官能小説『父親の面影を追い求め』

知佳 作



桂子(image)





9 キッチンは愛の準備室

キッチン
 妻が離婚を切り出さないようにする秘訣が語られていた。 妻の気持ちを察し、機先を制するように手伝えと言うのだ。 別れたくなかったら、失いたくなかったら多少のことは笑って見過ごせ、大目に見ろと言う。 並み居る敵を蹴散らし千載一遇のチャンスをものにし、妻を娶ったからにはおいそれと手放すようであってはならないという。 これからすれば夫と妻がそれぞれ受け持ち担当の個所を守りさえすれば家内安泰というのはもう古い考えと言わざるを得ない。 

 女性のバイオリズムは凡そ25~38日の周期があるが平均値は28日周期と言われている。
卵胞期、排卵期、黄体期、そして月経という4つの期間だ。

月経期の凡そ4日間は体全体が敏感で些細なことで激昂しやすくなり、卵包期のうちの後半凡そ10日間はエストロゲン (卵包ホルモン) が排出され絶好調に至る。
黄体期である残り半分の期間はプロゲステロン (黄体ホルモン) が活発化してくることから心も躰も不安定になる。

絶好調と言われる10日間を除く18日の間ご奉仕を怠ると理屈の上からも信頼を得られにくくなる。
だがしかし、いつ訪れるかわからないこの10日間、女性にとってエッチをしたくて堪らなくなる日でもある。

シゲチャンオススメ 老健ナース シゲチャンから「イイね!」をいただきました。
 些細なことで激昂と書いたが、それとは対照的に生理が終わりエストロゲンの作用で正にこの時期性的興奮が湧き起る。 牡でありさえすれば誰でも良い、それが例え夫でなく外の誰かに向かってでも良いから恋をしたくなる日のようなのだ。 

 誰でも良いと書いたが選ばれるとすればえり好みもあるだろう。 しかもこう言った場合より刺激的に恋を成就させたい野望もある。 とするとどうしても夫ではなくチャンスと見れば狙う、即ちワンナイトであるからして婚外恋愛の方が有利に働く。

野生の性が芽生える時期がすなわちハメてもらいたい時期だからだ。
群れの中で最も優秀と思われる牡に対峙しつつ性興奮で攻撃的になった、しかも問題の発生源である性器をどうにかしたくお互いがお互いを威嚇しつつもわざと追い込まれ衆目の中でまぐわった。 その後それでも足りないものだから今度こそ周囲で順番を待つ牡たちと性器が未だ発する興奮を取り除きたくて乱交に及ぼうとし、またまた群れの騒乱を巻き起こす。 それが最終的には群れに波及しその後の子孫繁栄に貢献することになる。
集団生活の中で妊娠をみる動物にとってこれは自然の摂理ともいえる。

あぶれ牡にとって牝にのしかかり発情しきったオ〇ンコに胤を流し込むためのチ〇ポを挿し込める千載一遇のチャンスとはまさにこの時なのだ。

素知らぬ顔をしていながらも、実際妻たちは背徳という刺激を帯びた他人棒を使われる時こそ夫に比べ数倍気持ち良いことをちゃんと女性間だけに通ずる性社会通念上教え込まれ体験も加わって知りえている。
この時の、激昂しつつ家を抜け出し向かう先とはすなわちこれら牡の元で、まっとうな他人棒であっても、友人の旦那であってもかまわないから刺激さえ強ければ、夫や家族などの煩わしい存在を忘れさせてもらえるなら受け入れても良いと思える日でもあるのだ。

 夫は事前に計算し、知りえた情報から妻のこの日を待ち、夫婦生活に及ばなければならないのに、自分だけ欲しくなったからと求める。
ご奉仕どころか現実的には面倒臭がって妻を労わらないで酷使しようとする。
解らないでもない。 ほぼ男にしかできないような労苦に耐える仕事を終わり帰ってきたというのに食事の用意もできていないとなれば怒りもこみ上げようというもの。 
だから言葉より先と思えるほどに瞬間的に手が出る。

桂子の場合も鬱状態になると日によって夕食が食卓に並ぶのが3時間近くも遅れたりすることもあるという。
そこまで待って出されたものといえば近くのコンビニから買ってきた揚げ物などということもままあるらしい。 亭主は糖尿というのにこれである。 空腹と疲れとで怒りに任せ油モノを酒を使って喉の奥に流し、酔い疲れて転寝をしてしまう。
その間に妻の愛は醒めてしまい深夜なのに勝手気ままに外に出かける始末。 罵倒されたであろうから腹は立つやらで家では居り場所がないのだ。

彼女の場合衣服や化粧品などを見て回る、いわゆるショッピングというものが苦手だった。
あの商売が何故流行るのかと言えば女性がショッピングに走るということは、その商品を身に着けた女性を今度はナンパしようと男性が姿を現し、通常ではありえない恋愛感情がそこに生まれる。 女性にとって着飾ることはもちろん気持ちが良いが性を理想とする男性によってざわめかせてもらえればなお一層気持ちよい。 

 最終的には女を着飾らせその気にさせて寝取るための漢からの金銭がそこに一般生活では考えられないほど大量に流れるからだ。
女性は意識の中で優秀なひとりの男を他に先駆けてこの性をチラつかせ狩ろうとする。

着飾って化粧して普段と違う魅力をまき散らしつつ男に最終的には行為と更なる奉仕を迫るのだ。 だが桂子にはこれができない。
女として幼い頃から抱いていた劣等感がこんなところに現れるのだ。
その鬱憤は陰の方向に向いて突っ走ることになる。

