後編(3)
あの牛鬼ですら完全に使い切る程の相手ではなかったということか…。しかし一回抜きゃ治まるだろうな。今回ばかりは。
…その一回が大変なんだけどさ。
「…相手…してやってもいいぜェ?」
ニヤニヤ笑う朔羅は明らかに確信犯だ。流石の天照も溜息混じりに朔羅の肩を掴み、顎を引いてやる。
それだけで、朔羅の潤んだ瞳が細められる。…エロい。
「随分…生意気な口をきくようになったものだな」
「実力があるんでねェ」
「なら…」
ニヤニヤしながら余裕ぶる朔羅のそれが虚勢だということくらい、俺にでもわかるってのに、天照は気付かないふりをしていきなり朔羅に口づけた。
「んっ…ふ…!」
朔羅の体が跳ね上がる。咥内を犯すような口づけに、悲鳴も飲み込まれる。
眉を潜める朔羅の表情は、苦痛ではなく快感によるものだった。
ビクンと跳ねる朔羅の躯。『変化している』のは、このままでも解った。
服の前を開けてやり、シャツを一気にたくし上げる。そこには、男にはあるはずのない膨らみがあった。
朔羅の躯は、天照に共鳴して女になる。半陰陽とは違うと思うけど…どうなんだろ。天照がいるときと、朔の夜だけ、こいつの躯は女になるのだ。
膨らみは、平均より少し大きめで、ブラジャーなんか着けたことのない(普段ないから着けようがないけど)胸は下の方がふっくらしている。
キスだけで硬く尖った乳首だけが上を向き、触れられるのを今か今かと待ち望んでいるようだ。
雪のように白い肌に、恥じらい等知らぬような赤に近い果実。少し捻っただけで、潰れてしまいそうな程ぷっくりしている。
色にそぐって、形は大きめ。少し縦長の、レーズンのようだ。
「ふぁ…ぁ…」
唇を離すと、銀糸が光る。とろけた表情の朔羅--月讀は既に腰砕け寸前らしく、膝が笑っている。
「これでもまだ、偉そうな口がきけるか?」
「…ぅ、せ…黙、れ…ッ」
発情期の牝のような瞳を向ける癖に、口から出る言葉は可愛くない。天照は、喉で笑うと月讀を軽く突き飛ばす。
「ぁ…!」
ひんやりとした岩に座り込み、何があったのかという表情を浮かべる月讀。
「…今日はどこまで、その減らず口がきけるかな」
楽しげに唇を舐める天照に、月讀の肩がビクンと震える。快感への期待と不安の混じった、表情で。
*---
「ヒィンッ…、…あ、もっ…きゃんっ…!」
月讀の悲鳴が洞窟内に響く。胸や首、耳の裏までたっぷりと時間をかけて愛撫してやったせいで、さっきから鼻にかかったような甘い悲鳴は途切れない。
だが、あれからまぁ20分は経とうというのに、乳首はいっこうにいじっていないのである。嬌声も涙まじりだ。
ぎりぎりのラインを舌でなぞったり、胸を掬うように揉んでやると、嫌々と首を横に振って必死に天照の服を引く。
それを窘めるように脱がせた服で腕を縛られた月讀は、はしたなくねだった罰と言わんばかりに弱点の耳をなぶられてもはや陥落寸前であった。
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