官能小説『隣人 改』
しょうた&リレー小説参加者の皆様

※第1話~第2話はしょうたさんの直筆により、
第3話以降はリレー小説の皆様の合作によります
編集はしょうたさんです



第3話

 透明なガラスの向こう側の物干し竿にはバスタオルにワイシャツ、そして、洗濯ハンガーが吊るされている。
 あった。
 洗濯ばさみに挟まれたハンカチ、靴下、男もののパンツ、子供の下着にまぎれて、奥さんのベージュのストッキング、紺地に白い花柄がプリントされたパンティにブラジャーが春の爽やかな風で揺れていた。
 さっきまで傍にいたあの憧れの奥さんの下着だ。
 見るだけでは収まらず触ってみたいと情欲が湧き上がる。
 時間は大丈夫か? と、時計を探した。
 壁掛け時計は九時四十分を指している。
「あっ、しまった」
 思わず声をあげた。
 そういえば、ホームセンターが開店するのは十時からだ。奥さんが出かけたのは五分ほど前、お店までは普通に歩いて十分弱かかる。つまり、九時四十五分くらいに着くだろう。
 それで、奥さんはどうするだろうか?
 まだ開店していないからといって戻ってくるだろうか? きっと、戻ってこない。
 扉が開くまで待っているはずだ。
 なにしろ、戻ってきたら、十時頃になっている。それに、二度足を運ぶのも億劫だろう。
 ということは、あと三十分くらいは戻ってこないだろう。三十分あれば、充分だ。じっくりと奥さんの下着を堪能できる。

 鍵を外し窓を開き、素足のまま、無機質な灰色のコンクリートのベランダに出た。
 そして、迷ようことなく奥さんの下半身に密着していたものを洗濯バサミから外した。
(あぁ、たまんないなぁ)
 手に持ったパンティの中心部を裏返してみた。生地の厚い裏側には白い楕円形の染みが薄く残っている。オリモノだろうか? 愛液だろうか? なんにしろ奥さんの膣から流れ出た汁の痕跡に違いない。
(あぁ、これが、奥さんのおま○こから……)
 パンティを鼻にあて牝の匂い探った。今朝、洗濯したばかりのものだ。当然ながら洗剤の香りしかしないが、それでも目眩を覚えるほど脳が揺れる。
 たまらず、舌をつきだしペロペロとそこを舐めた。
 春の風で乾いたところが続々と溢れる唾液で濡れていく。濡れたパンティを己の下着の中に挿入し生の肉竿に被せ、ゆっくりと扱き出した。
(あぁ、奥さん)
 できるのならばこのまま精液を放ちたい。しかし、まずいに決まっている。乾いた洗濯ものを取り込むとき、精液で汚れたパンティを見つけたら奥さんはどう思うだろう?
 エロビデオのように欲求不満な奥さんであれば、それを見て陰部を濡らすかもしれない。だが、現実はそう思うように上手くいかないだろう。変態的な行為に気味悪がられるだろう。それがこのマンションの噂にでもなったら、ここに住むことはおろか、家庭も崩壊する。
 やはり、これ以上のリスクは避けるべきだ。
 パンティを元に戻し、部屋にはいりソファにどしっと腰をおろした。

 それにしても落ちつかない。
 未だ官能の炎が燻りつづけている。
 時計の針は十時五分前を指している。
 奥さんが戻るまで、あと、十五分……。
 射精しなければいいんだ! 鑑賞するだけならば何も問題はない。他の下着のありかは、きっと寝室だ。
 寝室の壁一面にはクローゼットが埋め込まれている。同じつくりの部屋なので考えずともどこに寝室があるかわかっている。
 立ち上がって一直線に寝室に向かった。

 寝室に入った。中央にあるダブルベッドには目もくれずに壁に埋め込まれたクローゼットを開き、腰を落として、チェストの一番下の引き出し引いた。
 ビンゴ! 
 一発で、目的のものが保管されているところを見つけた。白、青、赤、黄、色とりどりのパンティたちが整然と並べられている。三十枚ほどはあるだろうか? 
 一枚、また一枚と引き出しの手前から抜き観察し元に戻していく。 
 なんて素晴らしいものたちなんだ。
 んっ!? こっ、これは!
 思わぬものが目に飛びこんできた。
 なんと! 下着の下に透明の紫色のバイブレーターが隠されていた。
 まさか、こんな物まであるとは!
 喉を鳴らして、バイブレーターを手に取った。
 これで旦那にされているのか、いや、もしかしたら欲求不満の熟れた肉体をこいつで慰めているのかもしれない。
 どちらにしろ、こいつが奥さんの膣の中にはいったことは事実である。
 手が震えている。
 スイッチを入れると、太い棒の中心がくねりだし、根元から伸びる親指ほどの小棒が小刻みに振動した。
 ずっと立ちっぱなしの肉竿がビクッと跳ねた。
 夫と子供のいない昼下がりの午後、そこのベッドに横たわり大きく股を開きバイブレーターを膣に突っ込み悶える奥さんの姿が目に浮かべた。
 限界だ。興奮の極みとはこのことをいうのだろうか? こんな悶々とした状態で奥さんが戻ってきたら、力ずくで襲ってしまいそうだ。それを回避するには情欲の炎を鎮火させるには抜くしかない。冷静な思考はぶっ飛んだ。後先のことなど考えられない。
 パンツごとスウェットを膝までおろした。
 無作為に手にした黒いパンティを怒る肉竿に巻きつけた。
 そして力強く肉竿を扱き始めた。
 シュッ、シュッ、シュッ。
「ハァ、ハァ、ハァッ」
 異常な行為が快感を増幅させているのだろう。僅かな時間で射精の波が襲ってくる。その至福の瞬間を得るために扱く手を早めた。
「ううっ、ぐうっっ」
 グオーンっと波が最高潮に達しようとしたときだった。
「ただいまぁ~」
 と、奥さんの声が耳にはいり、瞬時に我に返った。
(やばい! こんな姿を見られたら大変だ!)
 恍惚の世界からパニック状態へ一転した。
 すかさず、膝までおろしたスェットと下着をあげて勃起したままの肉竿を隠した。バイブを無造作にいれ、引き出しを押した。「吉川さぁーん。吉川さぁーん」
 リビングルームにいない俺を呼んでいる。
 まさか、寝室にいるとは思ってもいないだろう。何で、この部屋に入る必要があるのだろうか? その理由を探すために素早く部屋中を見回したがネタは何も見出せない。
(まずい、まずいぞ)
 混乱したまま息を潜めた。
 さっ、さっと床を擦れるスリッパの音が近づいてくる。
 音が止まった。
(あぁ、もぉ、だめだっ)
 とって式のドアノブが下がり、ドアが開かれた。




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