序 話:初めての体罰 scene 3

 その翌日。
 いつものようにシャワーを浴びた。
 終わった時に用意されていたのは、いつもの服ではなかった。
 ビキニの、というより殆ど紐だけの薄い布地のパンティ。
 男物のランニングシャツ。それだけだった。

 何か抗議しても無視される・・し、どうせ言う通りにさせられる。
 キョウコは諦めて、黙ったままそれを身に着けた。

 シャツは大きい割に、変に短かった。
 見下ろすと、胸ぐりから乳房の谷間が見えていた。
 いや、乳首の形が浮いていた。
 裾はやっと臍の下くらいまでしか届かなかった。

 パンティも、予想通り透けていた。股間の、秘裂の形がハッキリとわかった。
 むしろ何も着けない方が、余程ましなくらいだった。

「両手を出しな」

 看守の命令に、素直に両手を差し出した。カチャリ、と手錠をかけられた。
 歩き出した行く先も、いつもの独房へ戻る通路とは違っていた。今まで通ったことのない通路だった。

 とある部屋の中に、キョウコは連れ込まれた。
 その部屋に入った途端、キョウコの背筋を冷たいものが走った。

 壁に、様々な形状の鞭が掛かっていた。
 天井や壁からは、あちらこちらに枷をつけた鎖が下がっていた。
 いや、床にもそんな鎖が目についた。

 キョウコが恐ろしそうに、部屋を見回している。
 と、部屋の隅に「三角木馬」が置かれているのに気が付いた。
 キョウコはそんなものを見るのは初めてだった。
 もちろん名前も知らなかった・・が、本能的にその用途が推察できた。

 看守は、部屋の中央にキョウコを立たせた。
 そして手錠をはずすと、天井から下がっている鎖を一本たぐり寄せ、その先についていた枷を両手首に填めた。

 枷を填められた手首が、キョウコの顔の高さになる鎖の長さだった。
 看守は、部屋の隅から大きな鏡を運んできてキョウコの前に据えると、そのまま部屋から出ていってしまった。

 鏡に映る自分を見て、その想像以上に「セクシー」な姿に、キョウコは驚いてしまった。
 翳りを失った股間が透けていて、まるで誘っているように見えた。
 形のよい乳房と、ツンと尖った乳首もハッキリとわかった。

 こんなトコロを、こんな姿を見られたら・・・その上、何の抵抗も、いや隠すことすら許されない、しかもこの部屋にある、あの恐ろしげな道具・・・もしここに誰かが・・・「男」が現れたらどうなるか、結果は目に見えていた。

 来ないで・・・お願い、誰も来ないで・・・

 キョウコが祈るように呟いた。


 突然扉が開き、人が入ってきた。黒い顎髭のある大男だった。
 キョウコが監禁されて以来、初めて目にする男性だった。

 続いて、赤のボンデージスーツに身を包んだ女性が現れた。
 後にキョウコはこの二人が副長のK・Tと、拷問課のマキであることを知ることになる。
 今はただ、ビクッと身体を震わせただけだった。

「ホホウ・・・キョウコ、なかなかいい格好だな。」

 男がからかうように声をかけた。
 ニヤリと笑った顎髭の間から、白い歯がキラッと光った。

 キョウコは物心ついてから、男性に裸身を見られたことなどなかった。
 まして今の姿は、強制されているポーズは、全裸よりはるかに艶めかしい。
 唇がワナワナと震え、全身に冷たい電流が走る思いだった。

 男がキョウコに近づく。

 ヒイィーッ・・・ 恐怖に、キョウコの喉が笛のような音を立てた。

 男の手が、キョウコの尻に触れた。
 初めての、そのおぞましい感覚にキョウコが竦み上がった。

 男は楽しむように、そのままキョウコの尻を撫で廻していたが、ふいにパンティ上の方をグーッと引き上げた。
 引き延ばされたパンティが、尻の割れ目にくい込んで行く。
 そしてパッと手を離すと・・・パンティはくい込んだままで、後ろの布地は一本の紐のようになり、双丘がすっかり剥き出しになってしまった。

 ピシャッ!
 男の手が、軽く尻を叩いた。

 アウゥッッ・・・
 キョウコが呻いた。

 男はキョウコの腰に両手を当てると、キョウコの身体をグイッと回した。

「ほれ、見てみろ。なかなかイイ姿だぜ。」

 鏡に映る姿は、正視できるものではなかった。思わず目を閉じた。

 バシ~ン!!

 キョウコの尻が鳴った。思い切り叩かれたのだ。

「しっかり目を開けておくんだ。いいな! こんなものでも、もう着ることはなくなるかもしれんからな・・・」


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