第7章 ― 知恵の実を口に(6) ―
何が始まるのかわからない。目の見えない私には彼が何をしようとしてるのか予想すら出来ない。
その恐怖が私の動きを止めた。彼の命令に背く気はなかったが、恐怖がそれを凌駕した。
「早くしろッ。」
「は、はいッ…」
強く言われ、慌てて命令に従う。
「さて。」
ゴソゴソ…
彼はブラジャーの中に何か入れてきた。ちょうど両乳首に当たるように固定されテープで止められた。
触れられた限り、5百円玉くらいの直径で三枚ほどの厚みのあるもの。
「んッ…」
「次は下だな。」
続いてパンティーの中に手が入り、ちょうど淫核に当たるように固定された。
下の方のものは小さな卵型に感じられる。
三つの物は細い紐で繋がっていた。いや紐ではなくコードだと思う。
「よし。さぁ炎之花、お楽しみの時間だぜ。」
カチ…
ヴィィィ…
「んッあぁッ…何これ…?」
突然、胸と下半身に固定された何かが震え出した。
「ローターってやつさ。今回は三点ローターってやつで、乳首、マンコを同時に責めるタイプ。気持良いだろ?」
「く、くすぐったいだけです…んんッ…」
「なら我慢できるな。」
「え…? がまん…?」
「そう。我慢だ。放課後までその刺激に耐えるんだ。」
彼の言葉を疑った。彼は私の日常をまた蝕む気だ。
「うそ…ですよね?」
「いや、マジ。」
カチッ
ヴイィィィ
振動が強くなった。
たぶんこの道具を操るリモコンは水橋さんの手に握られているらしい。
「んんッ! みずッはし…さん…やめッ…あんッ」
「そろそろ二人きりの時は『御主人様』って呼べよ。炎之花は俺に服従する以外道はないんだし。」
「呼んだら止めてくだッ…くださいぃ…」
こんなに強い刺激を受けながら放課後まで耐えられる気がしなかった。
とりあえず、振動を止めてもらうために交換条件を持ち出した。
彼も鬼じゃないはずだから。
「なら呼ばなくて良いや。」
「え…?」
「だから御主人様って呼ばなくて良いって言ったんだよ。だから振動はそのま…」
キ―ンコ―ンカ―ンコ―ン―…。
昼休みが終った。
「おっと、次も授業だったな。じゃあ暁先生、頑張ってください。放課後喫茶店でお待ちしてます。」
「待っ…」
水橋さんは教員室を出ていった。
私を置いて。淫具もそのままに。
こんなの耐えれるはずがない。早くも下着にいやらしいシミが出来るのを感じていた。
………
……
…
「では発表会に向け…え、演奏の練習をしま…しょうッ…」
淫らな声が出そうになるのを押さえ込み授業を進める。
授業の大半を教育実習生に任せ、襲い来る快楽に耐えながら授業が終るのをジッとまつ。
「暁先生。」
「え、あ、なんでしょう?」
不意に実習生に呼ばれた。何かわからないことがあるらしい。
しかしそれに返事をした途端、体の緊張が和らぎ、抑えてきた快楽が全身を駆け巡った。
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