第2話「夫以外につぶやいてはならない言葉を口走る」
二人は郊外のラブホテルに入った。
部屋に入った頃、惠の悪酔いはすっかり醒めていた。
惠の心に迷いはあったが、俊介に抱きしめられ唇を奪われていくうちに、いつしかその想いは消えていた。
俊介は自分から服を脱ぎだす。
鍛えられた肉体……趣味がキックボクシングと言っていたことを惠は思い出した。
祥太よりも11才年上だが、祥太の方がたるんだ身体をしている。
裸になった俊介はベッドに入ると「早くおいで」と誘う。
意を決した惠は服を脱ぐと、俊介の隣に滑り込んだ。
何度も唇を重ねた。乳房を揉みしだかれながら……
惠は自身の花園が潤いを増しているのをはっきりと感じていた。
俊介の舌は祥太のそれよりも細やかに愛をそそぐ。
大切なものを扱うような愛撫に、惠は身体がとろけていくような感覚に襲われていた。
もう、声を我慢できなかった。
恥じらいもなく、夫以外の男性に身を委ねて声をあげる惠。
「きれいなトライアングル型しているね?」
俊介は陰毛を撫でながら耳元でささやいた。
「は、恥ずかしい……いや……」
惠は陰毛の手入れは女の身だしなみだと思っている。
下着からはみ出さない程度の逆三角形に整えるトライアングルがお気に入り。
それにしても陰毛を褒める男というのも珍しい。
惠は戸惑いと恥じらいを隠しきれなかった。
「いや」と言ったため、俊介は一瞬指の動きを止めていた。
「このまま指を止めたままでいいの?」
「……とめないで……いじってほしい……」
自ら愛撫を求めるようなことを告げたのは初めてだった。
俊介の指が中をかき混ぜ始めると、もう頭の中は何も考えられないほど真っ白になっていた。
(こんな快感があったなんて……)
巧みな指使いはそんな気持ちにさせた。
「ねぇ、見せて……」
俊介の顔が惠の下半身に移動する。
反射的に脚を閉じる惠。
「いや……だめ……洗ってないし……」
「いいんだよ……惠のなら……見せて……」
俊介が半ば強引に脚を開かせると、惠は両手で顔を覆ってしまった。
惠には今までシャワーも浴びず行為に及んだ経験はなく、さらに言うと祥太は進んでクンニを行なうことがなかった。
ところが今は、洗っていない花びらをさらけ出してしまっている。
惠は顔から火が出そうな思いであった。
「こんなに濡らしちゃって……」
俊介はわざと惠に聞こえるようにつぶやく。
だけどなぜかそんな言葉に敏感に反応してしまう惠であった。
「蒸れた匂いがたまらないよ……」
「あぁ、嗅がないで……お願い……臭いから……やめて」
「君の匂いなら臭くても平気だよ、むしろ興奮する」
「そんなぁ……まるで変態みたい……」
「うん、変態かも知れないね」
そんな卑猥で屈折した台詞にも、惠の身体は反応してしまっていた。
俊介は焦らすように、花びらには直接触れもせず、観て、嗅いで楽しむのであった。
……汚れた匂いを嗅がれている……
そう思うだけで、恥ずかしさが興奮と快感を呼び起こすのであった。
「舐めて欲しい?」
「あ……あ……な、舐めて……ください」
「じゃあ、言ってごらん……『私の臭いオマンコを舐めてください』……って」
「そんなこと……」
「言えないなら舐めないけど」
卑猥で下品な言葉です。でも、惠の口からついにその言葉を発してしまった。
「私の……く、臭い…オ……オマンコを……舐めてください……」
俊介の唇が花びらに触れた。
そして、女の最も感じるぼんぼりを、唇で咥え、舌先で攻め始めた。
「ああああああっ……そこはぁ……っ!」
凄まじい快感が惠を襲い、まるで悲鳴のような声を張り上げた。
生まれて初めて経験する強烈な快感。
それは夫の祥太にもそして過去の男たちにも教えられたことのないものであった。
快感は膀胱をも刺激する。
こみ上げてくる尿意を懸命にこらえる惠。
幾度か絶頂感が訪れた。
もしかしたら死んでしまうのでは……そう思えるほどとてもなく極大なものであった。
俊介の舌は敏感な蕾を執拗に攻め続ける。
やがて夫以外につぶやいてはならない言葉を口走ってしまった。
「もう、来て……お願い……部長……来て……」
「ん? どうして欲しいの? ハッキリ言ってごらんよ」
分かっているくせにわざと惚ける俊介に、惠は思わず叫んでしまった。
「入れてっ! 入れてください!」
「何を?」
「部長の……」
「ベッドの上で役職名はやめようよ。名前で呼んでほしいなあ」
「しゅ……俊介さんの、オ…オチンチンを……入れてくださいっ! お願いですっ!」
俊介は無言で身体を起こし肉柱をあてがうと、ゆっくりと進入するのであった。