第三話

 俺たち三人は小坂井あやめの部屋の前で立ち止まった。
 周囲を確認しつつ、二人の仲間はドアの死角に身を隠す。
 精力剤を飲んだせいで動悸がするのを、深呼吸で押し留める。
 ガタンゴトンと夜通し走り続ける夜行列車の中にいて、静かな海をイメージし
ながら小坂井あやめの部屋の扉をノックした。

「尾島です。
 ……その、さきほどのことで、どうしても謝りたくて」

 右側の壁を背にして身を隠している巨漢が、教官のように頷いて寄越す。
 こいつは演技の一つできないくせして、無駄に上からの態度でイラッとくる。
 良い演技だ、と褒められても嬉しくはない。

 ほどなくして室内から小坂井あやめの声がする。

「尾島さんですか……」
「さっきは……本当にごめん」
「……あ、今、ドアをお開けします」

 小坂井あやめがドアに近づいてくる。
 左右に分かれて身を隠す仲間たちの目つきが厳しく鋭くなり、ドアを睨みつけ
ている。
 なおさらこの狩猟ともいえる状況が本能を刺激するのだろうか、仲間たちから
は狂気が色濃く匂っていた。
 俺はドアの前から一歩引き、仲間たちの背中向こう、廊下の先に誰か人が来て
しまっていないか周囲を確かめる。
 大丈夫だ、人の気配は微塵もない。
 行ける――と思うと心臓が早鐘を打った。

 カチャっと扉のロックが解放され、躊躇いがちにドアが開けられた。
 中から小坂井あやめが現れた。
 唇を合わせたばかりの相手が目の前にいるためか、動揺によって視線を泳がせ
ている。
 好都合だった。

「尾島さん、私、別に気にしてなんか――」

 火を見るよりも明らかに動揺しているくせに、優しい笑顔を取り繕う小坂井あ
やめ。
 その表情の綾を楽しむ一刹那に、まず巨漢が飛び出した。
 視線を迷子にしていたために小坂井あやめの反応は一瞬遅れる。
 華奢な自分からすれば生まれた国の違う相手だと思わざるを得ない巨漢が目の
前に立ち塞がれば慌ててドアを閉めようとするのだったが、俺はさりげなく足を
入れてやっていたためにドアが閉まらない。
 ドアが閉まらないのが、俺が足を入れているためだと気付いた小坂井あやめの
青ざめた表情は大いに嗜虐心を煽り立てるものだった。
 声を上げられる前に口を塞ごうとしたのだろう巨漢の手は、まるで小坂井あや
めの頭部を握り潰してしまうような格好だった。
 巨漢の指と指の隙間から小坂井あやめの驚愕に見開かれた目が俺を捉えるが、
俺は無感動にもう一人の仲間に合図を送り、仲間たちに小坂井あやめを部屋の奥
へと押し込ませた。
 もう一度廊下の周囲を確認してから、部屋に入って鍵を閉める。

 ベッドに放り投げられた小坂井あやめは、さっそく行為に及ぼうとしている巨
漢の全裸体に竦み上がっていた。
 強靱な筋肉は隆々として、さらにその全身は地獄にあると言われる針の山を転
げ落ちてきたかのように傷だらけ。
 巨漢と小坂井あやめの華奢さを比べると、小坂井あやめはあまりに小さな少女
で、あまりに都合のいい玩具にすぎなかった。

 もう一人の仲間のヒョロッとした狐顔の男は、手際よくドアに板を打ち付けて
いく。
 強度増しの後は壁とドアを針金で結びつけ、ドアごと外されるのを防ぐために
適当な木材を隙間に埋め込む。
 二分と掛からぬ早業には毎回舌を巻く。

「……尾島さん、どうして……」
「どうしてだろうな」
「そんな……ぅぅっ……信じてたのに……」

 泣き出す小坂井あやめに俺は事務的な口調で言う。

「ドアはこの通り完全に塞いだから、逃げようと思うならその窓から飛び降りる
しかない。
 一晩俺たちの相手をしてくれれば殺しはしないけど、どうする?」
「……声を上げますよ?」

