第2章 第4話「メールで」














第2章 第4話「メールで」

 裸になったり、生で触らせたりするのは、千奈美にはまだまだ恥ずかしい。
 その割りにはペニスを握るだなんて、凄いことをしてしまったが、自分が男の子のものを見るのと、千奈美自身が脱ぐのとでは、恥ずかしさは段違いだ。下着になったり全裸になったり、その激しい羞恥心の中へ飛び込む覚悟は、千奈美には出来ていなかった。
 だけど、今日は嬉しかった。
 千奈美がペニスを握ったことで、健一は嬉しそうな顔をしていて、何かお礼がしたい一心で今度は自分が千奈美を気持ち良くしたいと言ってきた。
 きちんと成立している実感が持てて、とてもとても嬉しい。
 今思えば、最後までしてみたかったのかもしれない。
 健一と繋がるなら、きっと深く通じ合える予感があるし、それが出来たらどんなに幸せだろうかと興味は強い。
 だから、してはみたい。
 が、その勇気というか覚悟というか。興味のある反面、どこか怖かったり不安に思う気持ちが拭えないから、今のところ本番行為には踏み切れない。まだ本番だけは拒めばよかったのかもしれないが、アソコに触られることにも期待の裏に不安があった。
 健一の気持ちに、応えられなかった。
 今夜の電話はその代わりだ。

『もう寝る前になりましたか』
『なったよ』

 メールを送り、返事を読む。
「よし」
 千奈美はパジャマを脱いだ。上も下も、下着まで全て取り去り、丸裸になってからスマートフォンの画面に健一の番号を表示する。
 ゴクリと、少し緊張しながらも、タッチ操作の指先で通話を押し、何度かのコールで健一と繋がった。
「健一」
『こんばんは。千奈美』
「こんばんは」
 健一の声を聞きながら、ベッドで仰向けになった千奈美は、左手でスマートフォンを耳に当てて、右手の方は下へと伸ばす。
『今日は必ず電話しようって、言ってたね』
「うん」
『何か。電話じゃないと、話せないことがある?』
「……ある」
 千奈美は小さな声で答えた。
「話すっていうより、できないことがあるの」
『できない?』
「そう。私って、今仰向けなんだよ?」
『えーっと、それですることって、もしかして……』
 もう気づいているのだろうか。
 それもそうか。
 だって、あのあとに電話について念を押し、電話でなければ『できない』ことがあると千奈美は言った。
 だから、もう……。
 健一は察しているかも。
「私が下なんだから、健一は上ね」
『あ、ああ』
 身体と布団の触れ合う衣擦れから、健一が体を動かしているのがわかる。千奈美は目を瞑りながら想像力を働かせ、自分を下に敷いた形でうつ伏せのように寝ている健一の存在を頭に浮べた。
「いいこと教えるね」
『うん』
「私、服着てない」
 言ってしまった。
 これで、健一の頭の中にも千奈美が浮かんで、丸裸のまま仰向けになっている。
『全部?』
「……全部」
『下も脱いでいる?』
 そんなことまで、あまり直接的に聞かれてしまうと、急に自分のしていることの恥ずかしさを思い出す。
「ま、まあ……」
 答えるのも恥ずかしくて、声が震えてしまった。
『俺も脱ごうかな』
「お願い」
 自分だけ裸になるより、その方がずっといい。受話器の向こうから、衣擦れの音をしばらく聞いて、健一は自分も全て脱いだことを伝えてくる。
『胸を揉む』
「うん」
 健一の手を想像して、乳房が手の平の硬い温度に包まれることを考える。五指が乳房を揉みこんで、乳首も弄ることを浮べながら、千奈美は自分の右手を秘所へと伸ばす。中指で縦筋を上下になぞり、自慰行為を開始した。
『どんな仰向け? 脚は?』
「……閉じてます」
『M字にして欲しい』
「はい」
 千奈美が股を開放すると、健一の頭の中でも、そんな千奈美の卑猥な姿が展開されているはずである。
『下も触っていい?』
「……どうぞ」
 健一の指で秘所をなぞられるということを、千奈美は懸命に想像した。健一ならこうやって触るだろうと考えながら、縦筋のまわりを時計回りにぐるぐると、何周にもわたって触り続ける刺激を行った。
『千奈美……』
 電話の向こうからの息遣い。
「もっと、何か喋って?」
『ああ、そうだな。手で包んで、揉むように触ってる』
 こうだろうか?
 千奈美は四指で性器を覆って、細やかに指をくねらせるマッサージを自ら施す。自分自身の指を完全に健一のものに見立てていた。



back/next












検査や診察で少女の体を隅々まで調べる官能小説。二次創作エロ小説。自作ギャラリーも多彩。


黒塚工房




































cover

投稿官能小説(3)

トップページ




inserted by FC2 system