第17話
夜も更けて、時間はすでに0時30分を過ぎていた。 自宅に戻ってみると俺の姿をしたレオが、生意気にも腕組みをして俺を待っていた。 「遅かったじゃないの。もう0時を過ぎてしまってるにゃん」 「いやあ、すまんすまん。静が近くにいたもんだから居心地がよくて、時の経つのをつい忘れてしまってたんだよ~。ははははは~。人間の言葉が使えないのが少し不便だったけど、なかなか楽しかったよ~。さてと、じゃあ、ぼちぼち、人間に戻ろうかな?レオ、ありがとう~。じゃあ、替わろう」 「それはもう無理だにゃん」 「えええ~~~!?無理ってどういうことだよ~!」 「オイラは俊介と約束したはずだにゃん。0時までに帰って来るようにと」 「ええ~~~!?そんなあ~。確かに30分ほど過ぎたけど、それぐらいまけといてよ~」 「ダメだ。まけてやりたいところだが、もう無理なんだにゃん」 「そんなあ~」 「お前はそのままレオとして静お嬢様の家で暮らすんだ。オイラは俊介としてこの家で暮らさせてもらうにゃん」 「そんなひどい~」 「ひどいも何も約束を破ったからこうなってしまったのだ。諦めるんだにゃん」 「ねえ、レオ~。何とかならないの?」 「無理だにゃ」 「そうかぁ・・・」 「ま、そう落込むなって。俊介は大好きな静お嬢様のそばでずっと暮らせるんだから幸せじゃないか」 「まあ、確かに静のそばにいられるのは嬉しいんだけど、ネコはネコだもんね~」 「ネコ人生も気楽でいいにゃん~」 「のんきなことを言ってさ。でも人間も大変だよ。今は受験勉強もあるし」 「受験勉強ってそんなに大変なのか?静お嬢様はあんまり勉強していないようなのでよく知らないんだけど」 「えっ?そんなにしてないのか・・・?」 「うん、学校から帰ってきたら勉強をしないで遊んでばっかりだにゃん。ピアノだけは一応練習してるんだけど、あと友達とカラオケに行ったり、プリクラ撮ったり、まだ高校生なのにチューハイだって飲んでるよ」 「そうなんだ。なあレオ、静ってエッチなことはしないのか?」 「にゃはは、ほとんどしてないよ~。あ、でも・・・俊介、もっとそばへ来て」 「うん、なんだ?」 「実はここだけの話なんだけどにゃ、この前友達が遊びに来て忘れていったレディコミがあったんだけどにゃ、静お嬢様は読んだあと・・・(ヒソヒソヒソヒソヒソ)」 「うん、うん、うんうん・・・ええ~!えええ~~~!?マジで~!?なんと!すげえや~!俺も見たかったな~!」 「にゃは、そのうち見れるかも。にゃははは~」
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