度はアリサがシャムに気持ちいいことしてもらおうかにゃ? イヴさん、お先にいいいい」

 アリサはそうつぶやきながら肉柱から離れると、シャムの顔面にまたがった。
 紺色のショーツを穿いたままだったため、クロッチ部分がちょうどシャムの唇をとらえる。

シャム「アリサ、パンツぐらい脱いだらどうだ?」
アリサ「あっ、いけない! 脱ぐのを忘れてたああああ」
シャム「まあいいや、穿いたまま攻めてみるか~」



第15章「三日革命」 第10話

 こそぐように舌がクロッチを這い回り、何かを探索しているのが分かる。

「この辺かな? いや、もう少しこっちかな?」

 ベチョベチョベチョ……

「ああん! やんやんやんやんやん~!」

 鋭敏な箇所を舐められて、アリサは早くも反応を示す。
 クロッチが唾液で濡れそぼり、陰裂の形状がしっかりと浮き出てしまっている。
 舌はまるで生き物のように縦横無尽にうごめく。

「にゃにゃにゃにゃにゃああああ~! うはっ! そこいいよおおおお~!」

 ベチョベチョベチョ……

 アリサの反応があまりにも強烈であるため、イヴは口戯に集中できなくなっていた。

イヴ「あのぅ……アリサちゃん、そんなにいいの?」
アリサ「いい、いい、いいのおおおお、シャムは舐め方がめちゃくちゃ上手なんだからああああ!」
イヴ「ショーツの上からでもそんなにいいなんて……」

 イヴは口戯を続けているうちに、じんわりと熱いものが自身の秘所にも溢れ始めていた。
 アリサの身体の陰になってイヴの姿は見えないが、当て推量で手を伸ばすシャム。
 手の先にはイヴの腰があった。
 シャムの意図に気づいたイヴはシャムの手がある方に腰をよじる。
 イヴの股間に指が触れた。
 イヴとアリサ、いずれも甲乙つけがたい美貌を誇っているが、雪のように白い肌のイヴに対し、アリサの場合、自然で美しい肌色美人といえた。
 ただしアリサの場合、身体の一部に半猫族特有の体毛を有していたが、それもまた彼女の個性であり魅力といえた。

 シャムの指がイヴのショーツにかかる。
 戦闘時には水色のパンティを着用するイヴだが、就寝時にはベビーピンクのショーツに穿き替えている。
 ショーツの隙間から進入が始まった。

イヴ「あぁ……そこは……」
シャム「うわあ、触る前からもうビチョビチョになってる~」
イヴ「いやぁ、そんな恥ずかしいことを言わないでぇ……」

 シャムへのフェラチオにとどまらず、アリサの悶える姿を見せつけられて、イヴが高ぶるのも至極当然であった。
 アリサには石清水クンニ、イヴには指まんと大忙しのシャム。
 2か所からの水音を聴きながら女攻めを楽しむ様はハーレムを彷彿とさせた。

 クチョクチョクチョ……ピチャピチャピチャ……

イヴ「あぁぁぁぁっ……」

 シャムから指まんを受けながらも、喘ぎながらシャムへのフェラチオも怠らない。
 イヴの献身的で健気な性格が現れた光景といえよう。

アリサ「あっ、あっ、シャム、もうダメだよおおおお……☆シャムのモノが欲しいよおおおお」
シャム「うっぷ、ふう~、やっと呼吸ができた。これをすると窒息しそうになるんだよな~」
アリサ「えっ!? ずっとがまんしてたの? だいじょうぶうううう?」
シャム「大丈夫、大丈夫。よし、じゃあアリサはおいらの腹までうしろに移動して。で、代わりにイヴが顔の上に乗るんだ~」
アリサ「にゃんにゃん、私が先にズンズンできるの? やったああああ!」

 アリサは歓びを隠しきれないままゆっくりと後ずさりした。

シャム「おい、アリサ、早くパンツを脱げよ」
アリサ「あっ、脱ぐの忘れてた!」

 アリサは急いで紺色のショーツ脱ぎ捨てる。

イヴ「私がフェラしてシャムのモノを大きくしたのに、先にアリサちゃんに挿入なの? なんだかなあ」

 イヴがいささか不満そうにしている。

シャム「文句言わない。さあ、イヴ、おいらの顔にまたがって」
イヴ「いや~ん、男性の顔の上にまたがるなんて……そんな恥ずかしいこと……」
シャム「じゃあ、やめとく?」
イヴ「いや、する」

