第23話  唇から零れる白い残液


河添拓也の視点



「お、おい、奥さん。本当にしてくれるのか? 見ず知らずの男のチ○ポを扱くんだぜ」

「はい、悦んで。典子、殿方の……お、オチ○チンが大好きなんです」

俺の提案に尻込みしていた男たちだったが、典子のあからさまな答えと妖艶な笑みに刺激されて、急に色めき立ってきた。
俺はそれを横目で見ながら典子に話しかけていた。

「そんなふしだらな言葉をよく言えたもんだ。死んだ旦那にも聞かせてやりたいぜ」

「ひどい。あの人のことは口にしないでって、お願いしたのに。それにこれだって拓也アナタが……」

「ああ、そうだった。それよりも典子、フェラは15分ほどで頼むぜ。後のショーが目白押しだからな。まあ、あれだけ俺のチ○ポで特訓してやったんだ。ひとり2分もあれば十分かもな」

泣きながら俺のモノを咥え続けたのを思い出したのか、典子の目が暗く沈んだ。
それとも、俺が旦那を持ち出したからか?

そんな俺たちの前で、己の性欲を剥き出しにした男たちが、牽制し合い罵り合っている。
そうだ、もっとやれ! 自分の本能を曝け出してしまえ!

「では5人様、こちらへ」

どの世界でも肩書がものをいうらしい。
反対派総代を名乗り、典子の水着をポケットに収めた男を先頭に、年齢順に選ばれたような残り4人が続いた。
そして、それを見送るモノたちの顔には、明らかな不満の色が刻まれる。

「では、奥さんの口でしてもらおうか」

ズボンを膝までずり下げた情けない格好でも、プライドだけは消えないらしい。
頭の禿げかかった反対派総代は、声を殺して典子を見据えた。

「ご奉仕させていただきます」

それに対して、畳の上で正座をし三つ指をつく典子。

自分の娘のような若い女が、俺のためにここまでするのか?!
萎びたペニスを半立ちさせた男は、顔の相を崩して素裸の典子を見下ろしていた。

「前の旦那に相当仕込まれたのか、彼女の舌使いは私が保証しますよ」

膝立ちになり、髪を寄せた典子が哀しげに目を伏せた。
その仕草を悟られないように、無理して作った笑みを湛えたままペニスを頬張った。
絡めるように根元に指を添えて、面長の顔を傾けて、竿の部分に満遍なく唾液を擦り付けていく。

「はんむぅ……ちゅぷ、ちゅぱっ……ちゅぷ、ちゅぱっ……」

「はあぁ……確かに。ねっとりとした舌使いだ……」

水気を失い萎びたペニスが、典子の舌と唇にみるまに精気を漲らせていた。
それを典子は、根元まで飲み込んでいく。
鈴口を喉の最奥にぶつけるようにしながら、顔を上下に振り始めた。
イマラチオだ。

それにしても、短期間のうちに、これだけの性技をよく見に付けたもんだ。
俺の脳裏には、一晩中ディルドを相手に口を窄める典子が浮かんだ。
大粒の涙と、口の周りを唾液でベトベトにしながらフェラのテクニックを叩きこまれた姿に、俺のアレも勢いづいている。

「うむぅ……ふぐぅっ! ちゅぷぅっ、ちゅぱぁっ……れろっ、れろっ、れろっ……」

頬の肉をへこませた典子が、髪が乱れるのも構わずに首を激しく振った。
男はというと、口を半開きにしたままされるがままの状態だ。

フィニッシュのようだな。

「んむぅぅっっ、ふむぅっ! ちゅぶ、ちゅぶ、ちゅぱぁぁぁっっ!」

「あ、ああぁ……はあぁぁっっ……!」

反対派総代の威厳が消し飛び、男は情けない声を上げた。

どぴゅ、どぴゅっ、どぴゅーぅぅっっっ……どくどくどく、どぴゅーぅぅっっ!

血流の溜まった尿道口を喉奥の粘膜に刺激されては、あっけないものだった。
咥え込んだ口の端からは、泡状になった白いスペルマが零れ落ちていく。

「んぐぅぅっ、んむうぅぅっ……ごくっ、ごくっ、ごく……ごほっ、ごほっ……はあ、はぁ……」

多少むせ返りはしたが、典子はそれを必死で飲み干していった。

「はあ、はぁ……ごちそうさまでした。濃厚な精液でおいしかったです」

下唇に白いモノを付着させたまま、典子は潤んだ目で見上げた。

「おお、そうか。美味かったか……ははははっ……」

単純な男だ。
彼女の潤ませた瞳の意味も知らずに悦に浸れるのだからな。

「大変お待たせしました。では次の方、どうぞ」

典子の前には、新たな男のペニスが立ち塞がっていた。


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篠塚美里の視点


「わぁ、すごい値段ね。1人前のお料理で美里と信人のホテル代だよ」

「これって。俺の会社の必要経費で落とせるかな?」

「そんなこと、女子高生のわたしに聞かないでよ」

わたしはピカピカに磨かれた座卓の上にメニュー表を放り投げると、廊下との間仕切りになっている障子を開けた。
顔だけ覗かせて外の様子を窺ってみる。

「美里、いけそうか?」

「うん。この料亭って建物が大きいわりに仲居さんの数が少なそうだから、たぶん大丈夫」

「よし、だったら今から」

信人はふてぶてしい顔をこしらえると、肩の筋肉をほぐすように首を曲げた。

「だめよ、信人はこの部屋にいてくれないと。メニューを訊きに来る仲居さんが不審に思うでしょ? それでなくたって、制服の女子高生とヨレヨレのおじさんコンビなんだから」

「だからといって、美里だけは危険すぎるだろ。それで俺も」

信人は不服そうに唇を尖らせた。
『ヨレヨレのおじさん』にも、ムッとしたみたいだけど、信人は美里のことを心配してくれているんだ。
やっぱり信人だね♪ とっても嬉しい。涙が出そう。
うん。美里だって、出来ることなら信人と一緒に……
アナタと一緒なら、どんな怖いモンスターとでも戦えそうだもん。でもね……

「うふふ、心配しないで。ちょっと偵察してくるだけだよ。ヤバイと思ったら、必ず信人にSOSする。だからアナタは、それまでこの部屋で待機をお願い」

わたしは真顔で信人を見つめた。
信人の顔にヤレヤレの表情が浮かんだ。

「……了解だ。でも美里、絶対に無理はするなよ。これだけは約束してくれ」

「うん、約束する。無茶はしない」

わたしは障子をさらに開けると、心配顔の信人に手を振ってあげた。

「そうだ。もし仲居さんがメニューを訊きにきたら、キツネうどんをお願いね。お腹に優しい。お財布にも優しい。うふふ♪ それじゃ、あとはよろしくね」


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