<第8話:戦線離脱>

犯人にパンプスを隠された香織が、メモの指示に従って自分のバッグを手に取った瞬間、脚を締め付けるストッキングの感覚が無くなり、更に首筋に髪の毛の当たる感触が出た。

「きゃぁ!何これ!?」

足許に目を向けた香織は、思わず悲鳴を上げ、慌てて周囲を振り返った。幸い誰も居ず、彼女の悲鳴に気付いた様子は無かった。
脚を引き締めるように包んでいたストッキングは、足首の辺りまでずり落ちて黒い塊を作っており、スカートの裾から足首の上まで生脚を晒していた。
足許の惨状に気付いた香織は、しゃがんでストッキングを掴むと大慌てでウェストまで上げなおした。破られた訳では無かったことが分かり、少しホッとした。
続いて手を首筋に当てた。後ろ髪を団子状に纏めていたのに、ネットが取り払われて髪の毛が下に垂れ下がってポニーテール状態になっている。辺りを見回してもネットは落ちていない。
香織は困惑した。今更ネットが無くなったといっても、変わりなどは持ち込んでいない。余りに急な事で、別の髪型を作ろうなどという考えも浮かばなかった。
パンプスは片方奪われた。髪を纏めるネットも奪われた。その気になれば気付かれずにストッキングをずり下す技も持っている。履いてるストッキングを破くのもお手の物。
であるならば、どう警戒し、どう頑張ろうとも、そんな私をあざ笑うかのように私を乗客の前で辱めることも可能ということになる。接客中に私の面前で突然高橋さんのストッキングをビリビリに引き裂いたように。
香織は恐怖の余り黒ストッキングに包まれた脚をガクガクを震わせ、目に涙を溜めて真っ赤にし、呆然とした顔のまま自分のバッグを開けた。あの上品な美しさは既に見る影も無い。

確かにパンプスは入っていた。しかし、パンプスの中には黒いものが沢山詰まっている。
香織は中の物の1枚を手に取ると、また悲鳴を挙げそうになり、慌てて赤く彩られた口を手で押さえた。

「この生地。まさか!?」

香織は慌ててポーチに入れてあった予備ストッキングの袋を探した。万一の為に入れておいた新品である。
袋はあった。しかし中身が無い!変わりに袋の中に黒いネットが入っており、それに包まれる形で4つ折りの紙、そう犯人からの手紙が入っていた。しかも香織が髪を留めていたヘアピンに挟まれて。
香織は恐る恐る手紙を開いて読み始めた。

(前略)親愛なる2年目CA様
どぉ?予備として用意しておいた新品ストッキングが切り刻まれて使い物にならなくなった気分は。
結構あっけなかったよ。薄くて脆いし、脚に巻き付いてる訳じゃないから、ハサミでジョキジョキ切ったら、直ぐに輪切りになっちゃった。
香織ちゃんが大切にしまってあった新品、上品な顔がどう変わってくか想像しながら輪切りにして役立たずの布きれにしてくの快感だったなぁ。
キャリア5年目も2年目の姉ちゃんも、こんな薄っぺらの履いてCAの美脚パンスト魅せてても、僕に裂かれまくってオロオロ情けない顔してるんだもん。国際線CAの実力も大したこと無いね。
香織ちゃんの団子風の髪型、確かシニョンスタイルって言うんだったよね。凄く可愛いよ。食べたくなっちゃうくらい。
だからネットの上からかぶりついたんだけど、あっという間にネット外れて髪型が崩れちゃった。でもポニーテール姿も可愛いな。ネットの替えなんて持ち込んでないだろうし、その髪型のまま成田までってのもアリかもね。
でも、それじゃ23歳の香織ちゃんじゃ先輩に怒られちゃって可哀想だから、ネットは返してあげる。早いとこ髪型直しておきな。先輩たちの髪型グシャグシャに崩して、怒る資格なくしちゃうって方法もあるんだけど、今回は止めておく。
ここまでされれば、流石に叛意も持てないでしょ。その為の悪戯だからさ。でも万一僕に逆らうような事をする時は覚悟が必要だよ。
パンストなんかずり下すだけじゃ済まないからね。もう2度と履けないくらいに引き裂くから。髪型直しようのないくらいに乱すのだって簡単だよ。制服だって無事じゃ済まないだろうね。
まぁ、自分の実力が分かれば、どうするべきか分かるよね。優秀な2年目CA様。
そうそう、恵ちゃんトイレの中で泣いたまま出てこないから、声掛けてあげて。 あれじゃ、お客さんトイレに入れないから。
それじゃ、身だしなみ整え直して、先輩をトイレから引きずり出して、残り5時間は高橋恵の堕ちる姿をゆっくり観察してな。(草々)

犯人の指示に従わなければ何をされるか分かったものではない。申し訳ないが、高橋さんには生贄になってもらうしかない。自分が辱められないためにも。
香織は慌てて自分の身支度を整え直すと、恵が入っているトイレの扉越しに立って、ノックした。

「すみません。大丈夫ですか?何かお困りのことがあったら、お手伝いしますよ。」

「すみません。大丈夫です。ちょっと身支度に手間取って。。。もう少しで終わります。」

恵の声が返ってきた。あからさまな涙声のまま。犯人の言う通り、恵はトイレで泣いていたということだ。
香織には、既に自分の身を守るという気持ちだけで一杯であった。恵に協力して犯人を捕らえよう等という考えは既に残っていない。
遂に犯人の意志通り、5年目CA高橋恵が制服を着たまま機内で堕ちていくという環境が整ってしまったことになる。

香織の呼び掛けで漸く我に返った恵は、濡らされたアソコとパンティをウェットティッシュで丁寧に拭き取り、新しいストッキング、そう最後の1枚に脚を通した。
崩れたメイクも泣いていたのが分からなくなる程度まで直して、沈鬱な表情のままトイレから出てきた。この先は、香織の協力が得られず、自分一人で辱めに耐えねばならないということも知らずに。
悪夢のフライト。本番はこれからである。但し、それを知るのは犯人のみであるのだが。



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画像は相互リンク先「PORNOGRAPH」CAアンリ様からお借りしています
(原寸より縮小しています)






























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