 シャムとアリサがずっこけた。

 イヴとアリサ、2人のショーツの脱ぎ方はまったく対照的だ。
 アリサの場合は、女子高生がクラブを終えてシャワーを浴びる直前のように、実に迅速でてきぱきしている。
 一方イヴの場合は、恥じらいながらゆっくりと艶かしく脱いでいく。
 シャムの目には2人の女性像がどのように映ったのだろうか。

 イヴとアリサは歩調を合わせたようにほぼ同時にシャイの上にまたがった。
 肉柱を眼下にしたアリサの興奮は相当なものである。
 急いで乗ったまではよかったが、肉柱とうまく結合できなくて焦っているように見える。
 イヴは頬を染めながらためらいがちに、シャムの口の上に股間をあてがった。

シャム「アリサ、もう少し後ろ」
アリサ「こう?」

 まるで彼女の車庫入れを誘導する彼氏のようだ。

シャム「そう、その辺。そのまま腰をゆっくりと沈めて」

 照準がやっとぴったりと合ったようだ。
 濡れた蜜壺が怒張した肉柱を咥え込んでいく。

 ズブリ……ズブズブズブ……

アリサ「にゃああああ……シャ、シャムうううう、き、気持ちいいよおおおお~……」

 嫌でも背後からアリサの甘ったるい声が、イヴの耳に飛び込んでくる。
 イヴとしても奮い立たない訳にはいられなくなった。
 亀裂の中心部をシャムの唇に寄せてみる。

シャム「そうそう、イヴ、ぴったりだ。じゃあ舐めるぞ」
イヴ「恥かしい……」

 ベチョ……

イヴ「はふ~ん……」

 ベチョベチョベチョ……

イヴ「あぁ~、す、すごい! いやん! ああん!」



第15章「三日革命」 第11話

 シャムの顔面にはイヴがまたがり、肉柱にはアリサが合体を果たしている。
 仰向けに寝転んだ男の上に2人の娘があられもない姿で喘いでいる。
 もしこの淫らな光景に名前を付けるなら『人間二輪車』とでも呼べばよいのだろうか。
 
イヴ「あああっ……シャムぅ……そんなに舌を挿し込んじゃダメぇ~」

 まるで軟体動物のような舌の動きにメロメロに蕩けていくイヴ。
 いつしか自制心は失われてしまっている。
 陰裂に舌を走らせ陰核まで到達すると数回回転させ、再び陰裂に戻る仕草をみせるシャム。

イヴ「あぁん、あぁん、ああん……そこすごく効くぅ~~~」

 たゆまなく上下動する腰だけでなく、舌使いにも気を配る。
 実に見事なシャムのバランス感覚といえる。
 ときおり、強靭な腹直筋で軽々とアリサを持ち上げ激しく縦揺れを見舞う。

アリサ「にゃんにゃんにゃん! くわあ……シャムすごいよおおおお~!」

 シャムの突きに悶えるアリサは前方にいるイヴの乳房を無我夢中ででつかむ。
 突然背後から乳房をつかまれて驚いたのはイヴであった。

イヴ「や~ん、アリサちゃん! うしろからオッパイを揉んだらダメだよ~!」

 アリサはイヴの乳房を揉むつもりなど毛頭なかった。
 騎乗位で突き上げられバランスを保つため偶然前方のイヴに寄りかかっただけなのだ。
 しかしそんな事情など分からないイヴとしては愛撫をされていると勘違いしたのだ。
 心の内は三者三様だが、確かなことは3人とも恍惚状態に陥っていることであった。
 そのため2人から溢れ出る蜜の量は半端なかった。
 いつしかシャムの口の周辺と肉柱はボトボトになっていた。

 まもなくシャムの1回目の射精とともに『人間二輪車』は終焉が訪れた。
 ベッドに横たわり呼吸を荒げるシャムの股間にイヴとアリサが顔を埋める。

シャム「お~、ちょっと待ってくれ~! 少しだけ休憩させてくれ~!」
イヴ「やだもんね~ スタミナの勇者どの~」
アリサ「女の子2人でフェラしたらすぐに大きくなるよ~、というか、出したところなのにもう硬くなっているよおおおお!」

