<第3話:特別な力>

山田太郎。17歳。1977年5月1日生まれ。千葉県立第二高等学校在籍。
まるで漫画の世界みたいな平凡な名前。しかし、そんな名前とは裏腹に彼には特別な能力が備わっている。
その能力は、物心ついた頃には既に持ち合わせていたのだが、発動が不安定で本人自身、それが自分の力なのか、何かの偶然なのか分からないでいた。

1年前の1993年10月20日。高校1年の秋、憧れの先輩、及川祐佳を予備校に送るべく二人きりで自転車に乗っていた時、彼は能力を発動して彼女に触れてみたいと何度も考えた。
しかし、自分の能力に自信の無い太郎は、結局何もできずに時を過ごし、何事も無く、2年先輩の及川祐佳は卒業していった。

3年の時、自分に憧れの念を抱いているらしいことくらいは察していた祐佳は、素直な性格の可愛い後輩君に優しく接していた。
その過程で起こったのが、1年前の話であり、憧れながらも害のない後輩君であったから、当たり前のように予備校に送ってもらったのだ。

それから1年経った1994年10月20日、何とも偶然、祐佳は太郎に再会した。
高校を卒業してから半年、何も変わらない素直な後輩君との再会を喜んだ祐佳は、太郎との久々の会話を楽しんだ。
そして、太郎よりも1駅前で下りる祐佳は、笑顔で太郎と別れて電車を降り、家に向かうべくホームの上を気分良く歩いていた。

しかし、3年間成績トップで周囲の視線を一身に浴びていた才色兼備の祐佳は、太郎の心の内までを見通せている訳ではなかった。
素直で害の無い2コ下の後輩君。外からはそう見える彼にも男としての狼的な野心を持っていた。そして、祐佳には想像できない力も備えていた。

機嫌良く立ち去っていく祐佳を見ながら、太郎は1年前には安定していなかった自分の能力を、遂に発動させる決心をした。
今度こそ、憧れの先輩というご馳走を、自分の力で美味しく食べてやろうという野心を持って。

瞑っていた目を開けた太郎は、周囲が完全に止まっているのを見て、自分の能力が解放された事を確信した。時間を止めたのである。
この1年で大きく変わったこと。それは1年前に何も出来なかったというショックから、彼は能力を自在に扱う訓練を重ね、今や何時でも発揮出来るようになっていたことだ。

太郎は座席から立ち上がると、祐佳を追って電車の出口に歩いていった。電車のドアを抜けてホームに立って振り返ると、歩き途中のまま固まった祐佳の後ろ姿が見える。

遂にこの時、念願の及川祐佳に触れる時が来た。心臓を高鳴らせながら太郎は彼女の背後に歩み寄った。
時間が止まっている。当然、太郎の行動に目を向ける者は一人も居ない。
そして、後ろ髪をアップにして纏め、ワンピースに黒ストッキングといういで立ちの祐佳も、左足に履いた黒いハイヒールを宙に浮かせたままピクリとも動かない。

背後から祐佳に密着した太郎は、綺麗に纏められた後ろ髪に鼻をピッタリと付けた。良い匂いがする。
そのまま両手を横から回し、ワンピースの上から胸を包み込むように掴んでみる。ワイヤー入りのブラジャーであろう。硬い感触が太郎の手に伝わってくる。
頭の脇から肩越しに顔を前に出して視線を下に落とすと、胸元が大きく開いたワンピースの中が見える。黒いインナー、そして同じく黒いブラジャー。これなら簡単に揉めそうだ。

視界を遮るカーディガンのボタンを外して中を見易く開いた太郎は、両手をワンピースの中に差し入れた。
ワイヤー入りブラでガッチリと包んであるとは言え、指をカップの中に差し込むくらいのことは出来る。何せ祐佳は動くことがないのだから。
窮屈なところに無理やり押し入れた指には、ブラカップの内側にあるパットの柔らかい生地の感触、そして乳房の弾力の両方が伝わってくる。
あの及川祐佳が綺麗に包み込んで隠している場所とて、動けないのだから、こうやって感触を楽しむことが出来る。
恐らく高校時代、男子の誰もが憧れながら楽しんだことのないであろう、この素敵な弾力を。
そう考えるだけで、太郎の興奮は更に高まってきた。

