第5章 ―悪魔と神の天秤(3)―

「あ―まぁそうでしょうね。でも俺は嬉しいですよ。」
彼はゆっくりとスカートをまくし上げる。

「嫌ッやめてください!」

腕を拘束され、抵抗が出来ない。
その間にも段々と下半身が露になる。

「へぇ、白のシンプルな下着ですね。」

彼はそう言うと、下着を膝までずり下ろした。下半身が完全に剥き出しになる。
ストッキングは穿いているが太股までのタイプ。下半身を守る布は一切無くなった。

「炎之花さん処女ですか?」
「え…?」
「男性経験はありますかと聞いているんです。」

恥ずかしい質問。
彼はきっとわかっている。私が処女だと言うことを。
姉さんに聞いたのか、私が厳格な信者とわかっているためか、それとも私の性格と反応のせいか、どちらにせよ彼は私が処女だと確信している。

「……」
「答えてください。」

彼は内股を優しく撫でながら、耳元で妖しく囁く。

「んんッ…」

私も所詮女だ。敏感な場所への刺激と異性の匂いに体が反応し始める。

「濡れてきましたね。で、どうなんです? 処女じゃないなら指突っ込んでも…」
「え!? ちょッ…待ってください!」
「え? なんでです? 何も答えないから処女じゃないんじゃ…」
「ち、違います! わ、私……男の人にこんな事されるの初めてで…」

私は簡単に彼の誘導尋問に答えてしまう。
彼はまるで無邪気な子供のようにクスクスと笑った。

「処女なんですね?」
「……………は、はい…」

顔が熱い。目尻に涙も溜ってきた。私は無意識にうつ向いた。

「…炎之花さん可愛いですよ。」

唇に柔らかな物が当たる。彼の息が近く、口の中に粘膜が侵入してきた。
キスをされている。優しく、そしていやらしいキス。

「んッ……んん…」
クチャクチャと彼の舌が私の口の中をかき回す。

「んん…ぷはッ…はぁはぁ…」
「………………」
「…?」

彼は口を離すと沈黙した。時折、うーん、と言う悩むようなうめき声を漏らす。

「…あ、あの…水橋さん?」
「う~ん……なんか調子狂うなぁ。」

「え…?」
「いや、なんか、炎之花さん相手だとイマイチ加虐心が押さえ込まれると言うかなんと言うか…」

彼は私の拘束された腕に更に縄をかけ、壁のハンガーをかけるためのフックにかけた。
そして私から離れると姉さんの拘束を解き始めたらしい。口枷が外されたのか、姉さんの息を吐く声が聞こえた。

「一美、口で炎之花さんをイカせろ。」
「え…?」「え…!?」

姉さんと私の声が揃った。
姉さんも私も、彼の言葉が信じられなかった。

「聞こえなかったか? お前が炎之花さんをイカせるんだ。」
「そ、そんな! お願いです御主人様! 妹には酷いことしないで下さい!!」

「おまえ馬鹿か。酷いことするのは一美だ。俺じゃない。」
「い、嫌です! 妹にそんなこと出来ません!」

姉さんは水橋さんの命令に激しく否定する。


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