官能小説『隣人 改』
しょうた&リレー小説参加者の皆様

※第1話~第2話はしょうたさんの直筆により、
第3話以降はリレー小説の皆様の合作によります
編集はしょうたさんです



第25話

「早く、返してください。久美さんが戻ってきちゃいますよ」
「大丈夫、久美さん、仕事の話になると、三十分は戻ってこないから……だから、早く答えてください」
「ば、馬鹿なことを言ってないで返してください」
 みどりの質問に腹立たしさを感じながら椅子から立ち上がって、みどりの傍にいった。 そして、腰を下ろし、みどりの手からキーケースを奪おうとすると、あろうことか、みどりはキーケースを自身のジーンズの前部に差し込んだ。
「何をするんですか?」
「ちゃんと答えてくれないと返してあげない」
 これでは埒が明かない、答えるしかない。
 それに、久美とみどりが調理中に思ったように、みどりがキーケースを寝室で見つけたことはほぼ間違いないだろう。
 久美とセックスしたか? と、みどりが訊くのも、その痕跡が寝室に残されていたからだろう。
 しかし、なんで、理由もなく他人の寝室にはいったのか?
 たぶん、この欲求不満な若妻は、最初にインターホーンから聞こえた久美の甘い声に、男と女の秘め事を察したのだろう。それで久美がシャワーを浴びている間にその痕跡を確かめるためにベッドルームにはいった。そこで見たものは乱れたベッド。激しく交わった後、きっと、俺たちの擦れ合って落ちた恥毛もところどころに落ちていたことだろう。
 それに、幾枚ものティッシュペーパーが入っているごみ箱も見たかもしれない。たぶん、ごみ箱からは濃厚な精液の匂いが漂っていことだろう。
 そこでたまたま、男もののキーケースを見つけた。
 その真相は目の前の若妻に訊いてみなければかわらないが、ともかく、寝室で鍵を拾ったのは明らかなので、隠す必要がない。
 そう思い、俺は身体を起こしみどりと向かい合った。
「……わ、わかりました。寝室で見つけたんでしょ?」
「そうです、正解です」
(やっばり、寝室か。でも、なぜ俺のキーケースだとわかったのか?)
 と思ったが、今はそんなことはどうでもよい。早く鍵を返してほしい。
「これでいいですよね、正直に答えたので返してください」
「まだ、ダメです。もう一つの質問に答えてません」
 さすがに俺の口から、久美とセックスしたことを認めるわけにはいかない。最悪、俺はいいが、久美に迷惑がかかることになるかもしれないからだ。 「いい加減にしてください……早く、返してください」
「仕方がないですね……鍵はおかえします。……でも、最初の質問に答えてもらってないので、私からは渡しません」
「どういうことですか?」
「吉川さんご自身の手で私から奪い取ってください」
「奪い取るって、僕のものなんですよ」
「早くしないと、久美さんが戻ってくるかもしれませんよ」
 さっきは、暫く久美は戻ってこないと言ったのに、今度は、そろそろ戻ってくるという。
 何度も思ったが、この若妻はいったい何を考えているんだ。
 ますます頭が混乱してきたが、先に進まなければ、久美が戻ってきてしまう。
(もぉ、どうにでもなれ!)
 心の中で叫びながら、ほっそりとした若妻の腹部に手をのばし、指をジーンズに差し入れた。しかし、どこまでキーケースをいれたのか、キーケースに指が届かない。
 どうやら、キーケースを取るためにはジーンズのボタンを外しファスナーを下すしかないようだ。
「早く……」
 頭の上から、みどりの擦れた声がした。




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