 1本の肉柱の両側からイヴとアリサが舌を這わせる。

シャム「うわあ~!」

 するとどうだろう。射精後萎えていた肉柱が、早くも回復の兆しを見せているではないか。

 ギンギン……

アリサ「わ~い! すぐに大きくなったよおおおお!」
イヴ「シャムっていつも元気ね、元気のないときってあるの?」
シャム「こう見えても、おいら本当はデリケートなんだぞ」
イヴ「元気のないときって見たことがないよ」
シャム「人を、変態みたいに言うな」
イヴ「あら、変態じゃなくて?」
アリサ「シャム、もうビンビン~」
シャム「よ~し~! じゃあ2回戦を行こうか~!」
イヴ「2回戦も同じ格好でするの?」
シャム「同じ体位じゃつまらないよ~。今度はアリサが仰向けで下に寝て、イヴが上から乗っかる」
アリサ「にゃご? それってもしかしてレズ? アリサは初体験だなああああ」
イヴ「えっ? アリサちゃんが可愛いのは認めるけど、私、そっちの趣味はないのよね」
シャム「つべこべ言ってると、おいらのポールが縮んでしまうぞ~」

 縮まれては困る。シャムが発した一言でイヴとアリサは俄然色めき立ち、彼の指示どおり正常位の体勢になった。
 仰向けになったアリサの上にイヴが向かい合って抱きつく。
 レズビアンの経験がない2人はどことなくぎこちなさはあるが、肌色のアリサと色白のイヴ、その美しさは妖しきハーモニーを奏でる。
 2人が美のハーモニーを奏でなくても

イヴ「女の子の真上に乗るって何か妙な感じだわ……」
アリサ「女の子に抱かれるって変な気分だよおおおお」

 2人はぽそりとつぶやくとシャムの次の指示を待った。

シャム「これが切っかけになってレズ好きになったりして。 そんなことないか? 2人とも男好きだもんな~」
イヴ「何よそれ、そんなことないわ」
アリサ「アリサはやっぱり男の方がいいかなああああ?」
シャム「じゃあ行くぞ~!」

「行くぞ」と言われても2人は茫然としている。
 それもそのはず、シャムの次の行動が読めないのだ。
 生まれて初めて不慣れなレズビアンを演じればよいのだろうか。

 シャムがとった次の行動は見事に2人の予想をくつがえした。
 イヴの突き出した双臀をしっかりと抱えるシャム。
 バックで攻めてくるようだ。
 イヴに緊張が走る。

 ズニュ……

イヴ「ああっ……!」

 一突きされた瞬間、イヴは背筋から脳天までビリっと電流が流れるような感覚に襲われた。

 アリサは先程自身に放出されたこともあって、今度はイヴの番だろうと予測していた。
 とはいっても、これほど至近距離で、女性が喘ぐ姿を見るのは初めての経験だ。
 真下にいる自分までがひどく高ぶってきた。

 イヴの表情をうかがうと早くも顔面が紅潮している。

 チュッ……

 別にレズビアンではないのだが、衝動にかられたアリサは何気にイヴの唇を奪ってしまった。
 同性からキスを受けるのは初めての経験なのだが、イヴは避けなかった。
 アリサに上体を委ね、背後から押し寄せてくる官能の波に身を任せることにした。



第15章「三日革命」 第12話

 シャムの肉柱のサイズは18センチと魔物たちと比べると決して威張れた寸法ではないのだが、彼の肉柱の真価は挿入後に発揮された。
 それはまるで自動車のトランスミッションのようにギアが切り替わり、どんどん加速、否、硬直化していくのだ。
 しかも一突きごとに硬直化していくため受け手の感度もグングン上昇していき、つい病みつきになってしまうのだ。

イヴ「ああ~、す、すごいわ! シャム、いい……すごくいいわぁ~……あぁん~」

 後背位でイヴを攻めるだけでなく、同時にアリサの乳房をまさぐる配慮を見せるシャム。
 若干18才とはいえ、女性たちに分け隔てなく接することのできるやさしさを持っていた。
 それはベッドの上でも変わることなく発揮された。

