第11章 ― 光ある世界へ(2) ―
ゾクッ…
嫌だ。ふとそんなことを思った。御主人様以外の男性に触られたくない。
「さぁさぁ…ふふ…」
先生は終始、私の肩や手や腰を撫でながら誘導した。
凄く嫌な予感がする。何かされるかもしれない。怖い。
気味の悪い感情が支配し始めるが、結局教室まで送ってもらっただけだった。
「先生大丈夫? 山村になんかされなかった?」
「山村って、炎之花先生のこと、いっつもヤラシイ目で見てるんだよ。」
「炎之花先生、気を付けてね。」
生徒たちはやはり山村先生に良い感情は抱いていない。送ってこられた私を心配している。
「大丈夫よ。山村先生は目の見えない私を送ってくれただけよ。」
それが生徒達に対する返答。実際にそう思ったから。
しかしそれが間違いだと知るのはすぐだった。
授業が終り昼休み、教室を出ると人がいることに気付いた。
独特のオーディコロンの香り。山村先生だ。
「暁先生。」
「あ、山村先生…」
「少しお話があるのですが、よろしいですか?」
「え…はい。別に構いませんが。」
私の返事と共に先生は私の手を握った。
「え?」
「ここではなんですからこちらに…」
「きゃッ…」
グイッと引っ張られ、彼が歩く方に仕方なく歩いていく。
ガラッ…
そしてある教室に入った。
距離や道順からして、芸術棟の角部屋。
「え…ここ空き教室じゃ…」
「まぁまぁ。」
ここは普段滅多に誰も来ない空き教室。倉庫の奥にあるため昼休みですら人気はない。
「あ、あの…話と言うのは…?」
「……」
無言。そして少し荒い息が聞こえる。
「?……………!?」
ゾクッ
急に肩を持たれ、腰にも手をかけられた。
「先生…なにを?」
「ふふふ…暁先生。私は前からあなたを綺麗と思っていましたが、最近になって更に研きが掛った。」
ゆっくりと撫で回す手。顔に近付いてくる息。
「もう我慢できないんですよ。」
グッ
急にスーツの襟を捕まれ、それを下に下げられる。
脱がされようとしている。それを一瞬に理解した。
「きゃあッ! やめッやめてください!!」
「やめれるわけないですよ。こんな魅力的な体をして、最近は色気まで出てきて…」
「せ、先生には奥さんがいるじゃないですか!?」
「あんな女にもう興味は無いですよ。」
更に手はスカートの中にまで侵入してきた。
クチュッ
「濡れてるじゃないですか。下着の上からでもわかりますよ。期待してくれてるんですね?」
「そ、それはちが…」
御主人様に開発され、少しの刺激でも反応するようになってきていた私の体が、先生に撫でられた時から少しずつ反応していた。
「素直になりましょうよ。どの道、ここに人は来ません。」
「いやぁッ助けッ誰か…助けて御主人様ぁ!!」
彼に助けてほしかった。私の中で彼ほど頼もしい人はいなかったから。
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