第9話 対面

 岸川はコーヒーを飲むと、次第に落ち着いてきた。
「岸川さんだったね、一体どうして生きていたんだ、1ヶ月も?」
「1ヶ月…。馬鹿言うな。1年半は立っているはずだ!」

 「1年半ね、で、どこで暮らしていたんだ?」
「未来だよ、2500年以後の世界だ!」
「あははは!」研究者達は大笑いをしている。
「ホントだよ、素っ裸の女だけの世界なんだよ!」岸川は今までの事を話していくが、誰も相手にしない。

 そして「猪瀬五郎という、サインがあったんだ!」叫ぶ岸川に、1人の男が反応し「夢だ、それは夢だ。恥を掻くからもう言うな。自分の心に溜めておくんだ!」強ばった顔で話し掛ける。
「わかったよ、あれは夢だったんだよ…」ふてくされ気味に言う岸川に「その方がいいよ、あんたの為にもな」肩を叩いている。

 翌日、無人島に救助用の船が現れ、その船にはテレビ局や、新聞社の記者が乗っている。
1ヶ月もの消息不明者が、救助されたのだから当然かも知れない。

 テレビや新聞にも、岸川の生存を伝えて、岸川は救助船で本土まで運ばれた。
会社側でも気を遣い、1ヶ月の休養を認めたが、マスコミの取材が殺到して休養どころではなかった。

 「何をしていましたか?」そこに質問が殺到したが「わかりません、何故、海を漂っていたのかもわかりません…」
(言えない、あんな事を言ったら馬鹿にされるだけだ。信じる人がいる訳ないし!)マヤ達と暮らした事を封印を決めた。

 それから2週間程たってから、岸川のアパートを、あの研究者が訪ねて「実は、謝りに来ました…」岸川の顔を見るなり頭を下げた。
「謝るって?」
「はい、申し遅れましたが、私はこういう者です」名刺を差し出す。

 「猪瀬達也さんですか?」
「はい、猪瀬達也です。父は猪瀬五郎と申します」
「い、猪瀬五郎…」岸川の名刺を持った手が震えている。

 「そうです、私の父もあなたと同じ事を言っていました。最初は信じませんでしたが、あなたの話で信じる事にしました」
「お父さんは生きていますか?」
「生きています、是非、会ってください。人類が滅亡する時代の事が気になりますし…」
「わかりました。お会いしましょう」

 岸川は猪瀬に連れられて五郎と会った。
「あなたも、ホンジャマカにお行きになったそうで…」
「はい、あそこでは、いい思いをしました。神様と呼ばれて」

 「割礼もおやりになりましたね?」
「はい、割礼と、役目も…。兵士達や侍従とやりました」恥ずかしくて顔を上げれない。
「岸川さん、それよりも、本の事を教えて下さい」猪瀬は本のことが気になっている。

 「あの事ですね」岸川は本に書かれていたのを話していく。
「そうですか、環境ホルモンで食糧不足が来るんですか、それに、核戦争も…」
「それだけではありません。核戦争で地殻変動が起こって、日本が沈むんですよ」
「…」猪瀬は言葉が出ない。

 長い沈黙の後「確かに、日本列島は沈む可能性があります。大陸移動が進めば一気に行く可能性があります」岸川と五郎は黙ったままで、声にならなかった。

 「この事を知らせたいのに、誰も相手にしてくれないし…」五郎も悔しい思いをしており「そうですね、変人扱いが関の山でしょうから」相づちを打つ岸川だ。

 「そうなんです。でも、何とかしないと。女子化が進んでからでは人類が滅亡してしまうし…」
「出来る事と言ったら、警鐘を鳴らすぐらいだな」
「そうですね、出来る事と言ったらそれぐらいですね」岸川と猪瀬が話し合ったが良い案は浮かばなかった。
岸川はこれをきっかけとして、度々、猪瀬と会うことになった。