 小坂井あやめ自身もまるで期待した様子のない脅し文句。

「もちろん女らしく鳴いてもらわなくちゃ困る。
 助けを求めて叫んでみるかい? ドアを封じたのは、君をここから逃がさない
ためじゃなくて、自分たちも混ぜろと他の男達が雪崩れ込んでくるのを防ぐため
さ。
 同じ女性たちは君の悲鳴を聞いて、あぁ始まったな、と思うくらいだよ。
 君の嬌声を聞いて集まった男達が、ドアを打ち破れそうにないとわかれば、き
っと他の女性客の部屋を襲う。
 ま、そんなこと俺たちの知ったことじゃないけど」

 そして傍らでは巨漢が、さも「反抗したら殺すぞ」とばかりに全裸で仁王立ち
している。
 股間の怒張の大きさは生殖器というよりも、肉厚の配管パイプのようだった。
 巨漢を前にした女はみな恐怖に竦み上がり、声を失う。
 繊細なシルク糸のような小坂井あやめは、助けを求める視線を俺に寄越すが歯
牙にも掛けない。

「ひひひ、そんなに小さくなっちまって」

 狐顔が下卑た笑いをしながら小坂井あやめに近づく。
 俺たちの仲間内では一番身体は小さいが、なまじ器用な変態だった。
 あっという間に小坂井あやめをうつぶせに組み伏せ、首根っこを押さえつける。

「ほら、尻をあげろ」
「い、いやっ」
「お嬢ちゃん、いいか、俺っちの言うことだけは聞いておきなぁ。
 そこのデカブツは色狂いだが、まんこさせてやればそれだけでいい単純な奴で、
普段は温厚なんだ。
 あっちの交渉役の旦那は、まさかこんなことをするなんて思わなかったろう?
 俺たちも驚いてんだ、最近毒気が抜けてきてんじゃないかって。全部が演技だ
ってんなら逆に一番ぶっ壊れてんだろうけどな。
 残る俺は何かに狂うこともできず、真人間になることもできねぇ『死にたがり』
なんだ。
 だからなんでも壊しちまう。
 お嬢ちゃんの腹をかっ裂いて、はらわたを取り出すのなんて躊躇ねぇんだぞ?」

 狐顔は昔から捕虜のケツ穴を裂いて、腸を引き釣り出す拷問が好きな奴だった。
 すぐにも全裸になるだろうから分かることだが、身体についた傷の数なら狐顔
が倍近く多い。そのほとんどが仲間から付けられた傷だと聞く。

「ほら……言うこと聞けよぉ? 尻をあげろ」
「ぅぅ…ぅっ……」

 半泣きになりながら小坂井あやめは尻を突き出す。

「よしよし、良い子だ。そのままでいろよ?」

 狐顔は小坂井あやめのショーツに手を掛けると、恥部が露わになるほどに引き
下ろした。

「ぃやっ…!」

 白い柔らかそうな尻の肉と、薄桜色の性器が露わになった。
 狐顔は大きなまんじゅうを割り裂くように尻肉を開くと、肛門を露出させた。
 小坂井あやめらしい小さな窄まりは小指一本挿入するのも厳しそうだったが、
この大きさでもねじ込めば男性器を咥え込んでしまうのだから、つくづく女の穴
の拡張性には驚かされる。