暫く胸の感触を楽しんだ太郎は、両手で祐佳の身体の表面を這わせるように、脇からウェスト、そして尻、太腿へとワンピースの上から順番に撫でていった。
ワンピースの裾の下、膝頭まで到達した太郎の両手は、今度は太腿の内側を辿るようにスカートの中へと滑り込んでいく。
太郎の動きに連れてスカートの裾が捲れ上がっていく中、祐佳の太腿を包み込む黒くて薄い布が、太郎の手にザラザラとした独特の触感を伝える。
中を透かし見せるほど薄い生地ながら、手に引っ掛かるようなざらざら感と、独特の硬さを感じさせる繊維が臀部や尻、股間をも全て覆っている。パンストだ。

両手で臀部を撫でまわしながらスカートの裾を捲り上げた太郎は、腰を屈めてパンストに包まれる祐佳の尻に埋めた。
顔を前後左右に揺らし、口先で生地の上から揉んでみると、パンスト生地特有のザラザラ感と、それに包まれ続ける祐佳の蒸れた香りが伝わってくる。
化学繊維独特の硬くて薄い生地が、その中に履いている黒いパンティの上を滑っている。
祐佳のスカートの中は、この二枚の布でアソコをガードしているということだ。もっとも時間を止められる太郎に対しては何のガードにもならないが。
しっかりと包み込まれた祐佳の陰部であるが、太郎が指先で押し込みながら撫でると、生地が窪んで割れ目の位置を浮き上がらせる。この中とのご対面も直ぐに叶うという訳だ。

暫くスカートの中でパンスト越しの陰部を弄っていた太郎は、楽しみは後にとっておくとばかりに、撫でる手を太腿、膝、ふくらはぎと下していった。
そして、パンスト美脚の触感を楽しんでいた太郎の手は、歩き途中で宙に浮いている祐佳の左足首に到達した時、黒い布に覆われた足の甲から黒光りするパンプスを廻りこみ靴裏に至るまでを強く握った。

太郎の指先が、踝近くにあるボタンにかかると、「パチ」という小さな音を立ててストラップが留め具から外れた。
続いて靴の踵を掴んだ太郎は、下に捻るようにずらし、ハイヒールを祐佳の足から脱がした。
靴を脱がされた祐佳の左脚は、宙に浮いたまま黒ストッキングに包まれただけの踵や爪先を見せていた。

「良いねぇ。及川祐佳のハイヒール貰っちゃった。さ~て、この後どんな反応するかな。」

一人呟いた太郎は、脱がしたハイヒールを手で握り潰しつつ電車の扉に向かって歩き、脱がした靴をホームに向かって手放し、電車の中に戻って時間を再始動させた。

目の前で靴がホームに落ち、それに気づいて慌てて追いかけたかのように電車を降りた太郎は、その場でしゃがんで靴を拾った。
視線を祐佳の方に向けると、戸惑いがちな表情で太郎を見る祐佳の姿が映る。

「あ、山田君、有難う。。。」

明らかに戸惑っている。それもその筈。何せストラップでしっかり留めていた靴が突然脱げ落ちたのだから。

「あ、いいっスよ。俺がそっち行きますから。」

ハイヒールの分だけ高さが足りず、パンストに包まれた足で爪先立ちになってホームを直に踏む祐佳が歩み寄ろうとするのを制した太郎は、拾った靴を持って彼女の方に歩き始めた。

そうこうしている内に電車が発車した。時間も遅く、ホームは直ぐに人が疎らになってきた。

賽は投げられた。遂に俺が及川祐佳を賞味する時間が訪れた。

高鳴る心臓の鼓動を感じながら歩み寄った太郎は、靴を履かせようと祐佳の前でしゃがんだ。



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