第4話

 むぅっ、ムズムズしてきた。
 なんて丁寧なんだ。
 というか、オイルを広げる以外では、皮膚の表面しか責めていない。
 足だけで時間を使うので、いきなり恥ずかしい部分には来ないとわかって安心するが、太ももまで来たからにはもう……。
 タオルがさらに持ち上がり、ギリギリでお尻が隠れるだけの脚の丸出しぶりとなり、たぶん枕に深く埋まった私の顔は、カァァっと燃え上がっていると思う。
 やばい、やばい、やばいぞ。
 指先がお尻に迫っている――。
「ふぬぅ――――」
 脚の付け根と、尻部の下限の境目で皮膚がゾワつき、私は珍妙な声を上げてしまった。
「お尻を拝見するからね?」
 甘い囁き声で言われても困るよ!?
 あぁぁっ、また友田くんの手が丈を掴んで、紙ショーツなんぞ履いている私のお尻は、これでもう視線の下だ。
「凄くいい形じゃない。綺麗だよ?」
「いやそんなね。私のデカいのなんて褒められてもだね」
「そうかな? 自信を持っても良さそうだよ。大きさは男が喜ぶし、プリプリした丸っこさが可愛くて、とっても美尻だよ?」
「そ、そう? なの……? プリプリとかちょっと恥ずかしいから!」
 喜んでいいのか? そんなに美尻か?
 というか、そんなプリプリとかいう単語を爽やかな声で言い切らないでくれ。
「さあさあ、このプリプリの厚みにも触っていくからね?」
 なんて言うものだから――。
 てっきり、すぐにお尻を揉むと思ったが、触れるといっても下弦と上弦を責めている、紙ショーツの生地がわずかばかりに及んでいない、山のような丸みのふもとの方だ。
 ――来るか?
 生地のエリアに指が入ると、大胆に揉まれるのかと覚悟しかけるが、そんな私の胸によぎった緊張感とタイミングを合わせるようにして、指は太ももへと移っていた。
 さーっとなぞり、また接近。
 ……来ない。フェイントかね。
 お尻を飛ばして、さらにタオルの丈を上げ、私の体はもう腰まわりまで見えている。そこにまたアロマオイルが垂らされて、皮膚の表面がヌルヌルになったところで、膨らみの上弦を可愛がる。
 うおおっ、そこは尾てい骨くらいの高さにあるお尻の端っこで、丸い膨らみと腰の境にあたる部分を――よしよし、ナデナデ、とでも言うべきか。絶対に幼い子供を愛しむノリの撫で方をしていると思う。
「うっ、うぅぅぅ……」
 声だけ聞けば、今の私は苦しみの呻き声を発しているかのようだ。
「もう気持ちよくなり始めているみたいだね」
 お尻の上端だけでなく、腰からくびれにかけても指先が這い、オイルのついた指の先端でヌルウゥゥゥっと、やっぱり皮膚の表面だけを責め立てる。
 ああぁぁっ、何だこの甘ったるい肌の熱さは――。
 皮膚がトロトロに溶解していく錯覚が、今までオイルを塗られた箇所全てに広がって、下半身がムズムズしてたまらない。
「そろそろ、このプリっとしたお肉を見てあげるよ」
 次の瞬間、恐ろしいことが起こった。
 私の紙ショーツはスライド式で、施術に合わせて露出度を変えられる。

 ――ずるっ、

 と、友田くんが私の紙ショーツを中央に手繰り寄せると、いとも簡単にTバックと化す私のお尻は、割れ目が隠れる以外は丸見えなのだ。
「ととと、友田くん! 友田くん!」
 恥ずかしい! 恥ずかしいって!
「お尻から嫌だ嫌だって声が聞こえてきそうだね」
 し、しまった!
 私はそう見えかねないお尻の振り方をしてしまった。仕方ないじゃないか。熱いしムズムズするし、何だか腰がくねってしまうもの。
「ここも気持ち良くしていくよ」
 とうとう、お尻の上に手の平がやってきた。
 アロマオイルを塗り塗りと、広げる時にも無理な力は入れていない。どこまでも優しく軽い手つきのみで、全体的に馴染ませると、今度こそ指先オンリーの愛撫がお尻を丁寧に丁寧に、細やかな踊りで責めている。
 あぁぁぁっ、骨の芯まで甘ったるいよぉぉぉ。
 一箇所だけで時間をかけて愛撫するから、もう既に三十分以上は経過していまいか。
 だからお尻もたっぷりと、良い子良い子と褒めんばかりの手つきにトロけていき、もうどうにでもなれという諦めの境地に私は達した。
 だって、Tバックの露出度をガン見されてるんだもの。アイマスクのおかげで指の感触は如実すぎるほどよくわかるし、恥ずかしげもなくサラっと褒めるし、何というか私はもう何もできない。

 ――もういいです。
 ――どうぞお好きに性感マッサージをお願いします。

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検査や診察で女性の(主として少女の)体を隅々まで調べ羞恥を煽る官能小説。
少女の頬が桜色に染まるのを眺めているような錯覚に陥ります。

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