第2話「見知らぬ男」
俊介を驚かせようと思った惠は、静かに湯の中を這うようにして彼のほうへと足を忍ばせた。
かなり接近したのに背中を向けて知らんぷり。
(こんなに接近しているのに気づかないなんて……)
しばらくの間、たたずんでいたが一向に気づいてくれる気配がない。
構ってくれないので寂しくなった惠は、彼の背中に自身の背中をぴったりと寄せてみた。
湯がざぶっと音を立て、うしろから惠の乳房を触れてきた。
さきほど愛し合ってまだそんなに時間が経過していないのに、激しく揉みしだかれて惠は早くも感じてしまい、誰もいないのをいいことに艶やかな声をあげてしまった。
(すごく激しいわ。さっきあんなに燃えたくせに……)
乳房を揉まれているうちに、惠はふと奇妙に思い振り返ってみた。
「えっ……!?」
惠は心臓が飛び出るほどの衝撃を受けた。
そこにいたのは俊介ではなかったのだ。
「うそっ!!」
驚愕のあまり、惠は見知らぬ男から思わず離れた。
「いい声を出すじゃないか」
「あれは違うんです」
「何が違うの。俺を誘ってたんでしょう?」
そうではない、湯気で煙って見えなかったので彼と間違えたのだ、と釈明しようとしたが、それよりも早く腕を掴まれ背後から抱きしめられた。
振りほどこうとする惠。
「やめてください……」
「でも感じていたじゃない。このままやめてもいいけど、朝ご飯のときに彼氏にばらしてもいいの?」
朝食は夕食と違って、大広間で他の宿泊客といっしょにとることになっている。
その時に彼氏に今回の出来事を報告するというのだ。
耳元でささやかれ当惑して隙が生じたとき、突然惠の下半身に手が伸びてきた。
「ほう、すごくとろとろになってるじゃないか。敏感なんだ」
元々感じやすい体質の惠は、男のその何気ない一言にまるで魔法にかかったかのようにすっかり感じてしまった。
下半身が湯に浸かっているので外からは見えないが、惠自身が分かるほどに潤っていた。
花芯がどっくんどっくんと脈を打っている。
まるで下半身にも小さな心臓があるのではという錯覚に陥ってしまう。
次の刹那、男の指がいきなり花弁に食い込んできて乱暴にかき回した。
不思議なことに手荒なのに全然痛くない。
惠は我慢しきれず声を漏らしてしまい、男の後ろからの指による攻撃を避ける余裕を失っていた。
「いい感触だ。指に絡みついてくるじゃないか」
「そ、そんないやらしことを言わないで」
「入れてほしくなってきたでしょう?」
男がそうつぶやいたとき、惠はハッと我に返り『彼が待っているから』と拒んだが、男も簡単には引き下がらない。
「それじゃこうしよう。俺が満足したら許してやる」
と口元に怒張したイチモツを接近させた。
驚きためらっていると、男は惠の鼻を摘まみ強引に肉柱を口の中に押し込んできた。
「んむぅっ、じゅるっ……んっ……んんっ……!」
惠の口内は熱い粘液に肉柱を浸しているような感覚で、男はその気持ちよさに驚いている。
「すごくいいね、知らない男の竿を咥える姿って! 清純に見えるけど見掛けによらずエロいんだね」
「んっふっ……ちゅぷ、くちゅ、れろっ……じゅるるっ!」
惠の唇が肉柱をしごきながら音を立て先端部分を吸い上げる。
柔らかい唇と口内で蠢く舌の刺激によって、すでに高まっていた射精感が早くも一気に限界を迎えそうになる。
「ぐぅっ……おおっ……もう、出そうだっ……!」
余裕の笑みを浮かべていた男が、今は明らかに余裕を失っている。
ここまで来たらもう後戻りはできない。
半ば開き直って、惠は口、舌、手を駆使した。
怒張した肉柱に口内を占領され苦しさに耐えながらも惠はひたすらに頭を動かし続ると、男はついに限界に達し、寸前のところまで押し寄せていた精液を解放した。
「出すぞ! 飲むんだ! うお~~~~~っ!」
(どぶっ! びゅぶっ! どびゅ~~~っ!)
男にとってそれは腰が抜けそうになるほどの快感を伴う激しい射精だった。
熱い精液がドクドクと勢いよく惠の口内に注ぎ込まれる。
「んぶっ! んんっ! んぐっ、ごぐっ、んっんっ……」
口の中が大量の精液で満たされた惠はそれを吐き出そうとしたが、口を離そうにも頭を押さえつけられ逃げることはかなわなかった。
「飲むんだ」
惠は咽ながらも吐き出すのを我慢し、ごくりと喉を鳴らして飲み込んでいった。