<第6話:鏡の前の。。。>


ロイヤルスイートの玄関ホール。真っ白い大理石が床に敷き詰められ、眩しいほどにダウンライトを反射するレギュラールーム1室分の広いスペース。
扉を開けた美香は、背後からピッタリと身体を密着させながら抱き着く太郎によって、向かいの壁に設えられている大型の姿見まで歩かされていった。

ダークグレーのアイシャドウが施された目は涙を湛えているもののメイクは未だ維持出来ている。黒いジャケットと中に着る白いカットソー、そしてVゾーンに魅せるデコルテもフロントで会った時と変わっていない。
膝上まで伸びる黒のタイトスカートも、裾から伸びるベージュのストッキングに包まれた美脚も変わらず。但し、足元に履くパンプスだけは左しかなく、右足はストッキングに透かされて足指までを見せている。
そう、足元の靴を除けばパノラミックホテルのフロントとしての制服姿を維持したまま、後ろから太郎に抱き着かれている。そんな立ち姿でダウンライトの強い光に照らされる美香の全身を鏡は映し出していた。

「照明の角度も抜群。流石はパノラミックホテルのスイート。この鏡は全身を綺麗に映し出すね。制服着た美しい金沢さんの立ち姿が映えてるよ。」

ここで働く美香も、スイートルームに設えられた姿見で自分の全身を正面から映し出して見たことはない。
太郎の言う通り、ダウンライトの光が絶妙の角度で美香の姿を照らし、窓もない玄関ホールでありながら、目の前の姿見が全身を見事に映し出している。

しかし、今ここで綺麗に映し出されている自らの全身を目の当たりにしているということは、太郎によって何か良からぬことをされるであろう自分の姿を、否が応でも鏡越しに見せつけられることを意味している。

大理石の床に物の転がる音がした。太郎が左手に持つ美香のパンプスを床に放り投げたのだ。美香が音の方向に視線を落としたその瞬間、

「水色か。」

耳元で囁く太郎の声にハっとした美香は、慌ててカットソーのネックを手で押さえた。太郎の視線が美香の肩越しに下を向いて中を覗いているのが鏡越しに見えたからだ。

「そんな慌てて隠しちゃって。こんなデコルト全面を魅せるようなスクエアネックのインナー着てるんだから、中を覗かれるのも承知の上じゃないの?」

言いながら太郎の左手が後ろから伸びてくる。今度はインナーの上からではない。ネックから中に向かって手が入り込んできた。

「いやっ!ちょ、ちょっと、ま、待って!」

美香が慌てて太郎の左手を押さえようとするが、その隙に太郎の右手が美香の右脚をストッキングの上から撫で始めた。美香は慌てて左右の手を太郎の動きを制すべく上下に動かした。
美香の身体を上下から弄る太郎の手の動き、それをワンテンポ遅れて追いかける美香の手の動き、更に立ったままインナーのネックから胸に向かって手を入れ込まれ、ストッキングの上から脚を撫でられる美香の姿、その全てが姿見に映し出されていた。

「待ってじゃないよ。強制裸体ショーの代わりに俺の相手するんじゃなかったのかよ。」

「い、いや。だ、だからって、こんな明るいところで。。。」

美香は必死である。自分の身体を使って相手させられることは覚悟したとは言え、ダウンライトに煌々と照らされた明るい玄関ホールで、姿見に全てを映し出されながらやられるとは想像もしなかったし、そんな自分の姿は見たくもなかった。

「だから良いんじゃん。パノラミックホテルの制服に身を包んで高級感たっぷりのフロントを演じる金沢さんを、スイートルームの姿見で映し出しながら、カッコよくキマった制服姿を少しずつ崩していくんだよ。
 一流ホテルが誇る美しいお姉さんを、自慢の制服・髪型・メイクそれに洗練された上品な所作、そんなのが維持出来なくなるくらいに堕ちていく姿を楽しむ。それが俺の趣味なんだから。」

「そ、そんな。。。」

美香は絶句した。まさか明るいところで制服姿のまま相手させようと考えていたとは、いや制服姿の自分を貶めるのを楽しもうと考えていたとは思いもよらなかったからだ。

とは言え、よくよく考えれば合点がいく。最初に抱き着かれたのはバスルームにあるシンクの大型鏡の前。
あの時は気付かなかったが、美香がバスルームを案内するに至るまでの過程を改めて追っていくと、あの場にまんまと誘導されて、そして上と正面からライトが煌々と自分を照らすバスルームのシンクを選んで襲われたと思わざるを得ない節がある。

要はフロントで応対した美香が部屋に案内すると言って立ち上がった時から始まり、歩き姿、髪型、メイク、制服、足元、それら全てを舌なめずりをしながら眺め、最後にバスルームの鏡の前という美香を明るく照らせる場所に立たせた。
こんな高級ホテルのスイートルームに宿泊する夫婦に対して警戒心など抱く訳が無い美香は、太郎の描いた筋書き通りに背中を見せ、そして襲われた。
あの時も、抱きつかれ、胸を揉まれ、脚を撫でられ、狼狽して情けない涙声を上げている美香、太郎が求める高級ホテルの制服に身を包んだ女の無様な姿がシンクの鏡に映し出されていた。

そうやって美香がショックを受けている間に、インナーのネックから入り込んだ太郎の左手が美香のブラカップを直接に掴んだ。

「やっぱ直接の方が掴み易いね。一流ホテルのお姉さんが胸の山を形作る水色のワイヤーブラも簡単に動かせちゃうもん。この程度の締め付けじゃオッパイ守れないぜ。ねぇ、フロントのか・な・ざ・わ・さん。」

バックベルトのホックを留めているとは言え、カップを無理矢理引っ張れば動くし、指も挟み込める。太郎の手はそんな要領で易々とブラカップの中に入り込み、美香の胸の弾力を直接に楽しみ始めた。そして乳首も指先で弄び始めた。

「そ、そんな。ご、強引な。。。」

美香は左手で太郎の腕を掴みながらも引き抜くようなことはしない。力では敵わないし、そもそも満足させなければ強制裸体ショー。そんな脅しを受けていては強い抵抗も出来ない。
そうこうしているうちに、今度は美香の脚を撫でる太郎の右手が、膝裏を指で擦ったかと思うと、ストッキングの生地を手繰り寄せて皺を作り始めた。



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画像は相互リンク先「PORNOGRAPH」PORTER RIMU様からお借りしています



















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