 そんなある夜、岸川は夢を見た。
『神様、マヤをお助け下さい。マヤも神様の元へこれから行きます…』マヤが、あの渦の中に飛び込む夢だ。
『マヤ。待っていろ、今行くぞ』そう叫ぶと夢が覚めた。

 「夢か。マヤはどうしているんだろう…」大勢の女性とセックスしたが、マヤだけが気がかりになっていた。
「とにかく寝ないと」眠りにつくが『神様、マヤをお助け下さい。マヤも神様の元へこれから行きます』同じ夢が繰り返されている。

 「もしかしたら…」深夜にもかかわらず、衣服をバックに詰めていくと「プルプルプル!」電話が鳴った。
「忙しいのに…」受話器を取り「もしもし、岸川ですが。…はい、私もです。はい、明け方に出発しようと思っています。はい、わかりました」受話器を置いた。

 「猪瀬さんも同じ夢を見ていたのか。もしかして、マヤは猪瀬さんの子では?」新たな疑問が生まれた。
「それよりも、荷物をまとめないと…」また荷物の準備を始めていく。

 そして明け方、岸川は五郎と一緒に飛行機で沖縄まで飛び、そこからは船をチャーターして、あの無人島へと向かっていく。
「岸川さん。何だか、妙な胸騒ぎがするんです…」
「猪瀬さんもですか。私も同じです。マヤがこの世界に現れるんじゃないかと思えて…」
「私もです。未来の人間が、ここに現れるような気がして、ならないんです」2人は船が島に着くとテントを設営していく。

 「これで、住む方はいいか。あとは現れるのを待つだけだ」2人は海を見つめ続けた。
だが、夕方になっても海には誰も現れず「夢は夢なのかな」「そうかも。偶然が重なった夢かもな」2人は見張るのをやめてテントの中に入り、眠りについた。

 『神様、お助け下さい。マヤも参りました…』また夢を見た。
「来た、マヤが来た!」岸川は起きあがり「来た、マヤが来た!」ほぼ同時に、猪瀬も起きあがり叫ぶ。
「行こう、誰か来る!」
「マヤです、マヤが来るんです」2人はライトを持ってまだ暗い海を照らした。

 「マヤ、どこだ、どこにいるんだ!」岸川は暗い海に向い叫び続けた。
『ここです、神様。会いたかった!』
「どこだ、どこにいるんだ。マヤ!」テレパシーで伝えているのか、岸川は海に向かい走っていく。

 「岸川さん、ボートです、ボートがあります!」猪瀬も慌てて、ゴムボートを押して海に向かう。
「マヤ、マヤ!」ライトで照らし続け「岸川さん、乗ってください。もっと沖です!」
「ありがとう、行こう!」ゴムボートはマヤの気配が漂う方へと漕いでいく。

 やがて、暗闇が明るくなってきた。
「マヤ、マヤ!」相変わらず岸川は叫び続けている。
「いた、あそこに人がいる!」猪瀬が指さした波間に、仰向けに漂う全裸の女性がいた。
豊満な乳房に、無毛の恥丘が生々しい。

 「マヤ、マヤ!」岸川は必死でボートに抱え上げていく。
「そっくりだ。娘にそっくりだ。もしかして、私の子では?」猪瀬も手伝ってボートに乗せ、陸地へと漕いでいくが、ボートに乗せられたマヤは意識がない。
淫裂は子を産んだばかりなのか、切れ目が出来ており、乳首や乳輪も黒ずんでいる。

 「岸川さん、服を着せてあげないと…」
「そうです、そうしないと」着ている服を脱ぎ、マヤの股間を隠していく。
「岸川さん、申し訳ありませんが、マヤさんの遺伝子を調べさせて貰えないでしょうか?」

 「娘さんではないかと、気になりますね?」
「娘の顔そっくりなんです。もしかしたらと思って…」
「家族を説得できますか。娘だったとしたら?」
「わかって貰えると思います。家族を信じます」
「わかりました、そうしましょう」マヤは砂浜からベッドに運ばれて眠っている。



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