序 話:初めての体罰 scene 2

 キョウコが、頭を上げた。いつもの時間じゃない・・・微かにそう思った。
 廊下の向こうで扉の開く音がして、足音が近づいて来る。二人の足音だ・・・。
 殆ど音のない場所で、キョウコは音に敏感になっていた。

 鉄格子の前に現れたのは、女の看守が二人だった。

 なんで!?

 キョウコが目で尋ねるのを無視して、看守は鉄格子の鍵を開けると、態度で出るように示した。
 キョウコの両脇を挟み込むようにして、いつものシャワー室に連れて行かれた。

 素直に全裸になったキョウコに、いつもより熱いシャワーが浴びせられた。
 飛び上がるほど熱くはない、我慢できないほど熱くはない・・・しかし、暫くすると身体が茹だったようにピンクに染まった。それでも、なかなかシャワーは止まらなかった。

 やっとシャワーが止まった。
 キョウコがシャワー室をでる。

 と、いつもは用意されている下着も、服も、何も置かれていなかった。
 それまで着ていた服も、持ち去られていた。

「えっ、あっ・・あの・・・」

 戸惑うキョウコの両側から、キョウコの腕を掴んだ看守がそのまま歩き出した。

「いっ、いや~っ!!」

 キョウコが両手を振り解き、股間と豊かな胸を隠そうとした。
 看守は慌てもせずに、キョウコの両腕を捻り上げると、後ろ手に手錠をかけてしまった。

「逆らうと、今度は痛い目に遭わせるから、いいね」

 特に怒った様子もなく、冷静に言われただけだった。

 キョウコは、まったく隠すこともできずに、看守に促されるまま歩き続けた。
 それ以外に、路はなかった。

 廊下は、適度に空調が利いていた。むしろ暖かすぎるくらいだった。
 シャワーを浴びた身体が、冷えることはなかった。

 やっと看守が、ある扉の前で立ち止まった。
 扉には「処置室」と書かれていたがキョウコは気が付かなかった。
 隠すことのできない身体が恥ずかしく、目を上げることができなかった。

 看守が扉を開けて、なかにキョウコを連れ込んだ。
 中には白衣を着た女性が何人かいた。
 リーダーらしい女性が看守に合図すると、看守はキョウコを中央の診察台に連れて行った。

 診察台・・・産婦人科の診察用の椅子、が一番近い形状だろうか。
 それは全て金属製で、冷たい輝きを放っていた。
 あちらこちらに革のベルトがついていた。見るからに凶悪な雰囲気だった。

 看守はキョウコの手錠を外して「椅子」に座らせると、両手首、両足首をベルトで固定した。
 そして椅子の脇の、操作パネルのスイッチを入れた。

「あっ、ああっ、ああぁぁああぁっっ!!!」

 思わずキョウコが悲鳴を上げた。
 音もなく椅子が動き出し、キョウコの手足を開いて「X」字の形を取らせていた。

 白衣を着た女性の一人が、キョウコの頭にバスキャップを被せた。
 他の女性達はそれぞれに何かドロッとした液体の入っている缶と、やや大きめの刷毛を持ってキョウコの回りに集まって来た。
 そして缶の液体に刷毛を浸すと、キョウコの身体に塗り始めた。

「ひっ、ひっ、ひいぃいぃぃっっ!!」
「や、やめてぇっ!! くすぐったいぃっ!!」

 その時、先程のリーダーらしい女性が、穏やかに話しかけた。

「ちょっと我慢してネ。いま、アナタに塗っているのは‘脱毛剤’なの。あんまり暴れて、目に入ったら大変よ。顔と、頭は脱毛しないようにって、言われているから気をつけないと・・・。これ、よく効くのよ。毛穴からしみ込んで、毛根を腐らせちゃうの。だから、そこらのいい加減なエステなんかと違って、2度と生えて来る心配がないわ。あなたみたいに、シャワー浴びててくれると毛穴が開いているから、とっても効果的なの。もうすぐ終わるから、我慢してね・・」
「ええっ!? いっ、いや~っ!! そんなの、ヤメテ~ッ!!!」

 キョウコの悲鳴が痛切になっている。
 一人の女性がキョウコの秘部を押し開くようにして、そこにたっぷりと‘脱毛剤’を塗り込めている。

「いやよ! いや、いやっ、イヤアァァッッ!!」

 キョウコが、拘束された手足に必死の力を入れて、なんとか逃れようと抵抗している。
 しかし何の甲斐もなく、キョウコの全身は・・・首から下すべてが、そのハチミツのようなドロッとした液体にまみれていた。

「・・お願い。許して下さい。・・・そんなの、酷すぎます・・・」

 キョウコが涙ながらに訴えている。
 リーダーらしい女性は、一層優しく微笑みかけた。

「あら、そんなコトないわよ。とっても可愛くなるんだから。もうチョット待ってね。もうだいぶと効いている筈だけど・・・あと5分、すっごく可愛いあなたに会わせてあげる・・・さっ、そろそろいいかな?」

 もう一人の女性が、部屋の隅にある洗面器の蛇口から、長いホースを引いて来ていた。
 ホースをリーダに渡すと洗面器のトコロに戻り、蛇口を全開にした。
 ホースの先端から、勢いよく水が噴出した。それがそのままキョウコに当てられる。

「ああっっ、い、痛いっ!!・・つ、つ、冷たいぃっ!!・・カフッ!」

 水は、まだ火照っていたキョウコの身体には冷た過ぎた。
 飛び上がるようにのけ反ったキョウコが悲鳴を上げかけると、その顔を水が直撃し悲鳴が途切れる。

 水の勢いで‘脱毛剤’が洗い流されてゆく。
 それと共に、キョウコの身体からすべての‘毛’が、まるで剥がれるように抜け落ちて行く。

 やっと水が止まると、リーダーはキョウコを診察台から解放した。
 そして鏡を差し出すと、楽しそうに言った。

「さっ、できたわよ。ほら、可愛いあなたと、ゴ・タ・イ・メ~ン!!」


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