<第7話:握られた手綱>

転んで両手両足を地面につき、四つん這いになっている彩から胸を包む黄色い衣装を剥ぎ取って上半身裸にした太郎は、膝をついて靴底を純也に向けている黒いニーハイブーツを跨ぐように立った。

人気RQ水沢彩が足元をカッコ良く魅せてる黒革のニーハイブーツ。半年前の白パンプスよりも高さがあるけど、コイツ片足だけ脱がしたら、どんな歩き方するかな?

そんな思いも手伝って興味津々の太郎は、右脚を取り巻くブーツの革をガッチリと掴むなり、反対側の手でファスナーを下ろし始めた。
ジーっという低い音を立てながらファスナーは徐々に開いていき、膝下からふくらはぎ、そして足首と中に隠されているものを見せていった。
ファスナーを開き終えた太郎は、両手で黒革を掴んで広げながら、ふくらはぎから順番に下へ向かって彩の脚からブーツを外していき、足首まで至ったところで靴底とヒールを掴み、揺すりながら完全に抜き取った。
黒くて長い物体が太郎の手に握られ、だらしなく垂れ下がった時、彩の右脚はブーツという覆いを失ったベージュのパンスト脚を爪先まで、全て陽光に反射させつつ、地面を直に踏んでいた。

太郎は右手に黒いブーツを握り、左手に胸を覆っていた黄色い衣装と乳パットを握って元いた位置に向かって歩き始めた。
道中、乳パットを1つずつ、次いで黄色い衣装と順番に地面へ放り、ブーツは純也の後ろ、太郎が立つ足元に落とした。そして、二人の時間を動かす。

「いやーっ!み、見ないでぇ~!」

彩の大きな悲鳴がこだました。爪先までパンスト脚だけになった右脚、ニーハイブーツが残された左脚、夫々の膝を地面に屈したまま蹲り、両腕で強く抱きしめるようにクロスして胸を隠している。
何も覆うものが無くなった彩の上半身。背中が微かに揺れ、すすり泣く声が聞こえ始める。人気RQ水沢彩が遂に泣き出した。

暫くすると、彩は顔を上げ、涙で真っ赤になった目でキョロキョロと辺りを見回し始めた。剥ぎ取られた衣装を探しているらしい。
間もなく、純也に向かう地面に黄色い衣装と2枚の乳パットが散乱していることを発見した彩は、立ち上がってパンストとスカートを着け直し、それからフラフラと歩み始めた。

といっても、厚底のニーハイブーツは左脚しか残されていない。靴底だけで10cm。ヒールを加えると左右で30cmは高さが違うことになる。
如何に普段履いていて慣れているとは言え、こんな状態で歩いたことなど無いのだから、当然足許は覚束ない。ヒョコ・ヒョコと一歩ずつ跳ねるように少しずつ進むのがやっとであった。一歩進む度に、あのバカ高いヒールがグラグラしている。

太郎は、最初にカッコよくポーズを決めていた姿とは比べようもない情けない姿を晒す彩を見て、益々興奮してきた。
加藤先輩は?と視線を送った太郎であったが、純也には刺激が強すぎたか、口を半開きにして呆然と彩の姿を見ている。

漸く純也の足元まで着いた彩がその場にしゃがみ、黄色い衣装を拾おうとしゃがんだ。もう二人の様子を伺う余裕すら無くなっている。

どこまでも貶めてやりたくなった太郎は、純也の時間だけ止め、そして泣きながら膝を付いて衣装を拾う彩に歩み寄ると、背中の上から馬乗りになり、バリっと決めているポニーテールを鷲掴みにして頭を引き上げた。

「い、痛い!ちょ、ちょっと。な、何!?」

驚いた彩が腕に衣装を抱きかかえたまま振り返った。

「さっきまで高校生の俺には物凄くカッコいいお姉さんに見えてたんだけど、ちょっと悪戯しただけで案外あっさり陥落して泣き出したね。人気RQの水沢彩さん。
 このポニーテールもこうやって掴み上げると馬の尻尾というより、RQを好き放題に操る為の手綱って感じだし。」

言いながら太郎が彩のポニーテールを手首にひと巻きして強く握り直し、頭を左右に振って遊んだ。

「ちょ、ちょっと。痛い!は、放してよ!人呼ぶわよ!」

突然の行為に驚きながらも高校生なぞに馬鹿にされるまいと必死に凄んで見せる彩。しかし髪の毛を引っ張られて頭を振り回され、涙で真っ赤になった目で睨んだのではまるで効き目がない。

「人呼ぶ?呼べるもんなら呼んでみろよ。どうせ誰も来てくれないから。髪の毛引っ張られて、目に涙溜めて真っ赤にして、偉そうに命令できる状態には見えないけどね。ねぇRQさん。」

「な、何なのよ!ば、馬鹿にしないで!」

「だって馬鹿じゃん。元々1枚しかない衣装剥がされたくらいで悲鳴上げて泣き出しちゃって。ご自慢のニーハイブーツも片足脱がされて、まともに歩けなくなっちゃって。人気RQとか言っても大したことないじゃん。
 アタフタ必死に自分の胸隠して、真っ赤な目で俺のこと睨む前に、よ~く耳を澄ませて周りを見てみたら?自分の置かれてる状況が分かるから。ね、RQのお姉さん。」

「え!?」

言われて初めて彩は周囲を見回した。目の前の純也が固まったまま動かない。他に人は、、、そういえばさっきから誰も通らない。
いや、そればかりじゃない。耳を澄ましてみても、太郎と彩の声や動き以外、何かが動く気配も物音も何もしない。レース中のサーキットでこんなことはあり得ない。
何が起きているか分からないが、自分は目の前の高校生によって、とんでもない状況に追い込まれているということだけは確かだ。

彩は、両腕で抱えた黄色い衣装を胸に強く押し当てたまま、ガタガタと震え始めた。



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