<第3話:新しい手紙>

破れたストッキングを交換しようと空いているトイレに入った恵は、静かに鍵を閉めた。

今の制服は、こういう時も楽である。何も脱がずに下だけ履き替えられるのだから。まさか、そこまで考えてデザインした訳ではあるまいが(苦笑)
しかし、トイレに入った瞬間から何故か右ふくらはぎが冷たい。まるで舐められたような感覚だ。脛にゴワゴワした感覚もある。
恵が振り返って後ろ脚を見ると、さっきよりも大きくストッキングの切れ目が広がって緩み、脛には4つ折りの紙がストッキングの中に差し入れられている。
さっきは無かった。一体いつのまに!?恵は、ハッとしたように胸ポケットに戻した最初の手紙を探した。しかし何処にも無い!
気付かぬ間に手紙を胸ポケットから抜いて、新しいのを忍ばせた?しかもストッキングの切れ目から中に差し込むなどという形で。こんなことまでされて気付かないなんて。私が愚かなのか。
恵は、ここまでの芸当をする犯人に対する恐怖と、何をされても気付けない自分への嫌悪感で、キリっとした顔を恐怖に引きつらせながら、手紙を抜き取ろうと手を差し出した。
ふくらはぎに触れると、やはりしっとりと濡れていた。本当に舐められたのであろうか。そう言えば、手紙にもそんな事が書いてあった。
漸くの思いで指をふくらはぎまで回して紙を抜き取った。手紙は黒いクリップのような物で閉じられている。ヘアピン?まさか!?
恵は慌てて自分の襟足に手を当てた。右の襟足を止めていたヘアピンが無くなって、綺麗に整えた髪が若干湿りながら解れている。
ストッキング切って、ヘアピン抜いて、手紙をストッキングの中に差し込んで、でも私は気付けない。何故こんな事が。恵は恐怖で震えながら手紙を開いて読み始めた。

(前略)親愛なるCA様
僕の質問、1つも答えてくれませんでしたね。でも、Q4までは答えが分かっちゃいましたよ。
お姉さんの素敵なパンスト脚、触るのも、しゃぶるのも、破るのも全部タダ。ついでにパンストに隠された生脚しゃぶるのもタダ。
国際線に乗務する若くて綺麗なCAの美脚パンストと生脚、一般人には望むべくもない高嶺の花だと思ってたけど、以外と安いんだね。
今回のは挨拶代りね。おしぼり配ってる時の足許、隙だらけだったよ。僕の目の前で素敵なパンスト脚が破って~って言ってるように感じるくらい。
脚にピッタリ張り付いてるから、大切な肌を傷つけないよう上手に摘み上げて切るのは結構神経使ったよ。でも、お蔭で後輩に言われるまで気付かなかったみたいだけどね。
凄く良い気分だった。偉そうに魅せつけてるCAの美脚パンストを、笑顔で接客してる真っ最中に縦にバーって切れ目入れるんだもん。後輩と一緒に焦ってる情けない姿見てザマ~みろってね。
上品で恰好良い美人CAご自慢の黒パンスト脚と言ったところで、所詮は普通に売ってるヤツ履いてるんだもんね。あ~、偉そうなCAのパンストも所詮はこんなもんかって感じ。
厚塗りして綺麗に魅せた顔と、素敵な制服に綺麗な脚、でもそれを包み込むパンストは誰が見ても分かるくらいの伝線。もう少し足許守らないと、美人CAの看板に傷が付くよ。
そうそう、お姉さんの髪型、夜会巻って言うんだったよね。見事に巻き上げて、襟足も綺麗に整えて、凄く素敵だね。
でも、後ろから舌で舐め回したら速攻で解れて乱れたよ。ヘアピンも直ぐに抜けちゃってね。舐めただけでこんなんだもん、パンスト脚だけじゃなくて、CAご自慢の髪型も思ったよりずっと安いんだね。
結局CAって、恰好良く決めた髪型も、厚化粧した顔も、制服の下に見せるパンスト脚も、遠くから高そうに見せてるだけで、実際は安く楽しませてもらえる俗物ってコト?CAも大したことないな。
そういえば、さっきふくらはぎ舐めた時に気付いたんだけど、パンストに隠れてるから適当かと思ってた生脚、ツルツルで凄く手入れされてるのが分かったよ。
一層のこと安っぽいパンスト脚止めて、生脚で客に魅せたら?その方が評判上がるかもよ。
さて、Q5だけは未だ答えが分かってないから、もう一度質問するね。予備のストッキングは何着機内に持ち込んでるの?答えを書いて胸ポケットに折り畳んで入れておいてください。
答えるの嫌だったら、また白紙回答でも良いよ。お姉さんのパンスト脚なんて簡単に破けるの分かったから。
白紙回答のまま乗務して、また破かれるのもアリじゃない?履き替える度に直ぐ破いてあげる。こんな安っぽいパンスト脚。
最後に交換出来なくなった時に答えが出るよね。僕的にはそれでも構わないんだ。それだけ国際線CAが誇る美脚パンストを破って遊べるんだから。
そうそう、1つだけ約束してあげる。お姉さんの名誉を考えて、答えを書いてくれたら、最後の1枚だけは成田に着くまで破かずに残してあげる。
さぁどうする?CA様。もしかして成田までの7時間、履き替え続けるだけの大量な予備ストッキング持って来てる?(草々)

何だこの手紙は!?私の言動は全てコイツに観察されていて、好きなように弄ばれてるということか。何故こんなことを?
恵は目に光るものをため込んで、泣きそうな顔をしながら必死に自分を抑えている。こんなところで泣く訳にはいかない。仮にも厳しい訓練を経て丸4年も乗務を重ねてきたんだ。
でも、予備がそんな何着もある訳では無い。確かに乗務中に何かの拍子で破れてしまうことがある。それでも交換するほどになることは殆ど無い。あったとしても稀な話だ。
それに、故意に破ろうなんて動きがあろうものなら、直ちに気付いて拒否する事が出来るし、求めに応じない場合は法的に乗客を拘束することも可能だ。
本来なら問題となる話では無い。しかし、今回は明らかに勝手が違う。何せ誰がどうやって私に悪戯してるのか皆目見当もつかないし、気配を感じることすら叶わないのだ。
この状況で自在に破り続けるなんて事をされれば、予備なぞは直ぐに尽きてしまい、履くストッキングが無くなってしまう。手持ちのストッキングが尽きるまで履く度に破かれ続けるなんて、悪夢以外の何物でもない。
兎に角今は素直に答えを書いてやり過ごそう。そして香織にも協力してもらって、外から私の周りを監視してもらえば、私に悪戯しようとする輩の動きを察知してくれるかもしれない。

恵は手紙の余白に「(A)予備は2着です。1枚破れて履き替えたので、今履いてるのと予備1着で終わりです。お願いですから、こんな事は止めてください。」と書いて胸ポケットに入れた。
そして、舐められたふくらはぎをウェットティッシュで拭き、破れたストッキングを脱いでポーチに入れると、予備のストッキングを1着取り出して素早く履いた。
乱された襟足も、取り繕う程度にせよ整えなおし、ヘアピンで留めた。


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画像は相互リンク先「PORNOGRAPH」CAアンリ様からお借りしています
(原寸より縮小しています)






























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