官能小説『惠 絶頂感』

Shyrock作




第1話「新任部長」

 惠が結婚してから3年の歳月が流れた。
 夫の祥太は出版関係の営業をやっており日々忙しく各地を飛び回っている。
 惠と祥太は見合い結婚で、子供はまだいない。

 惠が結婚前に交際した男性は2人でそれなりに性経験はあったものの、正直セックスはあまり好きにはなれなかった。
 相手が求めるから、仕方なく……といった感じである。
 もちろん快感はあったが、女性誌に掲載しているような燃えるようなものでも、とろけるようなものでもなかった。
 それは結婚してからも何ら変わることはなかった。
 結婚前、祥太から「今後仕事はどうする? 惠の好きにしていいよ」と言われたので、惠は仕事をつづける道を選んだ。
 祥太の収入だけでも生活は可能であったが、惠としては自身の収入があった方が自由に使えるから、というのが理由であった。

 そんな惠の職場に昨年所属部長として転任してきた六車俊介という男がいた。
 俊介は今年43才で妻子があり単身赴任中であったが、惠は彼に好感を持ちまた彼からも大いに気に入られ二人は急激に接近しついに肉体関係を持ってしまった。

 きっかけはある転勤者の送別会の後だった。
 その日は偶然祥太が出張中であった。
 クルマ通勤者の俊介は全く酒を飲めないいわゆる下戸なので、帰りも運転に支障がなく彼の自動車で送ってもらうことになった。
 しかし、悪酔いした惠がクルマの中で気分が悪くなり、港の見える公園で休憩することになった。
 そこで色々な話をしてるうちに惠の恋愛経験等を聞かれ、なんとなく艶っぽい雰囲気になってしまった。

 やがて俊介は惠の肩を抱きやさしく尋ねた。

「キスしていい……?」

 惠は酔いも手伝って大胆になり、静かに目を閉じると黙ってキスを待つ態勢になっていた。
 俊介の唇が重なり、舌がこじ入れられた。
 反射的に惠は彼の舌に自身の舌を絡めた。
 まもなく俊介の指が惠の胸に触れた。

「ダメ……」

 惠は唇を離し、俊介の手を掴んで離した。

「あっ……ごめんね」

 素直に詫びる俊介。

 ちょっと気まずい雰囲気が流れた。

「そろそろ行こうか」

 俊介はそうつぶやくとクルマのエンジンをかけようとした。
 惠は気まずさのままが耐えられなくて俊介の胸の顔を埋めた。
 俊介は戸惑いながらもやさしく髪を撫でて、再び肩を抱いた。

「最後にもう一度キス……したいな」

 俊介がそうささやくと、今度は素直に応じる惠。
 さきほどよりも長く舌を絡め合う二人。
 俊介は巧みに舌を動かし、惠の口の中を舐め回した。
 身体の奥が熱く火照り、生まれて初めて自ら性を求めているのが分かった。
 俊介は再び胸に触れてきたが、今度は拒もうとはしなかった。
 惠の意思が伝わったのか、俊介はブラウスのボタンを外し始めた。
 ほんの一瞬だったが祥太の顔が脳裏をよぎった。
 だけどこのまま流されたいという気持ちが強く、祥太の表情はいつしか消し去られていた。

 胸元に冷ややかな空気を感じた。
 ブラジャーがずらされ俊介が乳首に吸い付く。
 乳首を舌でコロコロと転がす。
 車内なので外に声が漏れることはないのだが、俊介に聞かれたくないので懸命に声を堪える惠。
 
 やがて俊介の手がスカートの中に進入してきた。
 惠は意を決して太腿の筋肉を緩めた。
 パンティストッキングがずらされ、ショーツの中に指が入っていく。

「もうこんなに濡らして……」

 耳元で俊介が低い声でささやいた。
 恥ずかしくてどう答えたら良いか戸惑う惠。
 ただ、もう声を殺すことはできなかった。
 ようやく惠がささやいた言葉は……

「ここじゃ、いや……お願い」
「他ならいいの?」
「……お、お任せします……」

 声をうわずらせる惠。うまく呂律が回らない。
 俊介は惠から離れ、エンジンをかけた。



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