第7章 ― 知恵の実を口に(5) ―
わかっているのかもしれない。私が抵抗する気を失いつつあることを。
「んじゃ、まぁ早速どうぞ。」
「え…? 私がするんですか?」
「いや、他に誰がやるってんだよ? それとも強制されないと出来ないか?。
イマラチオってやつは気持良くなさそうだから、やりたくないんだがな。」
「い、いえ…やります…」
ゴソゴソ…ち~…
私は手探りで彼の股間のジッパーを開ける。
しかしその後がどうして良いかわからない。
「えと…」
「パンツにもブツを出す穴が開いてんだよ。ボタンはずして…」
彼の助言によりトランクスであろう下着の穴から性器を取り出した。
「ゴク…」
「早くしないと他の先生が戻ってきちゃうぜ?」
ペロ…
オズオズと男根に舌をつけた。少ししょっぱいような味がした。
「一舐めで終りなんてことないよな? 続けて。」
「は、はい…ピチャ…」
私は出来るだけ味を感じぬよう唾液を多目に舌に乗せ、男根を舐めた。
時折ピクピクと跳ねる逸物。
反応してくれている。
不意に嬉しいと思ってしまった。
こんな淫らな行為に喜びを感じてしまった。
かぁーっと顔が赤くなる。それを悟られぬよう、私は一心不乱に肉棒を舐め続けた。
「ペチャ…ピチャ…ん…」
どこが感じるかなんかわからない。それでも刺激を与えれば射精するはず。
「ん…ピチャッジュル…!?」
突然、彼が私の頭を掴み逸物から顔を遠ざけた。
「あ…え…?」
「想像はしてたけど、気持良くない。やっぱ一美の方が上手いな。」
容赦の無い彼の言葉。
わかっていた。肉欲に正直な彼は彼じゃない。
水橋さんであって水橋さんじゃない。牝奴隷たちの主人なのだから。
それでも姉とは比較して欲しくなかった。
憧れであり、嫉妬の対象。姉さんの美しさ、人当たりの良さ、そして水橋さんへの忠誠。その全てを知っている。
水橋さんを姉さんに取られるのではないかと言う不安が生まれた。
自分でもおかしいと思う。恋人でも無いし、完全に奴隷になったわけでもない私がそんな感情を抱くのは間違っている。
「あ、あの…私…頑張りますから…」
意地になっていた。姉と比較され少しでも姉に追い付こうと、姉を越えたいと思っていた。
その思いが、私を一歩奴隷の道に進ませるとは考えもせずに。
「ふ~ん。じゃあ今まで頑張ってなかったわけだ?」
「あ、そ、それは…」
彼の言う通りだ。
私の台詞は裏を返せばそういうことになる。
「奴隷候補が手を抜いて良いと思ってる?」
「あ…」
彼は私の首筋をいやらしく撫でる。その手付きとは裏腹に声は酷く冷たく、今から酷いことをされると確信付けられた。
「罰を受けてもらおうか。」
罰と聞き、焦り背中に嫌な汗が流れた。
「敏感な炎之花にはキツイかもな。」
ゴソゴソと鞄か何かをあさる音がする。
「あった。あった。炎之花、服の胸元を開けて、スカートも捲れ。」
「え…」
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