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第4話「静のベッドはモスグリーン」
くちっ……
舌が舌に触れて、そっと優しくさらわれる。
「んっ」
息が苦しくなった静は俊介の白いシャツをつかんだ。
一瞬引きそうになった俊介の舌に潤んだ目で応えると、舌は惑いを失くして舌の裏に入り込む。
「んふっ……」
ジンッ……と静の舌全体に痺れが広がって、じわりとよだれで口の中が濡れた。
くちゅっと、唾液が音を出す。
舌先を吸われて、歯で甘くかまれて、そっと、つけ根に触れる。
舌でしごかれて、頭の奥がじんじんと痺れて耳の後ろから首筋が粟立つ。
「ん、んんっ……ひゃふっ」
唇と唇の間ができて静は息継ぎをする。
撫でられた首筋がこそばゆいのに熱くて、撫でられた場所から熱が広がる。
腹の奥がキュウキュウする……と静は感じた。
床に両膝をつけたままもじもじと動かす。
熱いようなもどかしいような感覚が、尻の奥をざわつかせる。
「んむっ」
再び隙のないように唇を塞がれる。
舌が歯のつけ根を撫で、口蓋の柔いところをくすぐる。
また、口の中が唾液でいっぱいになって、一生懸命飲み込むのが自分のものか、俊介のものか分からない。
でも、どっちでもよくて、身体がかくかくして、熱くて、めまいがして力が抜ける。
「ん、んんんっん……」
かき混ぜられるたびに首筋がぞわぞわして、下腹が落ち着かなくなる。
頭が酸欠。
じわりと涙がにじむ。
「んあ、ごめっ」
「んはぁぁぁぁっ」
目視的に静の涙を確認した俊介は瞬時に理性を取り戻して唇を放した。
ようやくありつけた酸素に脳がじりじりする。
「ごめんね……」
荒く息をしながら、なんで俊介が謝るのか分からなかった。
(ディープキスって、すっごく苦しい)
「苦しかった?」
静は回らない頭で俊介の言葉に小さくうなずいた。
俊介の手が、柔らかく髪を撫でる。
それが心地よくて、心がとろけそうになる。
「でも、すっごく気持ちよかったよ」
「そう? いくらでもするよ」
満足そうに俊介が微笑む。
まだ唇が俊介の感触を覚えていて、残っていて、なのにもうくっついてはいなくて、不思議な感覚で、静はぼんやりと自分の唇を撫でた。
「ねえ、俊介、ベッドにいこ?」
ディープキスのせいで、静は身体の疼きを止められなくなってしまったようだ。
「まだ風呂に入ってないから」
「後で入ればいいじゃん。あのね、実は私、俊介が来る前に風呂に入ったの」
「ずるい」
「それをずるいって言う?」
「うん、いっしょに入りたかった」
「アハ、いいよ、でもお風呂は後から。先にしよ?」
「何をするの?」
「もう、分かってるくせに。……エッチしよ?」
「うん、しよう」
他愛のない会話をしながら、二人は寄り添ってリビングを離れた。
◇◇◇
いつも一人で眠るベッドに、今日は俊介がいる。
渋めのモスグリーンのベッドを俊介がどう感じるか、静にとっては気になるところ。
「女の子らしい色じゃないでしょ?」
「落ち着いた良い色だと思うよ」
静は手早く窓とカーテンを閉め、ルームウェアを脱ぎ捨てるとベッドに倒れこんだ。
抱きしめ合いながら舌を絡め合う。
「いつもここで寝てるんだ?」
「うん」
「じゃあ、ここでオナニーしてるんだ?」
「……もうエッチ。デモ時々だよ」
「僕のこと思い浮かべながら?」
「ん……うん……」
照れくさくなった静は答えを濁すように激しく唇を求めた。
「やばっ……興奮する……下着泥棒を捕まえて来たのに、こんなことしてていいのかな……?」
「いいよ。俊介が怪我したら困るから、捕まえなくていい」
「いや、現れたら捕まえてみせるさ」
「二人が裸でナニしてる最中でも?」
「ううむ、そりゃ無理だ」
「アハ、だよね。明日センサーライトを取り付けてくれたら大丈夫だから、今日は下着泥棒のことを忘れて、ここで気持ちよくなろ……?」
「うん、そうしようか」
俊介は静のTシャツとブラジャーを脱がすと乳首を刺激し始めた。
「んっ……あぁっ……やっ……」
唇で挟み、軽く甘噛みして吸いながら舌を押しつける俊介。
もう一方の指でつまみながら軽く擦る。
ゆっくりと高まっていく快感。
「あっ……はぁっ……んんっ……」
「ここ感じるの? 気持ちいい?」
「ん……うん……」
「ちょっとしただけなのに、静って感じやすいね」
「ぁ……やぁっ……っ」
まだ乳首しか触られていないのに、奥からどんどん蜜があふれだす静。
「ねぇ、俊介のも触っていい?」
「風呂に入ってないから無理しなくていいよ」
「全然気にならないよ」
静は俊介のチノパンツに手をかけボクサーパンツをずらすと、硬く張り詰めた肉柱をしごいた。
太くて熱い脈打つそれが早く欲しくて、静もスカートとショーツを脱ぎ捨てた。
あふれ出た蜜が太腿に伝う。
俊介の指がすかさずそれをすくった。
「いじってもないのにもうこんなに濡らして……乳首でそんなに感じちゃったの?」
「だって……そんな風に攻めてくるから……ぁっ……」
俊介が乳首への愛撫を続けながら静のピンと硬くなったクリトリスに蜜を塗りつけるようにそっと擦った。
「あっ、あぁんっ……やぁっ……ん……そんなっ……」
「あぁ、静のここ、舐めたい」
「うん……」
俊介はひざまずくと、静の両脚を開いて秘裂にキスをした。
「あっっっ……!」
ペロッとクリトリスを舐められて、あまりの快感に思わず声を漏らしてしまう静。
「あっ、あんっ、あああっ……」