 そんな中、突然イヴから肉柱を抜くと、すぐさま下にいるアリサの花芯にそれをあてがった。

アリサ「えっ……私に入れるの!?」

 ズリュン!
 すでにイヴとの性交でしっかりと潤った肉柱を難なくアリサに挿入した。

アリサ「にゃんにゃん~、またシャムが入って来たよ、嬉しいなああああ」

 今度はイヴがアリサの唇を求める。
 すぐさま反応するアリサ。
 アリサの肉体に再び火が灯った。
 一度目の性交で鋭敏になっており容易に絶頂へと導かれる。

アリサ「にゃんにゃんにゃん~……ああん……イクイクイクうううう!」

 シャムはアリサが昇り詰めたことを見届けると、すぐに肉柱を引き抜き再びイヴと結合した。

イヴ「はふぅ……あぁ、シャムぅ……アリサちゃん、先にイッちゃったね、私も早くイキたいよ~」
シャム「ふふふ、じゃあ3人同時にイクとするか」
イヴ「いくらシャムでも3人同時は無理じゃないの?」
シャム「さあどうかな?」

 シャムが浅い抽送から、奥まで突きまくる深い抽送に切替えた瞬間、イヴの甘く切ない声が、切羽詰まったような叫び声に変わった。

イヴ「いやぁ~、はひ~、ふわあ~、あああ~、ああっ、ああっ、ああっ!」

 ズンズンズンズンズン!

イヴ「ああっ! ダメ、もうダメ、イキそう、私、イキそう、あっ、あっ、あっ、ああああ! イク~~~~~~!!」

 イヴに抽送を繰り返しながら、アリサへの指使いも同時進行で行うシャム。
 昼の戦闘のみならず、夜の戦闘においても実に逞しい勇者といえた。

アリサ「にゃああああ、あうっ……イクうううう!」

『人間二輪車』は2人の女性が持つ対抗心と嫉妬心が互いのエナジーとなって 彼女たちを性の深淵の世界へといざなっていく。
 それはシャムとともに歩む桃源郷への旅路であった。
 
⚔⚔⚔

 その頃、城下のとある密室で、革命を企てようとしている兵士たちが密談を行なっていた。

兵士A「やはり噂どおり、国王がニセモノであることは間違いがないな」
兵士B「だけど確実な証拠があるのか? もし噂が偽りだったら大変なことになるぞ」
兵士A「いや、国王側近の警護兵に知人がいるが、その者から情報を得ているので確かだ」
兵士C「根拠はあるのか?」
兵士A「もちろんだ。国王は有名な風呂好きで、必ずといって良いほど女性の召使を伴い入浴し身体を洗わせている。ところが、ここ数ヵ月、入浴の際、女性の召使を避けているという。それから、ある女性の召使に聞いた話だが、国王が入浴した後、浴場を掃除をしようとしたら、浴場に奇妙な鱗が落ちていたという。一度だけなら偶然といえるが、何度も……」
兵士C「気味悪い話だな、それは動かぬ証拠と言えるな。よし、では早いうちにニセ国王退治を決行しよう」
兵士B「うん、遅れると国王に気づかれ、俺たちは反乱軍として捕えられ処刑は免れないだろう」
兵士A「だけど、俺たちに指導者が必要だ」
兵士C「おまえがやれば?」
兵士A「バカ言え。俺なんかが指導者をやったら誰も着いて来ないさ。俺はそんな器じゃないよ」
兵士B「じゃあ、誰が?」
兵士A「ここはヤツしかいない」
兵士C「ヤツとは?」
兵士A「ヤツだよ。レジスタンス軍の率い民衆に信頼の厚いシャルル、彼を置いて他にいないさ」
兵士B「しかし、今彼はどこにいるんだ?」
兵士A「仲間に探させているが、島に渡ったということまで分かったがその後の消息が不明なんだ」
兵士B「それは困ったなあ。シャルルを探すことが先決だな」

⚔⚔⚔

 イヴとアリサが歓喜に咽び哭いていた頃、ほかの仲間たちもまたそれぞれのひとときを過ごしていた。
 ジャノバの熱い夜はまだ始まったばかりなのだから。






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猫耳アリサ


女海賊シシ・フリューゲル











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