それが一瞬の、しかもソレ目的のためだけに逢おうとする出逢い系である。
日本とは不思議な国で女性は自慰に対し殊の外険悪感を持っているようなのだ。
それでいてワンナイトに及ぶと奥底から押し殺したような快楽に満ちた悲痛な声を発する。

自慰であっても、とかく射精が及ぼす快感を得るということが大好きな男性と、この瞬間だけをとってみれば同等、或いはそれ以上に快感を得れるんじゃないかと妄想しつつ駆け付けるからこそこういった声がでるのだと思われる。 が、
それゆえに絶好調の10日間というのはある種男性にとっては魅惑的だ。 だから欧米のように常日頃レディーファーストなどというしゃっちょこまったことをやらずとも、ある日ある場所で発情のあまりうろつく女を待ち構えるナンパを安上がりだから選ぶのだろう。

彼女らに言えることは出逢い系とは文字通りワンナイト。
そこに相手を気遣う気持ちなど無い。 欲情を一時抑えることができたなら、それから後の面倒なことに関わりたくないのだ。
その点桂子という他人妻は違った。 オーナーはだから敢えて欧米風のレディーファーストという形をとり他人妻を婚外恋愛の末寝取ろうとして苦労していたのだ。

桂子の体調管理に勤めるべく、まかない飯などをこまめに出してやり、時に休ませたりしつつも指に付着した粘液とかパンティーに付着した臭いや味でその日を推し量ったりし計測していたのだ。

ワレメや乳首をせっせと舐り (ねぶり) 来る (きたる) ときのために婚外恋愛を成就させることが如何に刺激的かを仕込んでおくこと。
桂子も久美から言い聞かされ自らもそれに気づき始めこれに一役買ってくれていてパンティーを意味ありげに晒しオーナーをとかく誘い、抜き差しならない状態に持ち込むよう、あえて仕向けてくれた。
くぐり戸を抜けたあの夜、シルを亀頭に擦り付けワレメに誘い込むコツを挿し込まれつつある興奮の中、或いは一回戦を終え疲れ切って横たわるオーナーに向かってもう一度入ってほしくて無い知恵を振り絞り手探りで覚えた。

オーナーは表向き威厳や風格はあるものの、いざ桂子との性行為での年齢差となると親子ほども違う。
旦那と違い肉体の衰えは隠せなかった。
それなのにくぐり戸の夜今宵は桂子を芯から奪おうと全力で挑んでくれていたのだ。

最初こそ上手に誘導していたのはむしろ桂子のほうだったが、次第に形勢が逆転し気が付いた時にはオーナーにしがみつきあられもない声を出し乱れていた。 自分が周囲の女の子のようにきれいじゃないと、何度久美に諭されても醜いと信じ込んでいた。
だから今一度と声に出してそのチ〇ポでオ〇ンコをどうにかして欲しいとどうしても言えなかった。

満足しきって横たわるオーナーを跨ぎ、ワレメのシルを亀頭に擦り付け指でつまんで蜜壺に導き微熱で誘い込んで入口付近でひとり弄んだ。
必要な時必要なだけ逝かせてくれる自分専用の武器、そう思えただけで別段これも悪くないと思ったようなのだ。

(元気にしてあげることが出来たらまた狙ってくれるかもしれない)
自宅に帰り家事を終え、シャワーしながらそう思ったのだ。

布団に入り、ふと見た裏庭に今夜もオーナーが潜んできてくれているような気がして恋しさと切なさで、いつしか両頬に光り落ちるものがあった。
夢の中で乳首をもてあそぶオーナーが寝取ってやったと得意満面に笑いながらどこかに連れ出そうとし、夫が必死に追いすがる。 
そんな不思議な光景を見た。

くぐり戸以降自分に自信が持てたのだろう。 それ以上にオーナーを誰かに奪われたくなかったのだろう。 桂子は出勤のときの衣服を更に大胆なものに変えた。
化粧も大人し目から挑むような表情に変えてみた。
それもこれも久美の実践から得たアイデアだった。

パンティーがあからさまに見えるような更に丈の短いスカートに替え
意味もないのに片足を何かの上に載せ、チラッとパンティーを周囲の誰もいない仮想敵に魅せつける・・・などをやらかす。
慌てたオーナーは年甲斐もなくキッチンでバックから桂子の濡れそぼるオ〇ンコを幾度となくそのチ〇ポで塞いだ。 顧客の飲食物を扱うキッチンが別の意味の仕込み場所に変貌したのだ。

桂子は桂子で、何度大人しくしなさいと言われても儂のものになって欲しいと懇願されても腰を振ってワレメからチンコを、「お客が入ってきたらどうするの」 としかり邪険に振り払った。 ライバルの存在を意識させんがために。
こうして、お互いの我慢が限界に達する夜を待つというのが実は桂子の、いや久美が教えてくれた作戦で老齢のオーナーへ向けた期待と愛情を込めた表現でもあったのだ。



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<筆者知佳さんのブログ>

元ヤン介護士 知佳さん。 友人久美さんが語る実話「高原ホテル」や創作小説「入谷村の淫習」など

『【知佳の美貌録】高原ホテル別版 艶本「知佳」』



女衒の家系に生まれ、それは売られていった女たちの呪いなのか、輪廻の炎は運命の高原ホテルへ彼女をいざなう……

『Japanese-wifeblog』










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