前編(5) 所変わってここは近江邸。屋敷というに相応しい広い家。 外資系の会社の会長をしている父と、その秘書をしている母はあまり家に戻らない。その為、この広い家には数名の使用人と近江姉妹だけがいるのである。 陽菜は、自室で紅茶を飲んでいた。 外はもう冬に近い色になっている。雪は最近チラホラ見えて以来積もることはなく、枯れ葉ばかりが目につく。 陽菜は上機嫌だった。今日も魚月は楽しげだったし、放課後のあの様子では効果は充分期待できるようだ。 周囲は気付かない程度の変化だったが、陽菜には解った。魚月は欲情していた。 (このまま上手くことを運んでいかないと…) 陽菜は、小さな小瓶を見つめる。中には何かの液体が入っており、今日魚月に食べさせたパンケーキにほんの数適入れたものである。 (もうすぐ…もうすぐだわ…) 陽菜の口端が上がる。その時、ノックの音が部屋に響く。 「…どうぞ」 陽菜が返すと、一人の女性が部屋に入って来た。 彼女は近江瑠璃。陽菜の実姉である。 ほんのりの亜麻色がかったウェーブのかかったセミロングと、睫毛の長い垂れ目。 巨乳といっても足りない爆乳は、Gカップという奇跡のサイズだ。 膝丈までのスカートから覗く黒いストッキングが、二十歳とは思えない大人っぽさを醸し出している。 「お帰りなさい、姉さん」 「た…ただいま…」 瑠璃は、その美貌を少し歪め、俯いたままドアにもたれている。心なしか呼吸も荒く、膝が笑っている。 「何か用?」 「ひ…陽菜ちゃん…ッ」 かすれた声と潤んだ瞳を投げかける。 「…いやらしい顔。まるで牝犬ね。…あら、まるでじゃなくて、牝犬だったわね」 陽菜が嘲ると、瑠璃はそのまま座り込む。それを見ながら、陽菜はポケットに手をいれ何かを取り出した。 「あぁっ…陽菜ちゃん勘忍して…。狂いそうなの…もぅ…」 「ダメよ」 陽菜が取り出したのは、リモコンだった。小さなそれにはボタンとつまみがついており、陽菜はおもむろにそのつまみを回す。 「くひぃいっ!? だっ…だめぇえっ…!」 途端、瑠璃が叫んで体を震わせだす。陽菜はつまみを見ながら、瑠璃の苦しむ声を聞いている。 「変態。こんな物を付けられて喜んで。犬以外のなんだって言うの?」 「ヒィイッ!わっ…私は、犬ですぅっ! あひぃっ…認める、から…止めてぇっ!」 瑠璃に取り付けられている物。乳首とクリ○リスへの三点ローター。そしてそれを付けるよう命じたのは、他の誰でもない陽菜なのであった。 「ぁっ、あ…アァあァぁーーっ!!」 止まらない振動に、瑠璃は立て続けてオルガズムに達していく。 だが振動は止まらない。敏感な部分への容赦ない刺激に苛まれ、瑠璃の悲鳴は止まらない。 「あの薬、ちっとも効かないわ。ナツったら変わらない」 「けっ…けどっ…いきなりは嫌だってぇ…」 「確かに、じっくり落としたいとは言ったけど、遅すぎるわ」 陽菜の言う薬とは、先程の小瓶の中身だ。 前頁/次頁 |
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