「お嬢ちゃん、これはな、気持ちが良くなる薬なんだ。
 どうせ一晩俺たちに廻されるんなら気持ち良くなりたいだろ?」

 狐顔は持参したゴム袋から何かの塊を取り出し、それを小坂井あやめの肛門に
宛がった。

「い゛やっっ! やめてっ!!」

 肛門を触られた感触に背を反らせて小坂井あやめは叫ぶ。
 だが巨漢が近づき、小坂井あやめの首を押しつけて拘束した。

「ひひひ、座薬みたいなもんだからさ。
 直腸吸収は効き目が早いんだ、少しの我慢だ。
 痛くはねぇから、そう力むな」

 狐顔は何かの塊をそのまま力を込めて肛門に押しつける。
 小坂井あやめは必死に肛門括約筋を締めて抵抗する。

「やめてくださいっ!! お願いしますっ! 尾島さんっ、助けて!」

 助けを求められても、俺は黙って様子を見ているばかりだった。
 小坂井あやめからは狐顔が肛門にねじ込もうとしている物体がどんなものであ
るか全く見えない。
 恐怖心を煽る単純なやり方だったが、充分に効果的なようだった。
 狐顔は肛門に何かの塊を押しつけたまま、じっとその時が来るのを待っている。

「ぅぅぅぅっっ……!」

 呻きながら堪える小坂井あやめの顔が赤く染まり出す。
 肛門括約筋を締めて抵抗するために、小坂井あやめは呼吸を止めて力んでいた。
 だからそのうちに酸素を求めて息を吸う隙が生まれる。
 少しでも括約筋が緩めば狐顔が押しつけている物体が挿いってしまいかねない
――そんな力加減が狐顔は絶妙だった。

「ぅぅぅ……ぅっ、あっ、ぁ……あぅぅっ!」

 抵抗の決壊が近いことを示すように小坂井あやめの反応が変わる。
 なにかの動物の出産間際を思わせるように空気が張り詰める。

「だ……ダメっ、あっ……あ! あっ! ダメダメっ! あっっ! あぁぁぁぁ
ぁっぅっっっ!!!!」

 尾を引く悲鳴を上げる小坂井あやめの肛門に、ようやく媚薬がめり込んだ。
 狐顔は座薬などと言ったが、そこいらの座薬の大きさと比べても、媚薬と仄め
かしてねじ込んだ物体は五倍近く大きい。

「さぁさぁいくつ入れてあげようかな」
「……え、やだっ、やだっっ! もうやだっっ! 入れないでっ! もう入れな
いでっっ!」

 首根っこを押さえつけていた巨漢が小坂井あやめの上半身に乗りかかり、両手
で力任せに尻肉を開く。
 無惨にも左右に裂かれた尻肉の中心で、肛門も金魚の口ほどに穴を広げてしま
っていた。

「お嬢ちゃんは可愛いから出血大サービスだ」

 ゴム袋から次の塊を取り出し、それを肛門に宛がう。
 今回は驚くほどスムーズに塊が肛門の中に吸い込まれていった。

「あぁぁぅぅぅっっっ!!」

 さらに次の塊を取り出した狐顔は嗜虐心に満ち満ちた顔でそれを肛門に突っ込
む。

「くぅぅぅぅっ!!!」

 二つ、三つ、四つ……と媚薬と呼ばれた塊が小坂井あやめの直腸に沈み込んで
いく。

「さぁこれが一番大きい奴だが、お嬢ちゃんにプレゼントだ」

 女子供の握り拳大の塊を取り出すと、狐顔はそれを小坂井あやめの排泄穴に押
し込む。
 ぐぐっ、と狐顔が力むのが空気の緊張として伝わってくる。

「ぅ……も、もぅい゛や゛ぁぁぁっっ!!!!」

 小坂井あやめは悲鳴をあげたが、塊はゆっくりと肛門に沈み込んでいった。
 狐顔は中指を突っ込み、さらに奥へと塊を押し込んでやる。

「ぅぅ……っ、ひ……ひどぃ……」

 尻を突き出したまま小坂井あやめは泣き崩れた。
 その様子を俺たちは声を殺して嘲笑っていた。
 それもそのはず、俺たちが小坂井あやめの肛門に媚薬だと騙して入れ込んだ物
体は、ただの氷塊だったのだから。


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