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<第10話:スウェードのパンプス> 目の前の椅子に座る真樹の足元にしゃがんだ史郎は、彼女の足の甲から足裏に掛けて両手で恭しく包み込むように触れ、掌や指を使って軽く撫で始めた。 「綺麗な色をしたスウェードのパンプスですね。こういうの履くこともあるんだ。何時もは黒革のハイヒールだから、意外な感じですよ。」 「う、うん。黒は大事な会議の時とかだから。何もない日は色んなの履くよ。」 足元を史郎に撫でられながら答える真樹。本来ならオフィスで同僚にこんなことされることは無い。しかもダメ男と見下していた史郎になんて。そう思いながらも彼女は耐えるしか無かった。 何もない日は色んなのね。だから会議も何もない今日はネイビーカラーのスウェードパンプスか。ところが今日は突然往訪が入っちゃったと。しかも昨日のお詫びに佐藤さんのトコへ。 焦ったろうなぁ。少しラフな水色のスーツに青のスウェードパンプスじゃ、お詫びに行く恰好じゃないもんな。スーパーキャリアウーマンもリズムが狂うと、こんな面白いコトになっちゃうんだ。 だから、昨日までは蔑みの目で見下してた僕みたいな相手に、こんなことされてまで耐えなきゃいけなくなっちゃったんだ。オフィスの会議室で朝っぱらから、スーツ着たままの真樹ちゃんは、何処まで耐えられるかな? 心の中で呟きながら、史郎は彼女の右足を靴ごと自分の胸元まで持ち上げた。 そして、足の甲を撫でる指先を少しずつ横に這わせていき、靴の中に潜り込ませながらストッキングに包まれた足裏へと回していく。 硬いナイロンの繊維を感じながら、足裏を前から後ろへと流れていく史郎の指先が彼女の踵へと到達した時、ネイビーのパンプスが踵から外れ、爪先だけが引っ掛かって宙ぶらりんの状態になった。 「あら。踵が外れちゃいましたね。黒のハイヒールも青のハイヒールも脱げやすいのは同じなんですね。OLさんは大変だ。何時もこんなの履いて、ちょっとした拍子で脱げ落ちちゃう。 三ツ瀬さんみたいに、カッコよくハイヒール履きこなす人でも同じみたいですね。こんな簡単に脱げちゃって。キャリアウーマンも足元魅せるだけで一苦労なんだ(笑)」 右手で真樹の爪先をパンプスごと握り、左手でパンプスの踵を握る史郎が、真樹の右足に引っ掛かっている青い靴をクネクネ悪戯しながら楽しそうに語る。 真樹は悲しそうな目をして史郎を見つめたまま黙っている。昨日だけで2回脱げ、その度に恥をかき、そして今も目の前でパンプスを握って悪戯されている。 スーツスタイルで必須アイテムの一つになっているハイヒールが、自分の行動を阻害し、史郎ごときにこうやって弄ばれているという現実に彼女は悲しさを覚えていた。 コロン。青いパンプスが真樹の爪先から外れ、カーペットの上に転がった。すかさず、史郎の足が圧し掛かり、側面から靴を歪ませている。 自らの足元を彩るパンプスを土足で踏みつけられ、ハっとした真樹であったが、抗議する間もなく、靴を失ったまま史郎の両手に握られた右足が彼のの口元へと引き込まれていく。 また指をしゃぶられる。そう思ってゾっとした真樹であったが、既に気おされてしまっている彼女は抗うことすら出来ず、ベージュのストッキングに包まれた親指は迷うことなく史郎の口の中へと吸い込まれていった。 「ん、んん、、、」 史郎の口が親指を食むや否や、固く引き結ぶ真樹の口から声が漏れた。昨日とは違う、朝イチのフレッシュな状態なのに、史郎の指技に屈した真樹の身体が、昨日の続きとばかりに一気に反応を始めたのだ。 まだ親指を銜えられただけなのにと、気持ちの上では焦る真樹であったが、その一方で身体が火照り始め、足指をしゃぶられることに対する心の中の嫌悪感とは裏腹な快感を覚えてしまっている自分にも気付いていた。 「三ツ瀬さんの爪先パンスト、夏だからなのか、この時間でもう蒸れた匂いさせてますよ。家を出てから未だそんなに経ってないでしょうに。パンプスとパンストのセットって、こんな簡単に足を蒸らすんですね。 美貌を兼ね備えてカッコ良く歩くキャリアウーマンでも、こういうトコまではどうにもならないんですね。でも好きですよ僕、こういうの。三ツ瀬さんも他のOLちゃんと同じフツーの女なんだって思えて。」 下から上目遣いに真樹を見て、悪戯っぽく笑いながら話し掛ける史郎が再び足指をしゃぶり始める。 昨日よりも遠慮が無い。足の根元を前歯で軽く挟み、口の中でモグモグと指を揉みながら唾液で濡らしていく。ストッキングがグッショリするほど念入りに親指から小指まで食んでいく。 「んんん、、、んん、んんん、、、」 必死に声をかみ殺す真樹であるが、収まりきらない。史郎ごときに足をしゃぶられる嫌悪感は半端ないのに、一方で恍惚感がある。昨日と同じ、嫌悪感という理性は抑え込まれ、指をベチャベチャにされながらも感じてしまっているのだ。 ストッキングも中の指もグッショリと濡れたころ、史郎はしゃぶるのを止めた。そして彼女の右足を左手で掴んだまま、カーペットに転がっている青いパンプスを右手で拾い上げた。 「えっ!?ちょっ!?」 真樹が驚きの声を上げた。史郎が、拾い上げたパンプスを真樹の足に戻し、そして靴の上から爪先を揉んだのだ。 ストッキングごと史郎の唾液でビショビショにされた足指をパンプスが覆ったのである。その気持ち悪さといったらなかった。大雨の日にパンプスのまま外を歩いてグッショリ濡れる。それよりも悪い。何せ濡れた原因が唾液なのだから。 「三ツ瀬さんほどの人が何を驚いてるんですか。カッコ良くキメてるスウェードパンプスを元に戻しただけなのに。 大丈夫。ジットリして気持ち悪いでしょうけど、少なくとも昨日の朝、山田さんの前で恥かいたようなおかしなことは起きませんよ。」 史郎が真樹の顔を見てニコっと笑った。今の彼女は史郎に対して何かを言い返すことが出来ない。ただ右足の気持ち悪さに耐えるのみであった。 「さ~て、足元はOKだから次はこっちですね。座ったままじゃ処置し難いんで、足を肩幅に開いて立ってもらえます?」 真樹のふくらはぎをズボンの上から軽く掴んだ史郎が、その場に立つよう彼女に指示する。真樹も言われた通り黙って立ち上がり、両足を肩幅に開く。 目の前で真樹が直立の姿勢となるなり、史郎は彼女のパンツの裾を右も左もクルクルと折りながら捲り上げていく。 踝・足首・脛にふくらはぎ、そして膝と、水色の筒の中から彼女の細い脚が現れ、それを包み込むベージュのナイロン生地が照明を反射してキラキラと輝いている。 パンツスーツが定番の真樹である。会議室とは言えオフィスの中、そこで同僚にこうやって脚を見せたのは、これが初めてであった。 前頁/次頁 |