第5話

 やっとのことでお尻の愛撫が打ち止めになると、ガウンの内側に隠れた背中へオイルを広げて、肩や二の腕にかけても伸ばしていく。
「はぁっ、あぁぁ……」
 私は絶対、変な声を出している。
「もうアソコも濡れている頃でだろうね」
「……友田くん。そんなまさか」
「大丈夫だよ。本当に嫌がることはしないけど、一旦仰向けになってもらっていい?」
 上を向いても、アイマスクによって広がる暗闇で、私には何も見えない。ただ枕に後頭部を置き、肌に染み込んだ皮膚中の熱い疼きに甘美なまでにうなされる。
 前開き式のガウンなどあっさりとオープンされ、私は下着姿で友田くんの目の前に横たわっていることとなった。
 不思議なほど恐怖感はない。
「今度は先に全部オイルを塗るからね」
 断りを入れてから、べったりと私の肌に張り付く手の平も、あくまでオイルを広げようと這い回り、下着に隠れた部分以外は、首から下が全てオイル濡れとなる。
 そっか、いやらしさが無いんだ。
 いやらしさというか、欲望にまみれた身勝手な揉み方が一切ない。自分が楽しむためなら、お尻なんかはもっと大胆に揉みしだいてもおかしくないのに、そういうことを一度もしないで私への性感だけに集中している。
 本当に女性を感じさせることが目的で、自分自身の欲望は横にでも置いているのだ。
 ずっと鼻腔を癒し続けるアロマの香りの効果もある。
 表側への愛撫も、足の先から太ももにかけ、時間をかけて上へ上へと迫ってくるが、内股のきわどい位置まで接近しながら、焦らさんばかりにアソコには触れてこない。腰や腹に指先が踊り、肋骨をわたって胸の真下に指は来た。
 やっぱり、簡単には触ってくれない。
 脇下から迫る形で、だんだん乳房に来ると思ったら、端っこをちょっぴりするだけで、指は鎖骨へ移動する。
「だいぶ気持ち良さそうな顔になったね」
「んん……っ、そんなことは……ぁ……んっ!」
 もう駄目だ。私の腰はモゾモゾと動いている。
 こんなにも肌が沸騰して、快感が広がってくるなんて――。
「春野さんのこういう声が聞こえて光栄だな。高校時代は高値の花だと思っていたから」
「ひゃ……そんな私っ、高値だなんてぇ……っ!」
「自分で思っているよりも、春野さんは人気者だったんだよ?」
「んっ、うそぉっ、だってぇぇ……!」
「さあ、脚を少し開いてもらうよ」
 私の足のあいだにスペースを作り、友田くんがそこに座った気配がわかる。股を閉じようとするだけで、友田くんの正座の膝にぶつかって、もう開いたままでしかいられない。
「あっ」
 むああっ、わき腹……!
「いっ……にぃ……いにゃぁ……!」
 下から掻き揚げる四指の愛撫が、数センチずつ脇の下へと向かっていき、ギリギリで乳房とは言えない付け根の部分を集中的に――。
 指が離れ――次はどこ?
 鎖骨の中央に指が一本置かれた。それが下へと、乳房のあいだに入るものの、触れるようで触れずに乳房を離れ、今度は肋骨で指が踊った。乳房の下弦に迫るも、やはり触れずに他所へ指を置き直してばかりである。
「春野さんのオッパイを見ちゃおうかな」
 友田くんは私の紙ブラジャーを掴んだ。
「はい。バンザイ」
 と言われれば、私はその通りにしてしまって、ずるりと持ち上げるように脱がされる。これで私を守ってくれるのはショーツだけだ。
 あぁぁっ、オッパイを見られている。
「乳首が硬くなっているね」
「言わないでぇ……!」
「夢みたいだな。自分では信じられないだろうけど、僕にとっては『あの春野さん』が下着一枚だけなんだよ」
「言わないでってぇ……」
「もっと感じる状態にしてあげる」
 友田くんはやっと、私の乳房を――。
 いや、膨らみの端っこだけで、上の方には来ようとしない。丸みに沿って、ぐるりと一周かけてくすぐるが、ほとんど乳房というよりその付け根だ。
 ううっ、これじゃあ一体いつになったら私のオッパイは責めてもらえる?
 しかし、代わりにおへその穴に指が入って、もう片方の手は下腹部のあたりだ。ショーツ越しに陰毛の生えた部分をさわさわと、それから両手ともV字ラインに沿った股を撫で、性器に限りなく接近した。
 スライド式の布地を――いや、紙ショーツだから紙地を閉じて、アソコが本当にギリギリで隠れるだけの露出度となり、出ている肌がまさぐられる。
「んんぅぅ……まさかっ、あそこを……?」
「ここがNGかどうかは決めていないんだよね」
「そうだけど……」
「決めた。アソコに欲しい気分にさせてあげるよ」
 それがどれほど、爽やかな風を吹かせたニッコリ笑顔による宣言なのか。アイマスクを解していても、私にはよくわかった。
 私が覚える危機感は一つ。
 アソコの淫らな状態を認めさせられてしまう……!
「そんなのいいって……!」
「だめ、リラックスしなきゃ」
 次の瞬間――。
 んむぅぅぅぅ!
 ――乳首!
 完全な不意打ちで乳首をつままれ、私は大きく仰け反ってしまった。

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検査や診察で女性の(主として少女の)体を隅々まで調べ羞恥を煽る官能小説。
少女の頬が桜色に染まるのを眺めているような錯覚に陥ります。

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