第十八話「濡れ人形」

 秘孔を剛棒に貫かれ、下腹部をブルブルと震わせている。
 昨日よりも蜜液の量が少し増し痛みが和らいだのが、せめてもの救いかも知れない。
 肉道のすべりも幾分か滑らかにになり、膣襞がしっかりと擦られている。

「うぐぐっ……ふんぐっ……」

 松葉のように交差させてグングンと押し入ってくる剛棒に、ありさは猿轡の隙間からうめき声をあげた。

「ありさ、この格好はどうや?気持ちええやろ?松葉くずし言うんやで」

 九左衛門はニタニタとに淫靡な笑みを浮かべながら、剛棒でありさをいたぶった。

「うんぐっ……ぐぐぐっ……」

 ありさは身体の奥底から沸き起こってきた奇妙な感覚にくぐもった悲鳴をあげる。
 股を交差させ次第にせわしくなっていく九左衛門の腰の動きに、髪を振り乱し泣き喚いた。

「ごっつうええ具合やないか。わしのもんに吸いついて自分から奥に吸い込んでいきよるわ。まるでタコ壺みたいや。ほれ、ほれ。子宮の中にわしの精子をたんとぶちまけたるからな~」
「ぐぐぐぐぐっ!うぐぐぐぐっ!」

 冗談じゃない。昨夜土蔵で縛り上げて処女を強奪し、そのうえ体内に精子まで放出したではないか。
 何が何でも体内への放出だけは避けたくて懸命に抵抗を試みたありさであったが、がっちりと絡められてなかなか脱げだすことができない。
 そんなありさの心の内など知るよしもない九左衛門は、快調に剛棒を突きまくっている。

「おおおっ、よう締まりよるな~、こら堪らんわ」

 ありさは苦悶の表情を浮かべながら懸命にもがいている。
 その辛そうな様子が九左衛門の加虐心をさらに煽っていく。

「うぐぐぐっ!」

 ありさは妊娠を恐れて剛棒が突き刺さったまま暴れ出した。
 九左衛門は暴れるありさを強く抱き締めて、そのまま抱きかかえるように己の胸元に抱き寄せ正常位に移行した。
 ありさの膝が海老のように曲げられ、剛棒がグイと子宮口に突き当たった。

「うぎっ!うぐぐぐっ!」

 ありさは悲鳴を上げて目を白黒させながら九左衛門の胸の中で暴れる。
 九左衛門は構わず抱きしめたままでゆさゆさとありさの身体を揺さぶる。
 ありさがもがき苦しむのをよそに、九左衛門の中枢に射精感が昇りくる。

「おおおっ!出そうや出そうや!中に出すからちゃんとおめこで受け止めるんやぞ!」
「うぐぐぐぐっ!ぐぐっ!」
「あかん、もう我慢の限界や!出る!うぉ~~~おっ!」

 剛棒は奥まで到達し先端から欲望の迸りが弾け、ドックンドックンと鼓動を打ち大量の精液がありさの狭い膣孔に注ぎ込まれ、そして満たされる。
 しばらく剛棒を膣孔に挿しこんだまま残りの液体がドクドクと注ぎ込まれていく。
 ゆっくりと剛棒を引き抜くと愛液とかすかな血と精液が混ざり合って、赤く腫れ上がった大陰唇から股間にかけてトロリと流れ落ちる。
 ありさは猿轡をされたまま顔を押さえ嗚咽を漏らす。
 そんなありさに九左衛門はポツリとつぶやく。

「心配せんでもええ。ややこができてもわしが面倒見たる」
「……」

 そんな安堵の言葉をかけてもらっても、ありさとしては喜べなかった。
 十六そこそこの娘が、まるで狒狒爺のような五十男の濡れ人形となることは、不憫以外の何ものでもないのだから。
 ありさが九左衛門の部屋から退室した時間はすでに午前零時を廻っていた。

◇◇◇

 それから二日後のことである。
 ありさが廊下の吹き掃除を終えた頃、前栽から「チチッ、チチッ」と鳥の鳴き声が聞こえてきた。
 ふと見上げると木の枝に一羽の鳥がとまっている。
 頬の一部が白く頭は鶏冠のようになっている。顔には黒い線が縁取るように入っていて、体毛は淡く茶色がかっている。
 一見スズメに似ているがスズメではなくホオジロであった。
 霧島屋にありさが奉公に来て以来、廊下の吹き掃除をしていたら現われ、枝の上で鳴いたり毛繕いしたりしている。
 偶然だろうが、毎朝挨拶しに来てくれているみたいで、ありさは何だか嬉しく思っていた。

「鳥さん、おはよう」

 声を掛けると、小鳥は首を傾げるような動作をして、「チチッ」と返事をするように鳴く。
 その様子が愛らしくて、ありさは頬を緩める。
 しかし、朝の逢瀬は短い。
 鳥は何の前触れもなく羽ばたき、飛び去ってしまった。

 ありさが掃除用具を片付けていると、物静かな中年女性がやってきた。
 上女中のよねである。
 ありさは頭を下げた。

「ご苦労はん。拭き掃除、終わったみたいやな」
「はい、ただいま終わりました」
「だんさんがありさを呼んだはるで」
「はい……どちらに?」
「土蔵にいたはるわ。何でも掛け軸の虫干しするから、運ぶのんを手伝うて欲しいて」
「えっ……土蔵ですか?」
「そやけど都合でも悪いんか?」
「いいえ、すぐにまいります……」
「そうか、ほな頼むわな」

 ありさは掃除用具を片付けると、おそれためらいながら九左衛門のいる土蔵へと向かった。

完(第二章予定あり)



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