<第17話:陥落>


太郎にも祐佳にも目を向けることなく、両脚を内側に窄めながら、顔を俯けてバスルームの出口に向かってフラフラと歩く美香。
ピンと背筋を立てていた当初の立ち姿が一転、前屈みに背中を丸めて苦しそうに歩いている。そんな様子が黒いジャケットの上から見ても分かる。
皺の少なかったタイトスカートであったが、刺激に耐えるべく両手で裾を強く握っているので、皺になるばかりかスカート自体がずり上がり、パンストに包まれた太腿をチラチラと見せている。
大理石の床で軽やかにヒールの音を刻んでいたパンプスも、足を上げることすら出来なくなった今は、黒い爪先を内側に向けてガッ・ガッと踵を擦り付けながら歩く情けない音に変わり果てている。

髪型・衣服・靴。全てはフロントで会ったときから変わらぬパノラミックホテルの制服姿そのもの。しかし、二人の前を歩く美香は哀れなほどに苦しみ、喘ぎ声を抑えることすら出来ずにフラフラと進んでいく。
そんな姿で漸くバスルームの出口に至ろうかという時、美香は踏み下ろした左足の爪先に冷たく硬いものを感じた。
ギョっとして下を見ると、足元を覆っている筈の黒いパンプスが消え、ベージュのストッキングに包まれた足で大理石の床を直に踏んでいた。冷たさと硬さは、靴を失って薄い布だけで直に触れた床の感触であった。
そんな足元を見て呆気にとられた刹那、背後で物の転げ落ちる音がバスルームに鳴り響いた。
驚いて後ろを振り返った美香であったが、視界に入るのは真っ白な床と二人の宿泊客。脱げ落ちた筈の靴は何処にも見当たらない。

「ホールインワン!凄いな。流石はパノラミックホテルのフロントさんだ。」

「えっ!?」

太郎が楽しそうに美香の顔を見ながらバスルームに響き渡る声で叫んだ。が、美香には何を言われているのか分からず、その場きょとんとしていた。

「フラフラ歩いてると思ったら、そこから一直線に靴を脱ぎ飛ばして放り込むんだもん。こんなこと普通の人間には出来ない。まるで曲芸だね。」

言いながらバスタブに手を伸ばした太郎が中から取り出したもの、それは紛れもない美香の左足を包んでいたパンプスであった。

「そ、そんな。。。も、申し訳、、ありません!」

驚きのあまり目を大きく見開き、赤く彩られた唇を半開きにして太郎の手に握られるパンプスを見つめた美香は、大慌てで頭を下げ、お詫びの言葉を口にした。

「別に良いよ。面白いもの見ちゃったから。日本橋最高級ホテルのフロントさんが、ハイヒール片方ふっ飛ばして爪先立ちになってるの。しかもスカート握りしめて膝をガクガクさせてさ。
 さっきまでカッコよく制服着こなして気品あるお姉さんだと思ってたんだけど、途中からどんどんメッキが剥がれてきちゃったね。バスタブに靴投げ込んだのは目を瞑ってあげるから、早く取りに来なよ。」

手に持つパンプスを握りつぶし、折り曲げ、捩じり、好き放題に形を歪めながら蔑むような目で美香に話し掛ける太郎。
目の前で自分の靴がグニャグニャと歪まされているのを見ながらも、自らの粗相という形になってしまっている美香には、何ら言い返すことが出来ない。

「も、申し訳ありません。今そちらへ、、、ん、ん、んんん。。。」

どうにか応じながら足を前に進める美香であったが、股間を襲う振動は間断なく続き、美香の言動を阻害し続けた。
スカートを握りしめつつ両脚を内側に窄めて踵を引きずり、背中を丸めながら太郎の方へゆっくりと進んで行く。こらえきれず時々喘ぎ声を漏らしながら。

漸くの思いで太郎の前まで歩んでいった美香は、喘ぎ声を必死に堪えながら上目遣いに太郎を見た。目には既に涙が溜まり、今にも溢れ出しそうである。
太郎はそんな美香を見下ろしながら、パンプスの靴裏を上に向けて爪先を右手で握り、7cmの細いヒールを美香の顎に当てて上に押し上げた。
細いヒールが美香の顎に突き刺さり、連れて美香の顔が少しずつ上げられていく。

「よく磨かれたパンプスだこと。室内オンリーの仕事だから綺麗なもんだね。どうだい?ご自慢のハイヒールでこうやって顎を持ち上げられる気分は。」

下からヒールを食い込まされながら顎を上げられる美香は、問いに答えることが出来ず、口を堅く引き結んだまま涙目で太郎を見つめている。

「喘ぎ声を噛み殺すのがやっとで返事も出来ないってか?パノラミックホテルのフロントちゃんも大したことないな。やっぱフツーの女ってヤツか。」

そこまで言うと、太郎は漸く美香の足元にパンプスを置いた。美香もホッっとしたような顔を一瞬しつつ、パンプスに左足を通した。

「ひぃっ!あ、あぁっ、、、あぁぁ~~~ぁっ!」

漸く左右のバランスが揃った瞬間、必死に声を抑えていた美香が大きく喘ぎ、太郎の両腕にしがみ付くようにして俯いた。
ベージュのストッキングに包まれた膝をガクガク揺らし、左右のヒールをグラグラさせながら大理石の床を擦っている。一人で立つことすら出来ない。そんな状況に陥っている。

「だ、ダメっ!お、お願い。。。と、とべてぇ~っ!あ、あぁぁぁーーーっ!」

両脚を窄めつつ太郎にしがみつく美香は、涙の溜まった目を大きく見開きながら太郎を見つめ、赤く彩られた口を大きく開いて喘ぎ声と哀願の言葉を放ち続けている。
美香のアソコを襲う振動が激しさを増し、まるで男根に膣内の要所をピンポイントで掻き回されている。そんなとてつもない刺激が美香を襲っていた。
こうなってしまえば教育を受けた高級ホテルのフロントだろうが制服を着て仕事をしていようが関係ない。ベッドの上でアソコを徹底的に責められて喘ぐ牝と変わらない。
いや、ビッチリとタイトな制服に身を包み込んでる今は、中に入れ込まれたであろう物を抜き取ろうにも、片っ端から脱ぎでもしない限り手を出せないのだから、裸でベッドの上にいる時よりもかえってタチが悪い。

「やべぇ~~てぇぇ~~っ!あぁぁ~~~っ!」

手も足も出せずに喘いでいた美香のタイトスカートの裾、ベージュのストッキングに包まれた股の間から液体がジョボジョボと滴り落ちて床を濡らした。
と同時に、立っていることすら出来なくなった美香は、太郎の両腕を放し、水溜りの出来た真っ白い大理石の床の上にガックリと膝をついた。
黒いジャケットに覆われた背中が揺れ、すすり泣く美香の声がバスルームに響き渡った。



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画像は相互リンク先「PORNOGRAPH」PORTER RIMU様からお借りしています



















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