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<登場人物>
ありさ……十六歳。瀬戸内海のとある寒村に生まれ育つ。気立ても器量もよく村では大変評判のよい娘だったが、貧しさから口べらしのため奉公に出されてしまう。彼女を待ち受ける過酷な運命とは……。 霧島九左衛門……五十三歳。大阪の船場で呉服問屋を営む。妻は結核のため高石の別宅で療養中。大の女好きだが並みの女好きではなく倒錯した性的嗜好を持つ。 庄吉……四十五歳。番頭。仕事はよくできるが、頭が固く融通が利かないところがある。だが本当は…… よね……五十八歳。上女中。炊事、掃除、その他家事一切を仕切っている。 ふみ……二十歳。下女中。上の者におべっかを使う。ありさを妬み時々意地悪をする。 音松……十九歳。丁稚。密かにありさに心を寄せている。優しい人柄だが少々そそっかしい。 利松……十八歳。丁稚。ありさに好意的。素直で人当たりがよく番頭や女中たちからも好かれている。 |
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