<第18話:普通の女>

ゲームショーの会場、コードブルーのブース内で青と黒のコスに身を包んだ水沢彩が、太郎に促され、目に涙を湛えたまま立ち上がった。

「ほら。企業の広告塔として現役RQご自慢のポーズ取ってよ。」

「え!?だ、だって時間止まってるんだもん。誰も見ないじゃん。」

「俺が見るんだよ。現役RQが俺一人の為にポーズするの。その泣き顔とブーツ片足脱げた姿でな。」

ウェーブのかかったロングヘアーを鷲掴みにしたまま、からかうように要求する太郎。拒否など出来ない彩は、渋々その場でポーズを取った。
パンストだけの右脚を少し前に出してブーツに包まれた左脚と軽くクロスし、片手を腰に当てる。サーキットで見せた時と同じポーズ。
しかし、ヒールという支えがない爪先立ちの右脚が、ベージュの生地を照明に反射させながらプルプルと震えているのが分かる。

「おぉ!良いねぇ。流石は現役RQ水沢彩。片足ブーツ無しでもカッコいいや。」

笑いながら語り掛ける太郎。明らかにからかわれていると感じてる彩は顔を赤らめて無言のままだ。

「それじゃ、俺がOKするまでそのポージング続けててね。崩しちゃだめだよ。」

「えっ!?」

驚いた彩が思わず声を上げた。爪先立ちの右脚が最初から震えているのである。OKされるまでポージングのままなんていうのは拷問みたいなものだ。

「え?じゃないよ。プロのイベコンなんだから当たり前だろ。現役RQなんだし。」

「そ、そんな。何で私だけ?他にRQなんていっぱいいるじゃない。」

納得いかない彩が涙声で抗議する。

「俺は水沢彩が気に入ったの。それにこのコスもね。お気に入りのオンナを弄って泣かせるのってサイコーだからさ。ま、諦めな。」

「そ、そんな理由で。。。」

彩は何も言えなくなってしまった。そんな様子を見て取った太郎は、握りしめていた彩の髪の毛を放し、手を彩の両肩に下ろした。
そして、両肩にかかる透明の紐を指で摘まみあげると、紐に沿って胸を包む衣装まで進み、そして肩に戻り、そのまま肩甲骨の下まで進んだ。

「この透明な紐。何か分からなくて朝先輩に聞いたんだ。ブラジャーに付いてるストラップなんだってね。俺たち観衆は、この紐は見えてないことにするのが礼儀だって言われたよ。
 見えてないことにする透明な紐ねぇ。透明でも見えるからなぁ。こうやって摘まめるし。」

肩甲骨まで進んでいた指先で紐を擦りながら話をする太郎は、指先に力を入れて上に引っ張った。
透明の紐が引き上げられるにつれ、胸から背中を取り巻いている黒と青の衣装の帯の背中側で水色のバンドが飛び出し、肩甲骨に引っ掛かった。

「わっ!見えない筈の紐引っ張ったら水色が出てきた。これ、ブラジャーのバックベルトでしょ。イベコンの派手な衣装の内側にはこんなん隠れてたんだ。」

嬉しそうに話し掛ける太郎とは対照的に、目に涙を湛えたまま口を固く結んで黙っている彩。
太郎は、彩が黙ってポーズしているのを良いことに、飛び出した水色のベルトを背中から脇へと順番に衣装から引き出しながら胸に向かって進んでいった。

「こんなん中に隠して胸守って大変だね。でも、こっちから覗くと水色のカップも、その中のオッパイも丸見えだよ。」

肩越しに胸を覗き込みながらブラジャーのベルトを衣装から引き出す太郎の手が、遂に胸を覆う彩の衣装の中に入り込んだ。

「うっ!」

太郎の手がブラのカップに入り込み、指先で乳首を摘まんで引っ張った瞬間、流石に彩が声を上げ、胸を押さえようと反射的に手を動かした。

「あ、ポーズ止めた。」

腕が上がりきらぬ内に太郎が呟いた一言。彩にはこれで充分であった。こんなところで裸体にされたくない。悔しいながらも何もできない彩は、大人しく手を腰に戻してポーズを取り直した。
虚しく一人ポージングさせられている彩の背中越しに手を伸ばしてブラカップの中に指を差し入れている太郎は、摘み、引っ張り、弾き、好き放題に彩の乳首を弄っていた。

「ん、ん、んん。。。」

やがて、口を固く閉ざしている彩の喉から溜息とも取れる声が漏れ始めた。

「あ、彩さん。声が漏れ始めたね。良いよ遠慮しないで。現役RQの喘ぎ声、聞きたいし。」

「何よ!RQ、RQって人のことバカにして。私だって普通の」

「オンナだろ。」

「えっ!?」

太郎の仕打ちに耐えかねた彩がキレたように抗議を始めたが、皆まで言わぬ内に太郎に返され、言葉を継げなくなってしまった。

「知ってるよ。RQだイベコンだって派手な衣装着て身体のあちこち見せてるけど、中身はフツーのオンナだって言いたいんだろ。」

「う、うぅぅ。。。」

余りにストレートに言われた彩は、言葉が出なくなってしまった。

「だから良いんじゃん。頑張ってRQ演じてる可愛いコを弄って、そのまんまのカッコで泣かせてヒーヒー言わせるの。俺みたいに時間止められる人間だけが楽しめる特権ってやつ。」

「そ、そんな。。。ひ、酷い。。。」

RQとして、イベコンとして露出度の高い衣装で人前に立つ水沢彩。それをそのまま弄って泣かせるのが快感。そこまで言われてしまっては、彩には何も言い返せない。悔しさに顔を歪ませながら、ひたすら胸を弄られるだけであった。



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