第2章 第3話「千奈美の手淫」














第2章 第3話「千奈美の手淫」

 手でしてもらえることになった健一は、机の椅子を借りて腰掛ける。広げた脚のあいだに千奈美を迎え入れ、正座で真っ直ぐ背筋を伸ばした千奈美は、前のめりになってズボンの膨らみを凝視していた。
「すごい興味津々的な」
 子供が昆虫を観察するような目を向けてくるので、健一はそんなことを言ってみた。
「健一だって、人のお尻ばっかり」
「すまぬ」
「別に許してあげるけど、私だって……」
 千奈美は両手を近づけて、今にズボンの膨らみを包み込もうとしているが、その手が直前で止まって触れてはこない。気恥ずかしい顔で躊躇って、なかなか自分から触ることができないでいた。
 なので、健一の方から手を掴んで、自分の股間へ導く。柔らかい両手の肉が、ズボン越しの勃起を包み込んで、健一は興奮に息を荒げた。
「……か、硬いねっ」
 照れ臭くてたまらないように俯いて、千奈美は裏返った声で言う。直視することなく頭を向け、左右の手をかすかに上下に動かして、軽くさすって慰めている。ほぼズボンの表面を撫でるだけだが、衣擦れの刺激はトランクスを介して肉棒にまで伝わっていて、健一はかなりの充足感に満たされていた。
 一人の人格ある人間が、この汚い部分にサービスを施している。
 千奈美が自分に尽くしてくれている。
 この事実ほど興奮するものはない。
「こ、こんなになるものなんだねっ。うん。そっか。これが健一のものか」
「俺さ。千奈美で硬くなってるから」
「知ってる。嬉しい?」
「うん。できればなんだけど、その手で中身を取り出してくれたら、もっと嬉しい」
「……わかった。やってみるね」
 意を決した千奈美の手が、ベルトの金具へとかかる。緊張感で硬くたどたどしくなった手つきで、まずは金具の部分を外し、ズボンのホックを取り外す。チャックを下げて、いよいよとランクスまでずり下げると、上向きに寝ていた健一の勃起は、千奈美の眼前へと飛び出した。
「――――はぅっ」
 千奈美は軽く驚いて、目をぱちくりさせて健一のものを凝視する。すぐに思い出したように顔を赤らめ、恥ずかしすぎて直視できずに目を背ける。しかし、興味はあってかチラチラとした視線を何度も向け、健一の肉棒を気にしていた。
「よく見て、触って?」
「はい。では……」
 千奈美は恐る恐るといった具合に人差し指だけを伸ばして、そーっと指先を近づける。亀頭の先に指の腹を乗せ、珍しいものを観察する目つきになって裏筋に視線を固定する。両手で円柱を包み込み、ゆっくりとしごき始めた。
「おおう……」
 ふんわりとした柔らかい肉付きの手の皮膚が、怒張して血管の浮き出た皮に皮膚と擦れ合って、自分で自慰をするのとは別の快感にペニス全体が支配される。
「これが……健一の……」
 千奈美は形状をよく確かめようと、しだいに集中しながら触っていた。根元を左手で固定しながら、右手の絹指四本を束ねて、根元から先端へかけて反り具合を確かめる。親指と人差し指で作ったリングをカリ首にかけ、指圧しながら亀頭を眺める。
「やっぱり、興味津々?」
「だって、男の子が気持ちいいのって、ここなんだよね」
「うん」
「……どうしたら気持ちいいのか。健一のコレ、知りたいよ」
 ――ドクンッ。
 健一の心臓が弾んだ。
「知りたい?」
「その方が、健一だって嬉しいでしょ?」
 ゴクリと生唾を飲んだ。
 千奈美は自分に尽くしたがっている。性的に喜んで欲しいと思っている。千奈美にそういうことをさせる資格が自分にあることを実感して、健一の気持ちは燃え上がっていた。
「手で、上下に」
「……こう?」
 右手を上下に動かす千奈美は、これで良いのかと伺う視線を健一に向けた。頷いてみせると千奈美はパッと明るい笑顔になり、嬉しそうに指を馴染ませ、緊張で硬かった動きが少しずつ自然でスムーズなものへと変化していく。
「左手の指で、先っぽを撫でて欲しい」
「うん」
 人差し指と中指で束ねられた二本の指が、先走りの汁が滲んだ亀頭へ置かれる。まるで子供を可愛がるような撫で方で、千奈美は指を左右に行き来させ、鈴口から肉棒の芯にかけてが炎症で痺れるような快感に健一の腰が震えた。
 右手のしごきも続いていた。
 そして、左手の指。
 快楽を味わいながら、自分に奉仕してくれている千奈美の姿をじっと見つめ、すると千奈美も健一のことを見つめ返す。
 ――気持ちいいかな?
 と、目が尋ねている。
 だから、健一は目だけで頷く。
「えっへへへ」
 千奈美は笑った。
 視線を交わすだけのやり取りだったが、確かに千奈美と通じ合った感覚が、健一の胸の中には残っていた。
 好き、大好き――だからしてるんだよ?
 なんて念じているわけではないだろうが、千奈美のそんな気持ちが、その手の動きの中には込められているような気がして、そう思うと千奈美のことが大切でたまらない。
「千奈美っ、そろそろ出る。ティッシュ」
「――う、うんっ」
 千奈美はすぐにティッシュを取り出して、健一のペニスに被せて右手の上下しごきを続行する。せり上がった射精感で肉棒は脈打って、先端が破裂するかのような精液の放出が被されたティッシュと千奈美の両手を白く汚した。
「ひゃっ、これが健一の……」
 驚いた顔の千奈美は、さらにティッシュを出して自分の手を綺麗に拭き、精液濡れのティッシュのゴミを丸める。物珍しいものを観察する目で、それをまじまじと見つめてから、やがて千奈美はゴミ箱の中へと放り込んだ。
「……俺も」
 健一は言った。
「俺も、千奈美に気持ち良くなって欲しい」
 そこに下心がないなんて言うのは嘘だが、千奈美は自分を思って奉仕をしてくれた。ならば健一としても、頑張ってくれた千奈美に何かを返して、悦びを与えられないものだろうか。
 しかし、千奈美は申し訳なさそうに下を向く。
「……ごめん」
「駄目、か?」
「まだ恥ずかしくて、もう少し慣れてからが……」
「……そうか」
 それが千奈美の気持ちなら仕方が無い。
 だが、次はきっと、これ以外のことも……。
「ねえ、健一」
 千奈美は突如として、やけに真面目な顔をしていた。
「ん?」
「今日の夜って、電話できる?」
「できるけど、どうしたんだ?」
 電話もメールも、それこそ毎日のように交わしている。いや、どうせ学校では会えるのだから、電話の方は毎日ではなかったが、割りにしょっちゅうやっている方だ。
 いつでも、好きな時にかければいいのに。
「いい電話してあげるから、絶対だよ?」
「あ、ああ」
「ご飯食べて、風呂も入って、それからだよ?」
「わかったって」
 いい電話? どんな電話だ?
 もしかして、何かそういうことなのだろうか。



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