(前作のあらすじ) 典子の見果てぬ夢。 それは亡き夫と共に築いてきた、かけがえのない想いを守り、そして実現するため。 拓也の見果てぬ夢。 それは誇り高き自分を傷つけた者たちへの復讐。己のプライドを満足させるための野望。 そのために、男は女の身体を踏み台に夢を掴もうとする。 女は、その成熟した身体を差し出す見返りに、男の野望に微かな期待を寄せる。 半年前に愛する夫を亡くした岡本典子(おかもと のりこ)は、絶望と悲しみに追い立てられるようにして懸命に生きてきた。 夫と共に苦労して開業した店を守るため。 夫と共に愛した街並みを再開発の嵐から守るため。 99パーセント勝ち目のない戦いに挑むように、朝と夜の区別もなく働き続けて、やがてその気力さえ失いかけたとき、典子はひとりの男と出会う。 その男は、河添拓也(かわぞえ たくや) 典子が高校時代に、初めての身体を捧げた元恋人であった。 拓也もまた、勤務する会社内での理不尽な派閥争いに巻き込まれて左遷。 行き場を失い、傷ついた心を引きずったまま彷徨っていたのだった。 そして再開まもなくして、典子は拓也に抱かれた。 『俺の男を満足させてみろ。典子、お前の身体でな。 ふふっ、そうだ。俺の命じるままに痴態を演じれば、お前の夢を叶えてやってもいいぞ』 その後も、成熟した肢体を拓也のアブノーマルな要求に応えさせて、様々な痴態を演じる典子。 だが、彼女の心の中には愛する夫の面影が生き続けていた。 『どんなに身体を弄ばれても、心だけは穢されない』 『だったら典子。お前のその身体、もっと利用してやろうじゃないか。この俺様のために』 互いの心が開かれないまま、男と女は絡み合っていく。 それぞれの『見果てぬ夢』実現のため。 そして今、典子と拓也。 このふたりの男女をなぞるように、新たな男と女がもがき苦しみながら報われない愛を追い求めていく。 おぼろげでしかない、夢を掴み取ろうとして…… 【登場人物 紹介】 岡本 典子(おかもと のりこ) 本作品のヒロイン 88ー58ー87 25才 非処女 3年前、職場で知り合いになった博幸と結婚。パン屋の経営を夢見る夫ともに昭和の面影を残す下町に移り住み、苦労の末ふたりの夢を実現する。 だが夫である博幸が、街の再開発計画に翻弄され他界。 ふたりの愛した街並み。ふたりの夢の結晶であるパン屋を守るため、偶然再会した昔の恋人である河添拓也に自らの身体を提供する。 もうひとりのヒロイン篠塚美里とは、『ベーカリーショップ 岡本』を立ち上げて以来の親しい間柄。 家族の情に薄い美里を自分の妹のように可愛がっている。 篠塚 美里(しのづか みさと) 本作品のもうひとりのヒロイン 79ー55ー81 処女 有名子息令嬢が通う、私立宮下学園に在籍。現在2年生。 クラブ活動は陸上部に所属。主に中距離走を得意として、インターハイでも上位の成績を残している。 性格は勝気な面があるものの、誰とでも分け隔てなく付き合えることから、クラスでもクラブでもマスコット的存在。 父親は時田グループ副社長である篠塚唯郎。母親とは5年前に両親が離婚後は会わせてもらえないでいる。 なにかと親身になって寄り添ってくれるヒロインの岡本典子を、実の姉のように慕っている。 河添 拓也(かわぞえ たくや) 時田金融グループに勤めるエリート社員で、典子の元恋人。26才 高校時代はサッカー部に所属し、マネージャーを務めていた1年後輩の典子とは、そこで知り合い、お互い深い関係になったこともある。 時田金融では出世街道を突き進むも、副社長である篠塚の陰謀に巻き込まれ、左遷。 元恋人の典子の身体を利用して、己の野望の実現と自分を追い落とした篠塚への復讐を画策している。 黒川 信人(くろかわ のぶと) まだ30才ながら、時田グループ建設部2課に所属する協力会社『株式会社黒川開発』を経営している。 この会社を立ち上げる前は、興信所に勤めていたらしいが当時のことは本人が話したがらない。 かなり優秀な探偵だったとの噂も…… 小柄で丸顔。日に焼けた黒い肌。性格はどちらかといえば温厚。 調査対象の美里に惹かれ、彼女とは運命的な出会いをすることになる。 篠塚 唯郎(しのづか ただお) 時田金融グループ副社長であり、社内ナンバー2の実力者。 現社長の時田謙一のワンマン経営に批判的で、社長派の力を弱めるためなら有能な社員でも左遷、解雇もいとわない冷酷な性格。 密かに反旗を目論んでいるという噂も…… 河添を左遷した張本人であり、娘の美里とは血は繋がっているものの家族関係は希薄。 岡本 博幸(おかもと ひろゆき) 典子の夫で『ベーカリーショップ 岡本』の店主 既に他界 3年前、典子と知り合いその後結婚。 長年の夢だったパン屋の経営を、典子と共に苦労の末実現する。 だが、店の経営が安定した頃に持ち上がった街の再開発計画に翻弄され、体調を崩し世を去る。 生前は、おいしい『あんぱん』を目標に試作を繰り返していた。 |
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