<第7話:後輩狙われる>

恵がトイレの中で一人泣いていた時、香織は1人で手際よく軽食のサーブを済ませた。
彼女は誕生日前とて未だ23歳。大学を出て2年目。先輩達から見れば新卒と変わらないようなものだが、この時期で既に国際線乗務をしているという自負がある。

ワゴンを引いてギャレーに戻ろうと移動していた香織は、右脚の感触が突然変わったのに気づき、慌てて足許を見た。

パンプスがが脱げた?いや、それだけじゃない。右脚の親指が顔を出してるのが見えるし、足裏もカーペットに直接触れてる感覚がある。

パンプスを失った香織の右脚は、ヒールが無い分爪先立ちになっているが、その爪先を覆う筈のストッキングの先に穴が開き、親指の爪が飛び出している。
それに足の甲を覆う黒い生地が妙に弛んでいる。足裏の感覚からしても、裏側を切られて締まりが無くなった分こういう緩みになっているらしい。

香織は脱げた靴を探そうと周囲を見回したが、何処にも見当たらなかった。
どうも、太腿にも何かが直接当たっている感覚もある。ストッキングの中に何かを入れられた感じだ。
香織は靴を探すのを諦め、急いでギャレーに戻り、周囲に人が居ない事を確認して、先ず右脚を後ろに上げて振り返り、足裏を確認した。
指の付け根辺りから踵近くまで真っすぐ線が入って広がり、肌を曝け出している。これのせいで変な感覚とストッキングの緩みが起きている。
続いて、さり気なくしゃがんでスカートの裾で足許を隠すと、ストッキングの先を指でつまんで引っ張り、飛び出した親指を中に戻した。
そして、スカートの中に手を入れ、右太腿の異物感がある辺りを探った。やはりストッキングの中に何か紙のような物が入ってる。どうやって入れたのだろう?
香織は太腿のストッキングを撫でていった。すると一か所切れ目のある事に気づいた。こっちも切れている。ストッキングを切って、紙を差し込んだらしい。
香織は指を切れ目から中に差し入れて紙を抜き取り、恐る恐る開いた。A4の便箋である。香織は書かれている文章を読み始めた。

(前略)親愛なる2年目CA様
23歳で国際線乗務は凄く速いよね。優秀なんだ。
素敵な髪形、厚化粧だけど綺麗で上品な顔、制服の上からも分かるスタイルの良さ、美しいパンスト脚と足許を飾る綺麗なパンプス。若いとは言え十分に恰好良いCA決めてるね。
それだけ優秀で美しいお姉さんも、先輩同様に足許は隙だらけだね。空港では偉そうにヒールの音響かせてたパンプスも、僕に狙われたらあっさり脱がされちゃったね。
歩いて足上げた瞬間に掴んでずらしたらズボって外れたの。香織ちゃんが足許光らせて魅せてるプレーンのパンプスなんて簡単に抜けちゃうからね。守りようがないでしょ。
それにしても流石1年しか履いてないから、傷が少ないしすり減ってもいない。綺麗なもんだね。5年目CAのパンプスの貫禄とは大違いだ。
でも、パンプスを履き続け、パンストに包まれ続けた足は大分蒸れてるみたいだよ。自分でも分かってるかな?
いくら上品に振る舞って見かけを綺麗にしたCA様ご自慢のパンスト脚も靴の中の蒸れまでは防げないみたいだね。今度パンストの中にセンサー差し込んで内部を測ってみようかな。どんな数字出ると思う?
蒸れたおみ足があまりに可哀想だから、爪先とか足裏とかのストッキング破いて風通し良くしておいてあげたよ。これだけやっても全く気付かないんだもん、CAなんて僕の前では間抜けな制服集団なのかな。
そうそう、その厚化粧の顔引き攣らせながら必死に探したところで、香織ちゃんのパンプスは見つけられないと思うよ。こんな僕が預かっちゃったから。
貴方は何も知らない。見ていない。今回のフライトで僕が主役に選んだのはキャリア5年目に入って4つ下の後輩の面倒を見る凛とした素敵なCA恵ちゃんだから。
だから、香織ちゃんは僕の指示に従って大人しくしていれば、酷い目に合わずに先輩CAが制服着たまま情けない姿を晒し続けるのを遠目に見てるだけで成田まで行きつけるよ。
先輩も偉そうなこと言ったりしてても、僕に狙われた時には何も出来ずにCAの威厳を失ってく筈だから、ゆっくりと観察してみな。制服もパンストも役立たずになったまま成田着くまでに崩れ去るから。
今のところ、香織ちゃんの被害は、パンプスさえ返ってくれば、スカートかパンプスで何とか隠せる部分ばかりでしょ。僕がそうしてあげたんだから。
でも、僕の言うことに従えない場合は、この程度じゃ済まないからね。
今回、香織ちゃんとペアを組んでる、キャリア5年目に突入した先輩が今どうなってるか知ってる?トイレでメイク崩しながら号泣してるよ。
あれだけのキャリア重ねながら、パンスト2回も破かれて、髪の毛も脚も濡れるほど舐められて、さらにアソコに手を突っ込まれちゃったからね。
先輩でさえそんな状態なんだ。23歳の最若手CAがどう頑張っても、所詮は先輩の二の舞、いやキャリア無くて若い分だけ、さらに酷い状態になるだろうな。そんな上品な顔はすぐに崩れちゃうだろうな。
香織ちゃん、予備ストッキングは1枚だけだったよね。しかもパンプスなんて予備無しでしょ?僕が狙ったら両方とも1時間持たずにダメになって、スカートの下は素足なんてことになるかもよ。さぁ、どうするCA様?
23歳で国際線乗務するくらいの優秀なCAなんだから、自分が置かれた状況はよく理解出来るよね?選択権は君にあるよ。どうするか下の余白に記入して、胸ポケットに折りたたんで入れておいてください。
良い答えを期待してるよ。誕生日前の2年目23歳にして国際線乗務してる優秀な美人CA様。(草々)

スラっとした香織の黒い脚は、恐怖のあまりガクガクと震え出した。
何だこの手紙は?もしかして高橋さんはこの脅迫をずっと受けていたのか?私の名前も年齢も分かっている。いや、それだけじゃない。ストッキングの予備枚数まで。
今、高橋さんはトイレで号泣してるだと?確かに涙で目を真っ赤にしていた。そもそも私が監視している目の前で、何の気配も無しにあんな事出来るヤツなんだ。ダメだ。私にはどうすることも出来ない。

「高橋さん、ご免なさい。」

香織は眼をつぶって小さく呟くと、胸ポケットからペンを取り出して「貴方の指示に従います。だから見逃してください。」と記入し、四つ折りにして胸ポケットに入れた。
すると、突然ワゴンの上にメモ用紙が現れた。胸ポケットの手紙は既に無くなっている。これでは香織達に何も出来ないのは当たり前だ。

(前略)吉永香織様
流石、23歳で国際線乗務するほどの人物。自分の実力を理解出来てるね。それじゃ約束通り見逃してあげる。5年目CA高橋恵の情けない姿を観察して、偉そうに先輩面するなって後で言ってやりな。
さて、お探しのパンプスちゃんはバッグの中に入れておいたから見てごらん。そしたら、君の選択が正しかったことが分かるから。それじゃ、いってらっしゃい。(草々)

香織は、手紙を読み終えると、バッグのある自席に向かって歩いて行った。



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画像は相互リンク先「PORNOGRAPH」CAアンリ様からお借りしています
(原寸より縮小しています)






























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