前編(5)
よく見ると、ドアは完全にしまりきっておらず、そのため光や音がわかりやすく漏れていたらしかった。好都合とばかりに、俺はそのドアの隙間を覗いた。
「あぁっ!あんっ!あ、ぁあっっ!」
中には、高校生か女子大生くらいの少女がいた。
なかなかの美人だ。彼女は衣服は全て床におち、全身を真っ黒な紐で縛られている。何縛りとはいわないが。
形のいい胸を搾り出すように絞られ、その先端には目玉クリップのようなものでストラップがつけられている。
騎乗位の体制らしく胸のそれが痛むのも構わずに一心不乱に体を上下させている。
「アヒィッ! 窮鼠様ァッ、もぅ…もぅっ!」
「またいくのか? いやらしい女だ。中に欲しいのならもう少し我慢したらどうだ?」
少女の下にいるのは、グレーの髪の若い男だった。だがその体からは、異様な気配がかもしだされている。
「ヒィッ! もぅっダメっ…イクッ、いきそうですぅっ!!」
「…仕方ないな。いかせてやるか」
男は、突然少女の足を持ち一気に突き上げる。
「ひ…ひぃいぃいっ!?」
背中をのけ反らせ、ガクガクと震えながら少女が絶頂に達しているのがわかる。
だが男は満足いかないのだろう。少女の体を反転させて、今度は後方位のまま貫き出した。
「あぁあっ!? ダメッ、ダメッだめぇえっ!」
白目を剥きかけながら口から溢れる唾液も拭えず、少女は悲鳴をあげている。
「俺の精が欲しくないのか!」
「欲しいッ! 欲しいのォッ! あぁあっ!? もぅおかしくなるぅっっ!!」
「くくっ…ぶち込んでやるからありがたく飲みなっ」
男が再び腰を下から持ち上げるように動かしだし、少女の悲鳴が一層高くなる。
そして濁った音と共に、少女の中に男の精液が注がれるのが目に見えて解った。
(すげぇ量…)
膣におさまりきらず、ボタボタ落ちる白濁。それを零さないように入口を締め付けている少女はどう見ても気絶していた。
「ふふふ…俺の子を宿せ。上手くいったらお前の望みままの幸福をやろう」
ニヤニヤと笑う男。そして何気なく、俺は部屋にかかっている鏡を見てしまう。
「ッ!?」
思わず飛びのき座り込む。叫ばなかったのは奇跡だったが、中の男にはばれたようだった。
「誰だ」
低い声に、体が硬直する。
鏡に映った物。それはたしかに窮鼠だった。真っ赤な頭と、真っ白な胸。そして真っ黒な下半身の大きな化鼠。
鼠の怨霊であり、猫を主食にしている。とわいえそんな凶暴な妖怪ではなかったはずだ。恐らく時を経て変化することを覚え、人となったのだろうが…。
「…そこにいるのは誰だ」
やばい。窮鼠の感想いってる場合じゃない。今捕まっても俺は戦いないのだ。
若干例外はあるが、俺は霊視と触るくらいが限界。度を越えた戦闘は、あいつらの専門なわけで。
(…逃げよう)
ドアの方に歩み寄ってくる窮鼠がくるまえに、店に入ってしまえばいい。路地には真麟の式神もいる。
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