第3話「湯の中の恍惚」
「これでいいのですね」
と言い放ち、俊介を探しにいこうとする惠に男は、
「俺ばかりじゃ悪いからな~」
と再び惠の下半身に手を伸ばし背後から指で攻めてきた。
「あれ? 咥えているうちに濡れちゃったの?」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべる。
「ち、違いますよ。お湯で濡れただけですよ……」
「お湯と愛液の濡れ方の違いぐらい、男なら誰でも分かるよ」
「……」
湯の中であるにも関わらず既にぬめっていた花芯は何の抵抗もなく指を深くまで咥えこむ。
「口でがんばってくれたご褒美に指を二本にしてあげるからね」
ヌルヌルだ、と男は嬉しそうにつぶやきながら二本目の指を根本まで挿入し最も感じる箇所をクイクイ押し上げ刺激する。
「いやっ、あああっ……」
男はさらに無遠慮に、
「指二本じゃ物足らないみたいだな?」
「そんなぁ……」
指が三本に増えていく。
惠はいつしかたがが外れてしまい、快感に身を委ねてしまっていた。
「ここまで来たら、指だけじゃ申し訳ないな。蛇の生殺しはよくないよな?」
男はそうつぶやき、惠が気付いたときには、男の怒張したモノが背後から惠の中に挿入されていた。
さきほど惠の口内に放出したばかりだというのに、もうこんなに元気になってしまっている。
そんなことを考えていると、男は惠の心の内を見透かしたかのように、
「早くもでかくなってて驚いたか? 男というものはな、美人でしかもタイプの女には、すぐに元気さを取り戻すようにできているんだよ。便利な生き物だろう、男って? わはははは~」
身勝手な理屈をまことしやかに並べ立てる男。
なんと図々しくて自己中心的な男だろう、と惠は呆れ果てた。
「……」
高笑いする姿に惠は返事をする気になれなかった。
立ちバックによる激しい突きに、いつしか惠は高ぶりを抑えきれなくなっていた。
男はなおも後方から突きまくる。
ピストンだけではなく、ときおりスクリューのような回転技まで加えて攻めてくるから否が応でも気分は高揚していく。
「実はさっき嫁とやったばかりなんだけど、おねえさんが良すぎるから何発でもやれそうだよ」
などと相変わらず好き勝手な言葉を並べながら、激しくかきまわす。
思わず惠も艶声をあげてしまい、よがっていることが男にも丸わかりになってしまった。
男は惠の反応を楽しむように、背後から腕を腹部に回し、亀裂の上部で硬さを増していた突起を捏ねあげた。
性交中に最も敏感な性感帯を撫でられた惠は我慢ができなくなり身体をビクビクと痙攣させてしまう。
「はぁ……っ! んぅ、や……あんっ」
悦楽の電流が背中を駆け抜ける。
声を抑えようと身体をこわばらせて耐えてみるものの、予測できない肉柱と指の動きにどんどん息が荒くなり額から汗が滴り落ちる。
「んあぁぁぁっ……! あぁぁ、はぁっ……もう……!」
男が腰を打ちつける度にパシャパシャと水面が波打つ。
繋がったところからはそれとは別のグチュ、グチュと粘り気のある水音も響く。
ギアをトップに上げ激しく突き上げてくる男の背中に思わず抱きついた惠は甲高い声で限界を告げた。
「もうダメ……ッ! や、ああぁぁっ!」
「俺も、やばい…っ!」
一番奥まで押し込まれた肉柱がドクドクと脈を打ち、中に放出しているのを感じながら惠は身体を震わせて絶頂に達した。
男は「うううっ!」とうめきながら最後の一突きを果たす。
おもむろに男は肉柱を抜くと、花芯からだらだらと白い液体がこぼれ出た。
次の刹那、惠は突然正気に戻ると下半身からこぼれる液体を拭うこともなく、そそくさと混浴温泉を立ち去り逃げるように部屋へと戻っていった。
♨♨♨
部屋に着くと、俊介が不機嫌そうな表情でぼそっとつぶやいた。
「どこに行ってたんだ?」
当然まともに答えられるはずがない。
惠は適当にはぐらかそうとしたが、俊介は疑いのまなざしで見つめている。
そうこうしているうちに、花芯からたらりと白い液体がこぼれ足首まで伝わってきて俊介に見られてしまった。