<第26話:受難>


幸雄を先導する祐佳は、4501と書かれた扉の前で立ち止まった。扉にはアルファベットで「ロイヤルスイート」と書かれている。

「皆川様。本日の会場はこちらになります。」

祐佳が扉を開けるのを見ながら、パノラミックホテルのロイヤルスイートとは何と贅沢な遊戯会場かと内心舌を巻いた。自分も金持ちとは言え、この部屋を利用したことはない。
扉が開け放たれた瞬間、幸雄は目の眩む思いをした。真っ白に輝く大理石張りの床が強烈なダウンライトの光を反射し、暗い廊下から入ると光の世界に飛び込んだような錯覚を覚える。
中に入って目が明るさに慣れてくると、目の前に大きな姿見が設えられていることに気付いた。

「凄いですね。ここ玄関ホールですか。」

「えぇ。左手が遊戯会場ですが、準備が整うまでは右手のサブベッドルームでお待ちいただきます。」

祐佳が手を差し伸べて説明するのを聞き流しながら、幸雄は目の前に設えられている姿見の前に進んだ。

「立派な鏡ですね。映りも綺麗だ。」

「そうでしょう。何でもダンライトの角度まで工夫されていて、影が出難い作りになってるらしいですよ。流石はパノラミックホテルのロイヤルスイートですよね。」

ヒールの音をゆっくり高らかに鳴り響かせながら祐佳が脇に歩み寄ってきた。
ラメの効いた目元、グロスの効いた口元がキラキラと輝いている。オフホワイトのジャケットの中に着る真っ白いスクエアネックのカットソー。そのネックからVゾーンに覗かせているデコルテも綺麗だ。
白いタイトスカートの裾から伸びる二本の細い脚も、ベージュのストッキングがダウンライトに照らされて輝きを帯びている。もちろん足元を締めるオフホワイトのエナメルパンプスも輝いている。
そんな美しい出で立ちの祐佳の姿を、なるほど目の前の鏡は影もなく綺麗に映し出している。

やはり、さっき見たフロントの金沢美香より俺はこっちが好みだ。そう思いつつ脇に立つ祐佳を眺める幸雄の右手がスっと動いた。

「えっ!?ちょ、ちょっと、な、何を!?」

祐佳が悲鳴のような声を上げた。幸雄の右脇に立っていた祐佳の長く美しい黒髪を、音もなく動いた幸雄の右手が捉え、鷲掴みにしたのである。
気品ある姿で立ちながらも、幸雄に対して一切の警戒心を抱いていなかった祐佳は、彼の右手が自分の髪の毛を目がけて一直線に伸びてきても、何ら反応することが出来ず、あっさりと掴み取られてしまった。

「い、痛いっ!ちょ、ちょっと引っ張らないで!」

またしても祐佳が悲鳴を上げた。慌てふためく彼女を横目に見ながら、髪の毛を掴む幸雄の右手が彼女を自分の方へと引っ張り込んだのである。
祐佳と雖も髪の毛を鷲掴みにされてはたまらない。両手を頭に上げて引っ張られる髪の毛を抑えつつも、白スーツに包まれる彼女の身体はまんまと幸雄の正面に引き寄せられてしまった。

姿見と正対する位置に祐佳を引き込み、背後から密着する幸雄は、左手をジャケットのVゾーンに差し入れた。
間髪入れず、髪の毛を掴んでいた右手はスカートの裾まで下り、祐佳の太腿から膝にかけてパンスト越しに撫で始める。

「ちょ、ちょっと!な、何するんですかっ!」

大声で叫びつつ幸雄の手を押さえ込もうと努める祐佳であったが、流石の彼女も男相手に力では勝てない。
必死に抗う祐佳をあざ笑うかのように、幸雄の左手はカットソーのネックから中に入り込んでブラカップごと乳房を鷲掴みにし、右手はスカートの裾を捲り上げながらナイロンの薄い皮膜に覆われる太腿を撫で上がっていく。

「やっぱ及川さん最高だね。白スーツに包まれた身体、1回味わってみたかったんだよ。それにこのパンスト脚、今まで提供されてきたどの女よりこっちの方が遥かに美味しそうだし。」

「ちょ、ちょっと!何言ってるんですか!わ、私は商品じゃありません!きょ、今日の商品はホテルレディ。ちゃ、ちゃんと連絡したでしょ!」

勝手に自分の身体を撫でまわす幸雄に対して身体をくねらせながら必死に抗う祐佳。予想だにしなかった展開に狼狽する彼女の目は涙で赤く染まり、さっきまでの優雅な所作は完全に吹き飛んでしまった。
しかし、これこそ幸雄が望んだ展開。白スーツにエナメルパンプスでキメた祐佳を崩し、今まで商品として食べてきた女と同じようにヒーヒー言わせる。そのチャンスをずっと窺っていたのだから。

「知ってるよ。時遊人倶楽部のナビゲーターさん。カッコよくスーツ着てパンスト美脚ひけらかして、足元は白いエナメルのパンプス。いつ見ても美味しそうな女なんだもん、いつか食べてやりたいとずっと思ってたんだ。
 何年も偉そうな態度で他の女商品にして貶めてきたんだ。時にはこうして自分がまな板の上に乗せられるのも良いんじゃない?そのためにこんな格好してるんだろ。えっ?及川祐佳さんよ。」

「ち、違います。わ、私は案内人、、、しょ、商品じゃ、、ん、あ、あぁぁ、、、」

祐佳がいかに抗おうとも華奢な女の身体では全く歯が立たない。目に溢れんばかりの涙を湛える祐佳を鏡越しに見ながら、幸雄が楽しそうに彼女の身体を撫でまわす。
左手はブラカップを強引に捲り上げて乳首を弄り始め、右手は必死に股を閉じようとする祐佳の太腿に入り込んで股間を撫でる。そうやって弄ばれ、喘ぎ声すら出し始めた彼女を、ホテル自慢の姿見が煌々と映し出している。
祐佳にとっては信じ難い展開。しかし、受難はこの程度では済まなかった。



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画像は相互リンク先「PORNOGRAPH」PORTER RIMU様からお借りしています



















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