第四話

 媚薬が効いてきたのだろうか。
 なんの変哲もない氷塊だったが、媚薬と偽り小坂井あやめの直腸に突っ込まれ、
内臓の発する粘っこい温度によって溶解し、今や腸液と一緒になって腸を潤し、
一部は体内吸収されていることだろう。
 小坂井あやめは微熱に囚われたようにとろんとした目をしてベッドに横たわっ
ている。
 未知の異物が体内に押し込まれ、それが体内で溶けて消えていく感覚とはどん
な恐怖だろうか。

「もういいよな」

 巨漢が待ちきれないとばかりに俺たちに問う。
 血走った目をした横顔には、俺たちに有無を言わさぬ迫力があった。
 俺と狐顔はなにも答えなかった。
 むしろ、よく今まで我慢したものだと褒めてやりたい心境だった。

「ぃ……いや…!」

 巨漢の海綿体は痛々しいくらいの充血を見せ、熱湯をぶっかけた皮膚のように
赤化していた。
 日焼けした土褐色の全身の中で、唯一男根だけが純粋に赤く、異様だった。
 腰が抜けたようにベッドにうつぶせに倒れている小坂井あやめの髪をむんずと
掴みあげる。

「ひっ……あ、あぅっ」

 小さな悲鳴を上げた小坂井あやめの口に噛みつくように巨漢がキスをする。
 巨大な肉食獣が小動物の頭にかぶりつくような、ロマンスの欠片もあったもん
じゃないキスなのに、小坂井あやめは諦観を滲ませながら目を閉じ、キスに応え
た。
 それに比べて巨漢はどうだ、しっかりと目を見開き、小坂井あやめの舌を吸い
上げている。
 吸い上げては舌を噛み、噛んでは舌を吸い上げる。
 舌が抜けるほどに吸い上げられた小坂井あやめがむせ返る。
 それでも巨漢が舌を解放することはなく、舌と唾液とを吸い上げる。
 まるで小坂井あやめの口から巨漢の口へと大きなナメクジが移動しているよう
にも見える。

「げぅっ、はぅっ……あっぅ、はぁ…ぅっ…ぅぅっっ…!」

 ようやく巨漢のキスから解放された坂井あやめは呼吸を忘れたかのように咽せ、
大粒の涙を滴らせた。
 そんな少女を巨漢は組み伏せる。
 両腕を開いた状態にさせ、それぞれの腕で押さえつける。
 小坂井あやめの顔のすぐ上に巨漢の顔が迫り、抵抗の術はなにも残されていな
い。
 巨漢はその至近距離にいて、さきほど吸い上げた小坂井あやめの唾液と自分の
唾液とをぐじゅぐじゅ……ぐじゅぐじゅ……音を立てて泡立てる。
 巨漢は自分の口内で泡だった唾液を見せつけるように口を開いた。

「いや……いや、いやっ、やめて、やめてっっ!」

 金切り声をあげ、髪を振り乱す小坂井あやめ。
 だが、巨漢は聞く耳を一切持たずに少女の口を自分の口で塞いでいく。
 泡立てた二人の唾液を巨漢は口移しで小坂井あやめに飲ませる魂胆だったろう
が、小坂井あやめは必死に口を閉じ、それを拒み続けた。
 巨漢は小坂井あやめの口を割ろうと躍起で、お互いの顔が醜く擦れ合っていた。
 やがて巨漢は小坂井あやめの口を捉えたらしく、ナメクジの交尾のような擦り
合いが終わったかと思うと、一瞬の硬直の後、巨漢は自分の圧倒的な肺活量でも
って泡立てた唾液を小坂井あやめの口の中に送り込んだ。
 ぶぶぶぶっっぅ! と行き場を失った空気が暴れる。
 巨漢の予想外の暴挙に、小坂井あやめの全身が脈打ち、下半身が跳ね上がった。

「飲め」

 巨漢は唾液を送り込んだ後、小坂井あやめの口を押さえて恫喝した。 
見開いた目を震わせ、小坂井あやめは首を振ろうとする。
 口いっぱいに含まされた唾液に小坂井あやめの頬は膨らみ、今にもはち切れそ
うだった。
 吐き出してしまえばいいのに、ベッドの上で唾液を吐き出すことに抵抗がある
のかもしれないし、まさか恥部を見られた俺たちの前なのに、恥じらいがあるの
かもしれない。
 ただただ律儀に頬を膨らませる小坂井あやめに呆れ半分、同情半分の感情を抱
きながら俺は巨漢の行為を見続けていた。

 巨漢は改めて小坂井あやめにディープな口づけを迫った。
 小坂井あやめの口内に注ぎ込んでいた二人の唾液を再び吸い上げる。
 そうしてまた口の中でそれを味わうようにグジュグジュと泡立て、小坂井あや
めの口の中に戻し込む。
 桁違いの肺活量で力任せに泡だった唾液を押し込むと、押し込んだ際から唾液
を吸い上げる。
 吸い上げては流し込み、流し込んでは押し込む。
二人の口内を通じて二人の唾液が泡立っていく音が、夜行列車の走行音に負け
ぬほどに響いてくる。
 ともすれば二人の共同行為なのかと思えてくるそれは、吸うにしろ吐くにしろ、
すべてが巨漢の肺活量任せ。
 イラマチオで喉突きを喰らったかのような嗚咽を繰り返す小坂井あやめは、ス
カートの中が丸見えになるのも構わずに脚を突っ張り、巨漢に抗おうとしていた。
 体格差を考えれば無駄な抵抗にしか思えないものの、唾液を流し込まれる嫌悪
的な抵抗ばかりでなく、それを続けられて呼吸もままならないとあらば、必死に
藻掻くのも頷けるところだ。
 吐いたり吸ったりを繰り返しているものの巨漢は冷静で、小坂井あやめが苦し
紛れに放った蹴りを避けながら、正常位で覆い被さるようにポジションを取る。
 小坂井あやめは両足を開かせられたままで閉じることもできなくなり、もう抵
抗する術がないと諦めていく。
 萎れた花のようになった小坂井あやめにとどめを刺すように、巨漢はその巨躯
をさらに膨らませて息を吸い、それを勢いよく吐き出すとともに泡だった唾液を
送り込む。
 
ごぷぶぶっゅ、ごぐゅるうぅっ……と小坂井あやめの喉が鳴る。

 ついには小坂井あやめは根負け、泡だった唾液と空気とを飲み込まされた。
 飲まされると同時に吐き気を催す小坂井あやめを見下ろし、巨漢は満足げに唇
を離した。
 室内にはなにか一つの儀式が終わった後のような雰囲気が漂い、生け贄となっ
た小坂井あやめだけが一人悶えていた。


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