第11章 ― 光ある世界へ(3) ―

「御主人様? 暁先生それは…」

ガラッ!

「俺だ、馬鹿。」

パシャ!
急にドアが開けられ、カメラのシャッター音がした。
声ですぐに誰が来たのかわかった。御主人様だ。

「白昼堂々婦女暴行とはやりますね。山村先生。」

彼は余裕と言う感じで山村先生に話しかけた。
山村先生はすぐに私から離れ、御主人様からも距離をとった。

「君は…たしか実習生の…」
「水橋です。」

「水橋君、君は何か勘違いをしていないか? 私はただ…」
「言い訳はいりませんよ。」
「言い訳ではない。だから私は…」

音で分かる。山村先生は御主人様に詰め寄られている。

「いい加減白状しろよ。みっともない。さっきシャッター音聞いたろ? 携帯のカメラの。あんたのやってたことは俺の携帯にバッチリ保存されてんだぜ。」
「くッ…あれは倒れて暁先生に寄りかかってしまっただけで…」

「はぁ…」
御主人様は呆れたように溜め息をついた。
この溜め息の後に来る台詞は決って“めんどくせぇ”だとわかっていた。

「めんどくせぇから良く聞いとけ。この写真と炎之花の証言があれば、あんたが炎之花をレイプしようとしてたってのは明白。
 仮に違ったとしても、炎之花が口裏を合わせた時点であんたの社会的地位は地に落ちる。
 そして炎之花に俺を“御主人様”と呼ばせてた件についても、恋人同士、両者の合意の上ということなら何にも問題は無い。
 つまりだ、この今の状況であんたは俺に逆らえない。わかったかボケ!」
「ぐッ…」

反論できないように決定的なことを並べられ、山村先生は歯を食い縛る以外できないようだった。

「………金を払う…」
「あ?」
「金を払うからこの件を見逃してくれないか?」
「…………………わかった。ならデータは消そう。」

!?

意外だった。御主人様ならこんなことを言われても聞く耳を持たないと思ったから。
そしてカタカタと携帯電話のボタンを押す音が聞こえる。

「はははッ…やっぱや~めた。」

「な!?」
「つうか、消す気なんて元からねぇよ。あんたの安心した顔、笑えたぜ。」
「き、貴様ぁッ!」
「それとあんたの教師人生はあと数秒だ。」

「!?」
「さっきのはメール作ってたんだよ。学校宛てに画像を貼ってな。」

急に汗の臭いがしてきた。山村先生の汗だろう。この状況で冷や汗が大量に出てるのだろう。

「や、やめてくれ! 頼む!!」
「嫌だね。俺はあんたみたいなやつは大嫌いなんだよ。それに俺のモノに勝手に手ぇ出したことが一番許せねぇ。」
「ひッ…」
「送~信。ポチッとな。」
「やめろぉ!!」

山村先生の必死の訴えが教室に響く。

「な~んてな。」
「え?」


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